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44話 調査対象?

村に戻ってくると、会いたいと思っていた門番さんが出入りをチェックしていた。

確かオグト隊長だったかな?

あれ?

ヴェリヴェラ副隊長の方かな?

そう言えば、どっちがどっちか知らないや。


「お帰り、今日の朝は大変だったみたいだな。大丈夫か?」


「っはい。あのオグト隊長さんでいいのでしょうか?」


「ん?……そう言えば自己紹介していなかったか?」


「はい。えっとアイビーと言います。テントはとても寝心地が良かったです。紹介してくれてありがとうございました」


「ハハハ、そりゃよかった。俺は隊長のオグトだ」


合ってたみたいだ、よかった。

此処で間違えたら、かなり失礼だったもんね。


「あの冒険者達だが、他の村や町から調査対象として情報が流れている奴らだったよ」


「調査対象?」


「あぁ、他の所でも若い冒険者に難癖を付けては、目についた物を奪い取っていたらしい。被害届がギルドに多数寄せられていたんだが、物については所有権を証明するのが難しくてな。なかなか尻尾を掴めなかったみたいだ」


「それで調査対象になっていたのですか?」


「そう言う事だ。奴らもずる賢い、物については調べが付きにくいってことを理解した上で犯行してやがる。まぁ、今回は俺が紹介した店で、この村では有名な親父が売ったテントだ。証拠も証言もばっちり。奴らも終わりだな」


「そうですね」


「アイビーには怖い思いさせちまったな。悪かった」


「だっ、大丈夫です。本当に」


「……無理はするなよ?」


「はい」


「それにしてもすごいぞ。少し前からヴェリヴェラが取り調べをしているのだが、まぁ、出るわ出るわ。今、ギルドから取り寄せた被害届と照らし合わせているが、被害届が出ていない余罪もあってな、ちょっと慌ただしい事になっているよ」


冒険者の中にも悪い人はいるけど、ずいぶんな人達に狙われたみたいだ。

オグト隊長に紹介してもらった店で購入してよかった。


「それでだ、逮捕に貢献したとして謝礼金が少しだが出る。魔物の情報料とまではいかないがな」


「え?私は何もしていませんが?」


「いやいや、坊主でなかったら証明は難しかったからな。それにお金はあって困らないだろう?」


「まぁ、はい」


「よし!奴らの刑期によって金額が少し変わるから、ちょっとだけ待ってくれ」


謝礼金。

知らない事がいっぱいあるな。

お金はこれからの事を考えるとうれしい。

オグト隊長にもう1度お礼を言ってから、広場へ戻る。

あっ、ラトミ村の口減らしではなく、逃げて来ましたって言うのを忘れた。

これって、どのタイミングで言うのが正解だろう?

改めて言うとなると難しいな。


広場に行くと、朝私を助けてくれた管理人さんが居た。


「お疲れ様です」


「お帰り。聞いたか?」


「っただいま戻りました」


オグト隊長の時も思ったけどお帰りって言われると少しドキッとする。

馴染みのない言葉だからだろうか?


「捕まった人達については、オグト隊長から聞きました。あっ、そうだ。えっとアイビーと言います」


「ん?あぁ、ロイグルトだ。広場の管理と村の中の見回りをしている。そう言えば今の時間は隊長が門番だったか?」


「はい」


「そうか」


ロイグルトさんに挨拶をしてからテントに戻る。

入口を閉めてバッグからソラを出す。

……あっ!

捨て場に行って、罠に必要な物を拾って来るのを忘れてしまった。

どうしよう?

今から行く?

……なんだか、朝から色々ありすぎて疲れたな。

ソラを見ると、既に寝ている。

早いな。


「今日はもういいか~」


とりあえずバッグの中身を確認する。

野ネズミ用の罠なら2個は作れそうだ。

でも、明日は捨て場に行かないとな。

ソラ用のポーションが足りない。

とりあえず、少し寝よう。

疲れた~。


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