休憩② 料理(血行促進素材)
旦那様のお言葉が、受け止められない。
いえ。 本能が受け入れたくないから、認めたくないから、拒否をする。
でも、あの表情は、忘れないと思う。
怒っているような、悲しんでいるような、呆れているような、表情。
話を変えよう。 何かいい話題は!!
[ピピー 御飯が炊けました。 御飯を解してください。]
「もう、そんな時間か。 直ぐ出来るから、ちょっと待ってね。」
そう言いながら、台所の方に向かわれた。
「あの、手伝う事は有りますか?」
「無いよ。 座っとき。」
「旦那様が料理をするのですね。」
「血行を良くする方が、何かと恩恵が有るからね。」
「ちなみに、どんな恩恵が有るのですか?」
「美容とか、筋肉の凝りの防止、etc。
それと、俺の場合は、育毛かな?」
「育毛?」
「(髪の)毛が伸びるのが速くてなったよ。」
「成程。」
旦那様が、箸や小鉢に入った料理を持ってきたタイミングで、
「それだけですか?」
「んんん?」
「それだけですか?」
「というと?」
「性的な方面にも、何か変化が有ったのではないのですか?」
「ーーーないよ。」
「本当に?」
「何もないよ。」
旦那様はこちらの目を見ているが、若干泳いでる。
なので、
[ジト目]ジーーーーー。
「ーーー[プイ]」
あっ、目どころか、顔ごと反らした。
ちょっと、耳が赤くなってる。 可愛いかも。
でも、ジト目は止めない。 ジーーーーー。
「………他の人は知りませんが、」
「はい。」
「性欲は増えました。」
「はい。 よく言えました。」
「ふん。」
?子供が出来やすくなったって事よね? 何で恥ずかしがっているのでしょう?
「そんなことより、肉とか食べれそう?」
「………申し訳ありません。 無理そうです。」
「あんな内容を聞いたんだから、しょうがないよ〜。 気にせんときや。」
「はい。」
………逃げたわね、旦那様。
「はい。 お待ちどおさん。」
「ありがとうございます。」
旦那様が用意してくださったのは、丼(多分、中)に、梅干し(紫蘇付き)と牛蒡と人参のきんぴら、七味唐辛子と沢庵。 我が国でよく見る食品ばかり。
なんだけど、問題は丼(多分、中)。
上に乗っているのが、何か判らない。 餡掛け、いやトロロ? にしては、色が付いている。
「これは?」
「俺特性、野菜丼。又は卵丼。」
「………いただきます。」
一口掬い、口へ運ぶ(トロロっぽい。)
「………優しい味。」
体に負担無く食べられる。 無意識に食べられる料理。
「味、薄くないか?」
「はい。 丁度いいです。」
「それなら良かった。」
応対中も食べていく。 行儀が悪いのは解っているけど、手が止まらない。 無意識に食べていく。
丼茶碗が空になった。 添え物に手を出さずに。 けど、お腹いっぱいになった感じはない。 なんなら、
「お代わりいる?」
「よろしいですか?」
「沢山有るから、遠慮せんでいいで。」
「では、いただきます。」
「はいよ。」
「あの、自分で入れに行きますけど、」
「ええよ。 座ってゆっくりしとき。 次も肉無しにしとく?」
「………ちなみに、何の肉ですか?」
「鶏肉。」
「もしかして、元は親子丼だったのですか?」
「そうだよ。」
「………入れてもらってもいいですか?」
「はいよ。」
「お待ちどうさん。」
「ありがとうございます。」
中身を観察しながら、いただく。 鶏肉柔らかい。
添え物もいただく。
入っているのは、4種類の野菜。
玉ねぎ、白菜、ほうれん草、葱…いやニラかな?
よく判らないのが、このトロロ(?)みたいなの。
「あの、この丼には、何が入っているのですか?」
「玉ねぎ/白菜/ほうれん草/小松菜/ニラを、親子丼の味付け煮込んで、そこに、アク抜きした鶏肉を入れて煮込んで、卵を溶いたトロロを入れたんよ。」
「やっぱりトロロだったんですね。」
「沸騰しているところに、卵を溶いたトロロを流し込むと、スープを取り込んで、こんな感じになるんよ。」
「へー。」
「偶々出来た料理なんだけど、最初見た時はビックリしたよ。」
「でしょうね。」
「オマケに、再現しようとしたら、鍋を駄目にするわ、固まらないわで、大変だったよ。」
「鍋が駄目になる?」
「ステンレス?の鍋が相性悪かったようで、こびり付いたんよ。」
「それは、大変でしたね。」
「ホンマにね。」
「小松菜とは、どれですか?」
「ほうれん草ぽいやつ。 主に関東地方で使われるから、判らないと思うけど。」
「何故、入れたのですか?」
「万能野菜だから。」
「万能野菜?」
「俺が勝手にそう言っているだけやけどね。
元は骨を強化する食材を探していてね。 ほら、うちらの国民性、骨が弱いから。
その時見つけたんだけど、血行促進も役立つとわかったから、うちの家のスープ類には、必ず入れるようにしてるの。」
「そんなに凄い野菜なんですね。」
「初めて知った時は、ビックリしたよ。」
「ご馳走様でした。」
「お粗末様でした。」
何だか、体が熱い。 ような………。
「あの、血行を良くすると伺いましたけど、小松菜以外、普通の御食事に見えたのですが?」
「そうだよ。」
「詳しく説明すると、かなーーーり長いから、省略するけど、ぶっちゃけると【日本食】、それも、【魚が主食だった頃の日本食】が、血行にも骨にも良かったんよ。」
「以外ですね。」
「歴史を調べたら、そうでもないよ。」
「戦国時代の、我が国の国民は、今では有り得ないぐらい、強靭な体をしてたんよ。」
「………?」
「解りやすく言うと、1日に、人間2〜3人分位有る鎧を付けて、山登り幾つかとか。」
「あれそんなに重たいのですか!!」
「倒れたら1人で起き上がれなかったって、記録があったらしいよ。
だから柔道みたいな、相手の重心を使って、体制を崩す、地面に寝転ばせる武術ができたんだろうね。」
「それよりも大事なのが、魚/緑黄色野菜/クエン酸/納豆等が、骨を強化する食材で。
それと、血行を良くする食材が似通っているということ。」
「事実、体が温かくなったろ?」
「はい。」(気のせいじゃなかったんだ。)
「食事だから、媚薬みたいに、即効性や長時間は続かないけどね。
ほぼ毎日摂取することで、効果はあると思うよ。」
「はい………。」