19話 ソラの食事
ソラは目の前に置かれたポーションに向かって、体を被せるように動いた。
転がる以外の動きに、ちょっと感動してしまった。
そのまましばらくすると、ソラの体内にポーションが取り込まれて、すぐにしゅわ~と吸収されていく。
半透明の体に泡となって消えていくポーション、しかも入れ物も、何ともすごい光景だ。
もしかしてとは思っていたけれど、実際に目の前で見ると驚いてしまった。
「すごいソラ!有機物も無機物も大丈夫なの?」
ソラを見るとプルプルと、ちょっと激しく揺れている。
なんとなく「もっとくれ」と、要求されているような気がしたので、捨て場から青のポーションを探し出す。
全部で21本の、青のポーションを見つけることが出来た。
だが、変色がかなり進んでいる。
11本は何とも言えない色となっている。
大丈夫なのだろうか?
ちょっと心配なので、何とも言えない色に変色した物を除いた10本を、ソラの前に並べる。
しゅわ~、しゅわ~、と次々とソラに吸収されるポーション。
何だか見ていると面白い。
10本のポーションが無くなると、また激しくプルプルし始める。
ん~残したポーションを見るが、不安が消えない。
さすがにこれは……。
迷っていると、残しておいたポーションの方に、コロコロとソラが転がってくる。
移動方法は、転がる以外にないのかな?
見ていると、ポーションにぶつかって止まった。
おそらく転がることは出来るが、止まることは得意ではないのだろう。
たぶん、止まれないわけでは無いと思うが……そこは、まだまだ不明だ。
ぶつかったポーションに被さると、またまたしゅわ~と消化していく。
残していたポーションもどんどんとソラの中に消えていく。
ソラが大丈夫と判断したのだろうから、きっと大丈夫だろう。
それにしても、かなり勢いよく食べるな。
お腹が空いていたのだろうか?
スライムは個々で消化する量が異なるが、崩れスライムはどれくらい消化できるのだろう?
全部で21本のポーションを消化したソラは、今度はゆっくりとプルプルしている。
どうやら満足してくれたようだ。
よかった、激しくプルプルしても、もう青のポーションは捨て場を探しても無いだろう。
「あ、私の分が……」
まぁバッグの中で、全て食べられているので今さらだが。
次は確実に自分の分を確保してから、ソラにあげよう。
青のポーションが無いと、怪我をしたら傷が化膿してしまうこともある。
無いと困るポーションだ。
それにしても、崩れスライムって謎だらけだな。
今までテイムできる人がいなかったから、解明されていないのは仕方がないけど。
「ソラ。お前は、まだ何か隠しているだろう」
ソラは、プルプルと風に揺れている。
見ていると静かに目を閉じて……まさか、寝てしまった。
……マイペース過ぎないだろうか?
この先に、ちょっと不安を感じてしまった。