顔合わせ
父の会社が傾いた。
立て直すのに、融資をしてくれる会社の厄介者と結婚することになった。 私が。
今日はその人との見合い。 顔合わせ。
相手はよっぽど嫌われているのか、未通女か経験済みか、気にしてないようだ。
こういうのは、(血縁関係にするために)調べるものだと思うけど、それがなかった。
まぁ、私は未通女ですけど。
相手が融資をしてくれるのは、(取り込むことで)利益があるから。
だから、他の手が入らないように、逃さないために、内部に入り込むために、血縁関係になろうとする。
つまり、私は人質。
けっして、相手の厄介払い先ではない。 と、思う。思いたい。
私側は、従業員と家族を路頭に迷わせないため、気に入れられる必要がある。
つまり、彼の言う事を何でも聞く、奴隷。
そのために、情報媒体から、女友達から、様々な性癖を学んだ。
さすがに、欠損まではしないと思いたい。
だけど、容姿だけはどうしようもない。
太ってなく、胸は普通、ぐらい。
友達からは、[真面目そう]、[委員長]。
………150cm位だけど、大丈夫かな?
相手の印象は、パッとしない、私より年上の、普通の人。
だけど、正座の姿勢はきれいだし、箸の使い方も上手。 チグハグしている。
食事が終わり、両方の親が部屋を出て、二人きりになる。
しばらくお互いに黙っていたが、耐えられなくなったのか、話しかけてきた。
挨拶⇒お互いの身の上話⇒趣味。 盛り上がらない。
又、静寂が部屋を包んだ。
しばらくして、相手が袋を取り出して、中身を見ずに匂いを嗅いでほしい、と言う。
相手が厄介者扱いをされていることから、中身を予想するに、麻薬か媚薬関連か、合法ドラッグか。
まさか、ここでヤルつもりか。
初めてのシチュエーションは、それなりに夢があったんだが。
だけど、私の杞憂なく、匂いは普通の、気にしない程度の匂いだった。
感想を言うと、相手は明様にホッとした。
理由を訊くと、相性診断?らしい。
汗に含まれるフェロモンで、体の相性を探ったようだ。
少し、イラッとした。
(さりげなく谷間を強調しながら)相手に近づき、(逃がさないように)両手首を掴み、上目遣いで、
「貴方は、確認しなくていいのですか?」
驚いた顔をし、目線が動く。
手、脇、首…後ろ、うなじ?、額、胸、足…裏?、股間?
相手の顔が赤くなってきてる。
[ニヤ]
手を導いて、
「ここの、匂いを、」
あら純情、倒れられた。
「………ぅぅ。」
「あら、起きられましたか?」
「………今って、どういう状況ですか?」
「貴方様が倒れられましたので、看病をしておりました。」
「………目の前が真っ暗なのは?」
「私が膝枕をしているからですね。」
相手[バッ]
私[(両手で頭を)ガシ グッ]
「あらあら、急に動いたら、危ないですよ。」
「離してください。」
「ふふ。 ついでに、先程の続き、相性診断もしてみてはどうですか?」
「!!」
「もしかして、着物の上からでは判りにくいですか?
でしたら、」
「(耳元で)直に、確かめてみますか?」
「!!!」
「[ニヤ]フゥッ。」
あら、暴れてたのが、タップアウトの意味か、こちらの腰を軽く叩いてきた。
その手が偶に、おしりに当たっているんだけど、嬌声を上げるべきでしょうか?
でも、なんだか必死に見えるし、
[パッ]
「[バッ] はぁはぁ。」
「うっ。」
「えっ?」
彼は慌てて、部屋を出てしまった。
ヤバイ、やり過ぎた。 冷や汗が止まらない。