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モブNo.4: 「あーあー。そこの小惑星にお住まいの方。いらっしゃったらご返答をお願いします」

モブの通常のお仕事です


戦闘艇の探査距離をちょっと盛り過ぎたので百分の一に変更しました

仕事を受けたその日の内に補給をおえ、僕はギルドを出発した。

僕の船『パッチワーク号』は、探査・防御・操作性に重点を置いており、速度と火力は平均程度しかない。

主人公属性の連中は、速度と火力さえ上げておけば、敵は向こうからのこのこやってきて、向こうの攻撃は絶対に当たらず、どんなピーキーな操作性の船でも完璧に使いこなすため、それらの性能は必要ない。

しかしザコモブの僕にはそんなことは起きないため、その3つは生き残るために必要な要素だ。

ちなみにさっきの、50人も集める依頼には、目立ちまくる・嫌な奴らがいる以外にも様々なヤバイところがある。

分かりやすいのは、純粋な弾除けにされることだ。

人数がいれば、それだけ目標が分散されるし、自分の船に当たるまでに威力も小さくなる。

依頼人は令嬢とあったけど、実際にはおっさんで、ヤバイブツをはこんでいて、襲撃にあうのが前提だから、弾除けの数を揃えているというものだ。

次にありそうなのが、見映えがいい連中を揃えてえこひいきし、自分の護衛として引き抜くことだ。

50人もいれば、イケメンはもちろん、おっぱいの付いたイケメンもいたりする。

そう言う連中を探しだしたりするために人数を集めたりする。

そしてそうなると、絶対に発生するのが報酬の格差だ。

もちろん、襲撃者を撃退したり、依頼人を庇ったりしたなどの功績があれば当然だが、そう言う事が一切無いにもかかわらず、お気に入りには増額、それ以外は減額という、理不尽なことが行われたりする。

新人のころに、無理矢理この手の依頼に強制参加させられ、ひどい目にあったことがある。

ちなみにそれをやったのはローンズのおっちゃんではなく、依頼人の令嬢に良いところを見せようとした、ギルドの幹部職員だった。


そんなことを考えているうちに、ショボ海賊が出没する宙域にたどりついた。

まずは探査を開始。

通常の探査レーダーは10億㎞ぐらいだが、この『パッチワーク号』はその倍の20億㎞を探査できる。

この間絡んできた意思のある戦闘艇(ロスヴァイゼさん)なら、100億㎞くらいできるのかもしれない。

探査箇所は小惑星帯(アステロイドベルト)や廃棄コロニーやデブリの集積所、惑星の衛星などの、人の動きが少ないところで、それを一つ一つ調べていく。

さらには、近くの有人コロニーや居住区のある衛星なんかに聞き込みにもいってみる。


そうやって地道な探査・調査を繰り返し進めていた4日後に、わりと大きめの小惑星を発見した。

小惑星帯(アステロイドベルト)にあるなら怪しくないが、そんなものがない空間にポツンとあったら怪しさ100倍だ。

しかもその小惑星から、熱量が計測された。

つまり、人工的な何かがその小惑星にあるということになる。

とはいえ、ああいう小惑星を改造して世捨て人生活をしてる人もいるから、確認はしないといけない。

もし間違っていたら大変だ。

さらに言えば、何らかのトラブルで小惑星帯(アステロイドベルト)から弾き出されてしまったという場合もある。

先ずは役所に連絡をして座標(ポイント)を伝え、その場所に住人が住んでいるかどうか確認する。

向こうからの返答は、その座標に住人は確認できず、近くの小惑星帯(アステロイドベルト)から弾き出された、登録された小惑星住宅(アステロイドハウス)がないことも証明された。

