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32話 次の村ラトスへ

木の魔物の情報料は5ギダル、銀板1枚だった。

人をおびき寄せるために、実のなる木に擬態する魔物だそうだ。

数年前には、村の畑の近くにいつの間にか潜り込んでいて被害が出たそうだ。

動きは遅いので逃げる事は出来るが、獲物が逃げるとすぐさま周りの木に擬態するらしい。

しかも気配まで擬態した木に似せることが可能なので、

なかなか見つけられない少し厄介な魔物なのだと、お姉さんが教えてくれた。

この魔物は、中位冒険者以上にギルドから依頼が行くだろうとの事だ。

お姉さんと一緒に話を聞いていた男性が、不思議そうに見てくる。

首を傾げて見返すと


「しかし、よく魔物だとわかったな。あの魔物を見分けられるのは相当だぞ」


「……たまたまです」


「そうか?しかし被害が出る前に分かってよかった。あれが出ると気が付かないうちに、確実に何人かやられちまうんだ。攻撃範囲に近づくまで完全に無害な木に見えるからな。村人や初級冒険者が被害に遭っちまう」


はい、遭いました。

ばっちり死にそうな目に遭いましたとは言えないので、笑って誤魔化しておく。

村に被害を及ぼす魔物だったため情報料が出るが、中位冒険者2名で討伐できるランクの魔物なので5ギダルらしい。

私としては十分なので、2人にお礼を言ってから役場を出た。


役場を出て捨て場に向かう。

かなり時間がたっているので、もう大丈夫だろう。

1着服を駄目にしてしまったので新しい服がほしい。


……すごい。

10日間、封鎖されていたためだろうか?

捨て場のゴミがかなり増えている。

ポーションのゴミも多い、これはうれしい。

どうやらこの村にも、ポーション作りを練習中の子供がいるようだ。

正規品とは違うビンに入ったポーションがまとめて捨てられている。

隣に居るソラがプルプルと揺れて喜んでいる。

すぐそばにあった青のポーションを数本拾ってきて、ソラの前に並べる。

ソラがポーションを食べだしたのを確認してから、旅に必要なモノをそろえるため捨て場に入る。

足りないポーションを次々とバッグに入れていく。

途中で服を数着見つけることが出来たので、それもバッグへ。

練習用のポーションの中に青のポーションを見つけたので全て回収する。

全部で38本だ。

捨て場のすぐそばでプルプルと揺れながら待っているソラの元に戻ると、練習用を全てソラの前に並べていく。

しゅわ~っと食事をしながらプルプルと嬉しそうに揺れるソラ。

随分と器用な動きが出来るようになっている。

ソラが食事をしながら満足そうに揺れている横で、バッグから拾ってきた物をすべて出して確認していく。

見つけた数着の服は、少し縫えば全て着られる状態だった。

各ポーションを調べて行く。

捨てる時に、ビンにヒビが入ることがある。

ヒビがあると変色が早まるので、ヒビのチェックは重要だ。

ヒビが無く変色が少ないポーションを選ぶ。

拾ってきたポーションは、今までの村より良いモノが多い。

冒険者が多いからだろうか?

私としてはうれしい限りだ。

ソラ用のポーションも全部で76本も確保する事が出来た。

いろいろあったが、ラトム村は随分と収穫の多い村だな。

確認が終わった物からバッグに入れていく。


「あれ?…赤のポーションが足りない」


病気を治す赤のポーションを、3本拾ってきたはずなのだが2本しかない。

おかしいな。

落としてきた?

捨て場の方に目を向けると近くに赤のポーションが落ちている。

……落としたのかな?

ヒビを確認してからバッグに入れる。

準備完了!


ソラと一緒に次の村ラトスへ向かう。

正直あんな事が遭ったすぐなので森が怖い。

だが旅を続けるなら慣れるしかない。


「ソラ、危険があったら教えてね」


ソラが私の腕の中でプルプルと揺れた。

ちょっとほっとする。

ソラが仲間になってくれてよかった。


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