22話 まさかの大食いなのか?
ヘビの高額買取で、足取り軽く寝床になっている場所に戻る。
まさか、まさかの5ギダルだ。
うれしい。
ただし、これはヘビの魔物が増えている事が原因だ。
次の村に行こうと思うと、少し問題になるな。
まぁ、今日ぐらいはうれしい気分のまま居ても良いだろう。
木の根元にソラを置いて、マジックバッグの持ち手でソラを囲うように置く。
こうしておかないと、戻ってくるたびに転がっているのだ。
一度、かなり遠くまで転がっていて驚いた。
それからは、風で飛ばされないように、バッグの持ち手の部分でソラを囲うようにしている。
翌日に消える事はなかったが、まだまだ不安要素が多いソラだ。
……そして、よく食べる。
昨日、捨て場に大量のポーションが捨てられていた。
青のポーションは、全部集めると58本もあった。
おそらくポーションを作り始めた子供が、技術を磨くために教えを乞いながら作っているのだろう。
入れ物が正規の物ではなく、簡易なビンだった。
ソラにあげようと思ったが、入れ物が正規品ではなかったので少し迷った。
ポーションでは正規の入れ物が3種類ある。
1等品から3等品だ。
違いはビンの透明感と厚さにある。
1等品は均一のガラスで、光の入り方が安定している。
光の入り具合は重要で、不安定だと変色しやすいと言われている。
ポーション作りが不安定な人の多くは、3等品を使うようだ。
本当は不安定な人こそ1等品が薦められているが、1等品に入れても変色をしてしまえば、劣化版として売れなくなり、入れ物の値段が赤字となってしまう。
これが結構な痛手となるため、なかなか1等品を使う人はいない。
今では、1等品の入れ物は、高品質の証となっている。
練習段階では正規品ではなく、ただのビンを使って色の変色具合などを調べる。
変色が少なくなれば、正規品を使って商品を作る段階になる。
捨てられていたのは練習段階の物だ。
ビンを見る。
正規品とは実際には何が違うのか……形が違うのはわかるのだが。
あとは……歪みや気泡も入っているかな?
迷っている私にソラが転がってきたと思ったら、そのままの勢いでポーションの1本に覆いかぶさった。
何度見ても、不思議な光景。
しゅわ~っとビンと青のポーションが消えていく。
「練習用のビンでも問題はないのか……」
ソラが求めるままにあげていくと……大量にあったポーションが無くなった。
まさか58本のポーションを1回で食べきるとは思わなかった。
スライムの生態を本で読んでみたが、食事量については[個々で異なる]としか書かれておらず、まったく分からないのだ。
なのでソラの食事量が多いのか、普通なのかは不明なのだが、大きさは私の両手より少しだけ大きいぐらいだから、見た目から言えば大食いだと思う。
練習用のビンでも大丈夫そうだったので、空き瓶を見つけてソラの前に置いてみた。
まったく反応を示してくれず、中にポーションが無いと駄目のようだ。
……どうしよう、大量のポーションってどうやったら確保できるだろう?