つまり、勝手に住んでいるということになり、海賊の基地の可能性は高くなった。

それでも一般の人が、勝手に住んでいる可能性もあるので、とりあえず、バリアを展開してから、オープンチャンネルで話しかけてみる。

でももし住んでいる人が、頑固な世捨て人のじいさんとかだったら、マジめんどくさいことになるお。

「あーあー。そこの小惑星にお住まいの方。いらっしゃったらご返答をお願いします」

5分ほど経過しても返答はない。

「えー貴方が現在滞在中の座標は、宇宙航行法の規定により、航行妨害にあたります。速やかに座標の移動および手続き、もしくは現在居住中の小惑星の廃棄をお願いいたします」

ちなみに小惑星帯(アステロイドベルト)以外での小惑星への居住はマジで禁止されていて、デブリ扱いになるので、破壊しても問題はない。

それからさらに5分経過。

仕方ないので最終手段を実行だお。

「返答が無いようなので、無人と見なして破壊処理を敢行します。破壊開始まであと5分」

こういうと大抵慌て出てくるんだけど…、本当に留守なのかな?

そんなことを思ってると、小惑星がゆっくりと動きはじめた。

よくみれば、移動のための噴射口(ノズル)がいつの間にかあらわれていた。

たぶんカモフラージュのために格納してたんだろうな。

「どうやら人がいるのは間違いないか」

僕はすぐにバリアを張り、事態に対処するために身構える。

不審な小惑星住宅は、ゆっくりと僕の船からはなれようとしている。

退去するつもりかどうかは知らないけど、役所への連絡、警察への事情説明なんかはやってもらわないといけない。

「あーあー。役所及び警察への事情説明をしていただかないといけないので止まってくださーい!」

攻撃をしてきたわけではないので、まずは話し合いをと声をかけたが、その必要は無くなった。

その小惑星住宅から、小型の戦闘艇がでてきたからだ。

しかも2機。

それを確認した瞬間に、僕はその(ふね)達に向かって急接近しながらレーザーを放った。

当てるつもりはない。

相手が(あわ)てるなりしてくれれば充分だ。

おそらくこっちを足止めして、小惑星住宅を逃がすのが目的だろう。

なので、こっちの行動に対して、避けるか逃げるかしたら、そのまままっすぐ小惑星住宅に向かって攻撃。

壁になろうと突っ込んできたら、かわしてそのまま小惑星住宅に攻撃だ。

どちらにせよ小惑星住宅に攻撃し、移動用の噴射口(ノズル)に当てて、動けなくなればこっちのもの。

あとは出てきた(ふね)達を撃破すればいい。

その時できるだけ破壊を少なくしておくと、買い取りの時に高値が付くので、その辺りも考えて撃破しないといけない。

するとその戦闘艇達は、レーザーを避けるべく左右に避けた。

なので、スロットルを開いて小惑星住宅に接近し、噴射口(ノズル)にレーザーを命中させる。

爆発した様子はあるが、小惑星住宅は止まる事なくそのまますすんでいた。

しかし、明らかに慣性で進んでいるのがわかった。

なのですぐに旋回し、戦闘艇達に向かってレーザーを放った。

てっきりかわされるだろうと思ったが、1機はあっさりと命中し、ふらふらと動いたあと動かなくなった。

『くそぅっ!よくもガテルを!』

残った1機がこっちに向かってくるけど、そんなに速くない。

僕の船『パッチワーク号』の方がまだスピードがでるだろう。

とりあえず警察に連絡っと。

「あー…いま警察呼んだんで、これ以上抵抗はしないように」

できないとは思うが、一応勧告はしておく。

『くそぅっ!せっかく海賊で稼いで、女房を見返してやろうと思ってたのに!』

『せっかく…借金して買ったのに…くそっ!動け!動け!』

いや、その状態で動かしたら危ないから。

『仕方ないよ。今までがうまくいきすぎたんだって…』

つか、よくこんな調子で、ショボい規模とはいえ、いままで海賊ができてたなあ…

例の50人の集団に、

出くわすのが主人公属性

出くわさないのがモブです


レーダーの性能云々は適当です。


ご意見・ご感想・誤字報告よろしくお願いいたします


1/19 レーダーの性能を光年に変更しました!


2/10 レーダーの性能を百分の一に変更しました


8/22 レーダーの性能を修正しました


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