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36話 広場の場所取り

椅子に荷物を置いて、場所取りのための準備をする。

テントを持っている冒険者はテントを張って場所取りをするが、人数は少ないけれど、私のようにテントを持っていない者もいる。

そういう場合は敷物を敷いて、取られても問題のない荷物を置いておく事で場所を確保できるのだ。

最初に広場を使用した時に、他の冒険者を見て学んだ。

しっかりとしたルールがあるわけでは無いが、冒険者同士での最低限のルールのようだ。

バッグから敷物を取り出して敷き、バッグを1つ置いておく。

完了。

広場を見回すと、簡易炊事場の奥に10個近く大きなテントが張ってあるのが見える。

上位冒険者たちは大きなテントを使用するが広場を使用しないので、初級か中級の冒険者チームだろう。

彼らは飲みだすと騒がしくなるので、離れている場所でよかった。

教えてもらった場所は、個人が多いのか1人用テントがあちらこちらに張ってある。

私のように敷物と荷物だけの場所もある。

比較的静かな場所なので、安心して寝られるだろう。

いい場所を教えてもらえてよかった。


広場を出て、森へ行く。

入り口では先ほどと同じ人が警備をしている。

軽く頭を下げて足早に森へ入る。

慣れないため、通る時に少し緊張してしまう。


森の中はどこも一緒で安心する。

見回しながら捨て場を探す。

これだけ大きい村なので、捨て場も大きいのだろうか?

いや、テイマーと多く契約していれば、捨て場はそれほど大きくなくても大丈夫かと考えたが、

見つけた捨て場は他の村と似たような条件の場所にあったが、村同様その規模がデカい。


「大きいな~」


さすがの大きさに驚いた。

想像はしていたがそれ以上だ。

そして捨てられている物も多岐にわたっている。

ソラをいつものように捨て場近くに置こうと考えたが、捨て場が広いために迷う。

人の気配がしてもすぐにソラの元に戻れない。

どうしよう。

一番安全なのは捨て場に一緒に入る事だが。


「ソラ、捨て場でゴミに埋もれないように出来る?」


ソラはどうも安定感が悪い。

捨て場に入ると、よくゴミに埋もれてしまうのだ。

ソラは私を見て縦にビヨ~ンと伸びてみせる。

おっ、新しい動きだ。

こんな動きも出来るのか……って違う。

少し考えたが、やはり人に見られない方法を取ろう。


「ソラ、一緒に捨て場に入ろう」


「ぷぷ~」


ピョンと跳ねて捨て場に入ると、転がってビンとビンの間に挟まる。


「ソラ、言っている傍から……」


ソラを救出して片手にソラを持って必要な物を拾って行く。

ソラがまだ、片手で持てるサイズなのでよかった。

青のポーションと赤のポーションをソラ専用のバッグに次々と入れていく。

さすが広いだけあって拾っても拾っても出て来る。

これはかなりの数が期待できそうだ。

あっ、マジックバッグを発見……かなり破れてる……さすがにこれは無理だ。

他には……これは何かな?

服だけど大きすぎるな。

冒険者が多かったからだろうか?

剣もかなりの数が捨てられている。

鞘に入っていない物もあるので、気を付けないと足を傷つけてしまう。

ある程度見繕ってから捨て場を出て移動する。


捨て場から少し離れた場所にある大木に、凭れかかるようにして座る。

ソラは既に私の手から飛び下りて、ソラ専用のバッグに向かってプルプルと震えている。

間違いなくポーションの要求だろう。

ソラ用のポーションを拾っている時に、手の中で激しく揺れていた。

相変わらずなソラに笑ってしまう。

青のポーション10本、赤のポーション10本をソラの前に並べて置いていく。

並べている最中に最初に置いたポーションを食べ始めるソラ。

勢いよく泡となって吸収されるポーション。

相変わらず食べ方が不思議だ。

……そう言えば他のスライムの食事風景を見たことが無い。

何処かで見てみたいな。

ソラのように食べるのだろうか?


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