お互いの立ち位置(私)
「事情は、理解しました。」
「それじゃあ、次は貴女の話をしてくれないかな?」
「わかりました。」
(………ここは、嘘をつかない方が、いいのかもしれない。
見合いの時の、フェロモンについても、調べると、情報を見つけれることができた。
だとしたら、先程の話も、本当かもしれない。
そして、(話されている時の)熱量から、スケールの大きな話かもしれない。
ここは、赤裸々に、)
「私は、貴方様に、気に入れられないといけません。」
「?」
「会社を、従業員を、家を守るために、貴方様に気に入れられ、貴方様の御家の力をおかりしないといけません。」
「………」
「そして、子供を出産しないといけません。 強く、縁を結ぶために。」
「ですから、教えて下さい。」
私は立ち上がり、
「私の顔は、胸は、腰は、お尻は、足は、貴方様のお気に召しますでしょうか?」
「………解りました。 少々待ってもらえますか。」
彼はそう言い終わると、部屋から出ていった。
私は座り直し、彼はノートパソコンを持ってきた。
画面を私に見せると、
「最近、AV女優になる人が増えてね。
その人らの顔を眺めていくと、自分の苦手な顔があることに気付いてね。」
「はあ。」
「その人達の顔の共通点を探していくと、」
複数の顔写真から、共通点を洗い出していって、
「こういった顔になる。」
モンタージュを作ると、
「輪郭が、面長か卵型で、目が獲物を狙うようなのが、私が苦手な顔だよ。」
「………確かに全員、その特徴が当て嵌りますね。」
((私が)当て嵌まらなくてよった〜。)
「でしょ。」
「では、好みの顔は、その逆ですか?」
「う〜ん。そうとも言えない、かも?」
「?」
「よく解らないんだよね。 自分でも。」
「はあ。」
「気を取り直して、胸だけど。 俺さ、現実の巨乳?爆乳?が苦手なんだよね。 二次元はそうでもないんだけど。」
「殿方は、巨乳が好きじゃないんですか?」
彼は苦笑を浮かべると、
「この国の男は、一般的にはそうらしいんだけどね。」
「私が苦手な理由の1つ目としては、外国の爆乳、片方だけで10kg位有る大きな胸を見たときに、申し訳ないけど、同じ人に見えなかった事。」
「ああ。 確かにあれは、同性でもびっくりしますもんね。」
「2つ目に、胸って脂肪が殆どなんだけど、脂肪って流動体なんだよね。」
「流動体?」
「高級牛肉ってあるやん。 あんな感じの、全身に脂のまわっている肉を作る方法の1つに、全身をマッサージすることなんだって。
揉むことで、赤身に脂肪が溶け込んでいくっていうか、そんな感じらしい。」
「つまり、何回も揉むと、肌に張りが有るうちは問題ないけど、張りが無くなると、垂れたり、眉唾な情報だと、変形したりするらしい。」
「………」
「そうならない揉み方もあるらしいけど、これがあっているか、よくわからん。」
「その揉み方は?」
「牛の乳搾りのように、根本から、乳頭に向けて、」
「そんなことされたら、殴ります。」
「だよね〜(笑)。」
「3つ目が、乳腺やグーパー靭帯やらと、情報がよく解らん。」
「4つ目が、これ。」
ノートパソコンに映ったのは、抜けるような白い肌の、巨乳のAV女優さん。
「この作品の、え〜と、この辺かな?」
[片胸の接写]
「………これは、入墨?」
「いや血管。」
「………こういうふうに、なっているのですね。」
「母乳は血液から作られているからね。
ちなみに、貴族の青い血とは、日焼けをしない結果、この女優さんのように、血管が浮き出たのをそう言ったんだって。」
「………黒いですよね。」
「だよね。」
「それで、これがどう理由になるのですか?」
「単純に、トラウマなんよ。
こう、揉んだらそれに合わせて、ポンプみたいに血管が動いたり、接近し過ぎて、血の動きが見えたりするところを想像したから。」
「成る程。」
「5つ目は、」
「まだ有るのですか。」
「次で最後だよ。」
「え〜〜〜と、この女優さんがわかりやすいかな?」
「ほらこれ。 胸が千切れて、飛んでいきそうに見えない?」
「怖いことを言わないでください。」
「でも、ほら、バルンバルンバルン、ブチッて、」
「ひぃ。 言わないでくださいよ。
本当にそう見えるじゃないですか。」
「はは。」
「クビレと足は、正直解らん。」
「解りました。」
「変わりに、これ。」
見せてきたのは、2次元のキャラクターの画像。
「このポーズ。 新体操で、背中にボールを転がすような、背中を反らせてお尻を突き出すようなポーズが、好きなんだと思う。」
「思う?」
「キャラクターの見た目に関係なく、このポーズをしているキャラクターに、目がいくんだよね。」
「へぇ。」
私は立ち上がって、背中を見せて、
「こうですか?」
「そうそう、そんな感じ。」
「これで、肌を見せたらいいんですね。」
「うん。 やらなくていいからね。」
「は〜い。」
(ちっ、悩殺するチャンスだったのに。)
「それ以外は、有りますか?」
「肌が茶色とか、かな?
アニメの影響でね、そのキャラの声優さんの演技がエロくて、そこからハマってしまったよ。
かと言って、焼かなくていいからね。」
「はい。」
「貴女は?」
「はい?」
「貴女は、私にして欲しい事は有りますか?
筋肉以外で。」
「筋肉以外?」
「筋肉が付きにくい体質なんです。
ですから、それ以外で、」
「う〜ん。 無いです。」
「遠慮はいりませんよ。 何でも言ってください。」
「では、見つけたときに言います。」
「わかったよ。」
「[小声]胸で必要なのは、血管の集まっている、乳輪や乳頭やしね。」
「? 何か言いましたか?」
「んんん。何も。」