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33話 赤のポーション

木の魔物の恐怖が残っているのか、音や気配に敏感になっているようだ。

まぁ、死にそうな目に遭ったのでそれも仕方がないが、そのおかげで寝るに寝れない。

ソラには申し訳ないが、村の広場で1日だけでもいいからゆっくり過ごしたい。


村が近かったので、5日で目的のラトス村に着いた。

オトルワ町まで近いので、この村も大きいのかと思っていたが……びっくりするほど小さい。

私の生まれたラトミ村ぐらいしかない。

町に近いほど大きい村になるわけでは無いようだ。

ちょっと驚いた。

村の中に入ると、なんだか村人に覇気がない。

それに冒険者の数もかなり少ないようだ。

冒険者が少ないと情報が集めにくいのだが。

村人や冒険者の様子を見ながら、村の中心と思われる場所を目指す。

村の中心に来ると、数は少ないが飲み屋はあるみたいだ。

だが、どれも活気が無い。

とりあえず近づきながら声を拾って行く。


……2日前に村長が、国に治める税金を横領した罪で捕まったらしい。

しかもこの村、2代続けて村長が捕まっているそうだ。

飲み屋の店主だと思われる人物が、冒険者に酒を振る舞いながら愚痴っている。

付き合っている冒険者たちは苦笑いだ。

何というか、すごい村に立ち寄ってしまった気分だ。

この村は捨て場だけ見て、すぐに離れようかな。

小さい村なので捨て場も期待できないかな。

……まぁ、一応は見て行こう。


村から出て、捨て場がありそうな場所を探す。

見つける事はすぐに出来た。

期待はしていなかったが、予想以上に捨て場にモノが多い。

多種多様なモノが雑多に捨てられていることから、村にはテイムされたスライムがいないのかもしれない。

そうだとすればかなり大変だ。


ソラはいつもの如く、捨て場の近くでバッグの取っ手に囲っておく。

進化をしているのにどうしてか、未だに風には転がされている。

もしかしてスライムってそういうモノなのだろうか?

スライムを間近で見た事はあるが、すぐに逃げるので風が吹いた時にどうなるのか分からない。

今度、機会があったら見てみよう。


捨て場にはポーションも多数転がっていた。

青のポーションはもちろん全て拾って行く。

次に赤のポーションが1本変色してしまったので赤のポーションも探す。

少し変色しているが数本見つけることが出来た。

私が持っているモノよりは状態がいい。

変色のかなり少ない緑のポーションも見つけることが出来た。

これは持っているモノと入れ替えよう。

周りを見回すが、この村のゴミは汚れも破れもひどい。

捨てられているモノは多いが、拾えるモノは無かった。


ソラの元に戻りバッグの中から捨てるポーションを出す。

青のポーションはソラの食事になるので問題なし。

捨てるのは変色した赤のポーションと緑のポーションだ。

バッグから出して横に置いておく。

そしてマジックバッグ。

川を探している時に、木に引っ掛けて破いてしまったのだ。

予備のバッグを持っていたので今回は大丈夫だったが、次の予備が無い。

森の中では何が起こるか分からないため、予備は必要だ。

次の村に期待しよう。

ただ、マジックバッグってなかなか捨てられていないんだよな。

バッグの中を確認して、他に捨てるモノが無いか確かめる。

ないな……よし!

捨て場に持っていこうと、置いておいたポーションに手を伸ばすとソラの体にあたった。


「ん?」


視線を向けると赤のポーションを食事中のソラがいる。

変色した赤のポーションがソラの体内にしゅわ~っと消えて行く。


「……?」


何度か瞬きをしている間に食事が終わってしまった。

急いで捨て場から赤のポーションを見つけて来て、ソラの前に置く。

すぐに赤のポーションを食べるソラ。


「……食べた……え~っと、これは?」


捨てるためにバッグから出しておいた緑のポーションを、ソラの前に置く。

…………反応が無い。

どういう事なのか不明だが、赤のポーションも食べられるようになったようだ。

とりあえず、ソラ用に赤のポーションも拾ってバッグに入れる。

考えても分からないので、食べられるポーションが増えて用意する方としては楽になったという事にしておこう。

ソラについては謎が多すぎる。


総合評価が5000ptを超えました。

ありがとうございます。

これからも、よろしくお願いいたします。


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