28話 進化?と魔物の情報料
村を出るのは怖いが、捨て場は村の近くにあるはずだ。
警戒しながら村を出て捨て場を探す。
村からは見えにくく、でもそれほど離れていない場所。
見当を付けて探すと、予想通りの場所にあった。
やはりどこの村も、似たような場所に捨て場がある。
ソラをバッグから出して、風で飛ばされないようにバッグの紐で囲う。
ソラは捨て場を見てプルプルと嬉しそうに揺れている。
ご飯の気配を感じているのだろうか?
「ちょっと待っててね」
捨て場に入ると大量のゴミ。
青のポーションも、ちょっと探すだけで見つけることが出来た。
村で多くの冒険者を見かけたので期待したが、思っていた以上の収穫になりそうだ。
カゴを見つけたので、青のポーションを入れていく。
30本のポーションがすぐに集まる。
ソラの近くにカゴを持っていくと、揺れ方がすごい事になっていた。
そんなにお腹が空いているのか?
カゴを置いて、ポーションの上にソラを乗せる。
すぐに、ソラの下のポーションが体内にしゅわ~っと消えて行く。
次から次に消えるポーション。
やはり、お腹が空いていたようだ。
ソラが食べている間に捨て場に戻り、青のポーションを可能な限りバッグに入れていく。
村の近くに現れた魔物が、もしも危険度の高いモノだったら村の中で待機になってしまう。
そうなると、捨て場に来ることが出来ない。
拾えるだけ拾っておこう。
ソラの元へ戻ると、全てを食べきったカゴの中で、リズミカルに揺れていた。
初めて見る動きだ。
「そんな動きも出来るんだ」
ここ数日、ソラの動き方の種類が増えている。
……これも成長と言えるのだろうか?
不思議な存在だな、ソラって。
捨て場には服もいろいろと捨てられていた。
数着見繕ってきたので、破れなどを確かめていく。
縫って直せればいいが、破れ方では諦めるしかない物もある。
半分ぐらいは駄目みたいだ。
それでもズボン2本、ブラウスが4枚と大収穫だ。
水場を探したいが、魔物が気になる。
役場での雰囲気から、魔物が分かるまでは動き回らないほうがいいだろう。
「ソラ、ごめんね。またバッグの中になるけどいいかな?」
私の元にソラが、ぴょんと跳ねてカゴから出て来た。
……ぴょんと跳ねて……。
えっ!
驚きすぎて、何を見たのか一瞬理解できなかった。
「ソラが跳ねた!」
転がるだけだったソラが跳ねた。
ソラを持ち上げて視線を合わす。
プルプルと揺れている。
……やっぱり可愛いな。
思う存分ソラを撫でてからバッグに入れて、村に向かう。
……
朝、早めに役場に向かう。
昨日の夕方あたりから、上位ランクと思われる冒険者たちが少し緊張しているように見える。
その様子から、昨日の冒険者たちの調査で強い魔物の痕跡が発見されたのかもしれない。
「すみません」
「あっ、昨日の」
「はい。早すぎましたか?」
「大丈夫よ。既に魔物が特定されたから、情報料を渡すわ」
昨日のお姉さんが対応してくれるようだ。
奥の部屋から話し声が聞こえるが、随分と荒れた雰囲気だ。
……どうやら、強くて厄介な魔物のようだ。
「確認してもらっていいかな?」
お姉さんがいる机の前まで移動すると……お金が載っている。
金貨が2枚と銀板が1枚。
「上位魔物の情報料が2ラダル、金貨2枚ね。亡くなった5人の情報料が5ギダルね」
「えっと……はい、確認しました」
確認はしたが、初めての銀板と金貨に落ち着かない。
銀貨が5枚で銀板……10枚で、金貨……金貨!?
何とかお金の価値を頭で考えて……余計に落ち着けなくなった。
魔物の情報料はすごい。
金貨、怖い。