8話 捨て場=違法投棄
男性はマジックバッグからゴミを出しては、スライムに処理をさせている。
……格好から見て、冒険者に見える。
周りの気配を探ってみると、少し離れた所に複数の気配を微かに感じた。
気配が薄くて、気がつかなかった。
上位ランクの冒険者チームかもしれない。
彼らとは反対の方向に、そっと離れる。
獣道に戻ると、1つ息を吐き出す。
緊張した。
少し離れた森の奥に、先ほどの冒険者達の気配がある。
と言っても、かなり薄くて読みにくい。
何とか気配を探り、私の方向へ来ているかを確かめる。
……来ていないようだ、よかった。
おそらく私の気配は、気が付かれているだろう。
興味を引くことはないと思うが。
あそこまで気配の薄い冒険者達は、初めてだ。
ちょっと怖い。
大きく深呼吸をして、次の村を目指して歩き出す。
何度か立ち止まって気配を探る。
色々な気配があるが、害となる気配は感じない。
先ほどの冒険者チームの気配も感じなくなった。
彼らが故意に気配を消したら、今の私では探せないが、おそらく大丈夫だろう。
魔物や獣を回避しながら歩く。
正確な地図を見たことが無いため、次の村までの距離が分からない。
……とりあえずは、あまり村道から離れない道を選ぼう。
次の村を目指して4日。
おかしい。
目の前には、捨て場がある。
でも、周辺には村が無い。
捨て場は、村の近くにあると話に聞いていたんだが。
捨てられたモノを見る。
変色したポーション、割れたビン。
折れた剣、破れたおそらくマジックバッグ。
……私が知っている、村の近くの捨て場よりも、ずいぶんと壊れているモノが多い。
もしかして、冒険者の捨て場だろうか?
話には聞いていたが、初めて見た。
ゴミを見てみたが、拾えるモノはなさそうだ。
捨てる予定のゴミをマジックバッグから取り出す。
……なんとなく嫌な気分だ、捨てるのはやめよう。
村には捨て場と言うものが必ずあるが、認められてはいない。
村にも処理するスライムがいる。
だが、数が足りていないのだ。
テイマーの星2つの人が、スライムをテイムできるのは多い人で5匹。
少ない人だと、2匹ぐらいだと言われている。
テイムしたスライムによっても、1日で処理できる量が異なる。
王都や町は多くのテイマーを、契約雇用していると聞いた。
村はお金を出して、町に処理を依頼するのだが、村にお金の余裕はない。
そのため、捨て場という物ができる。
村は知っているが、見て見ぬふりだ。
森の中にあるモノは、冒険者の捨て場だと聞いた。
冒険者チームには必ずスライムをテイムしたテイマーが必要となる。
これは法律で決まっているらしい。
連れているスライムが処理できない物は、専用の場所に捨てることも。
でも現実は、目の前にある違法の捨て場だ。
壊れた物は荷物になるため、森の中に放置するのだろう。
無機物を処理できるスライムを、持っている冒険者チームは少ない。
Sランクのチームぐらいだと、占い師が言っていた。
私が捨てても問題はないが、やめた。
……なんとなく、前の私が邪魔をしたような気がする。
『ふほうとうき』ってなんだろう。
……村を目指そう。
村の捨て場に捨ててしまおう。
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