モブNo.37:「妻と娘に会ってきたぞ!可愛いんだようちの娘は!あ、写真見るか?」
船をギルドの駐艇場に停泊させた翌日は、『アニメンバー』と『せいざばん』に行って漫画・ラノベ・同人誌の発掘に向かった。
そのおかげで、
『どこか神秘の
『私の敵は
ソーシャル育成シミュレーションゲームの『
ソーシャル戦略シミュレーションゲーム『乙女戦史』の同人誌などを手にいれた。
そしてその色々収穫のあった翌日。
ついにローンズのおっさんが帰ってきた。
これでようやく、落ち着いて依頼を受けれるというものだ。
当たり前の事だが、ゼイストール氏も、ちゃんと受付として働いている。
「いやあ最高の休暇だった!」
「そりゃよかったね」
楽しい休暇だったらしく、満面の笑みを浮かべ、血色も良好なようすだ。
「妻と娘に会ってきたぞ!可愛いんだようちの娘は!あ、写真見るか?」
「結構です」
ローンズのおっさんは典型的な娘馬鹿だったらしく、アルバムを取りだそうとしたので即座に断り、
「それより。あのゼイストール氏はなんなん?まるっきり女の子じゃん!」
正しい情報を渡さなかったことを問い詰めた。
「いやいや男だし有能だったろ?」
おっさんは見苦しい言い訳をする。
「たしかに男性だったし、仕事はめちゃくちゃ有能そうだけども、あんなどう見ても美少女な外見とは言わなかったじゃん!」
「見せてもらった書類の写真は、もうちっと男っぽかったんだ。髪も短かったしな。まあ、女顔ではあったが」
つまり、書類の写真を撮影した以降に、ゼイストール氏が変貌していることをしらなかった。と。
まあ、自分の代役を選ぶのを、人事の人に丸投げしてればこうなるか。
「最悪あんたが居なくて、いよいよってなった時にはゼイストール氏に受付を頼む事にするよ…」
とはいえ、ローンズのおっさんからしか仕事を受けれないというのはよろしくないから、今回の事はその辺りを考えるきっかけにはなった。
「で、仕事はあったのか?」
「ああ、これを受けるよ」
僕は、アーサー君に紹介された
「これか。いいんじゃないか」
その情報の詳細はこんな感じだ。
業務内容:惑星コルコス近隣の宙域にある、
業務期間:不明瞭。
銀河標準時で推定480時間(約20日間予定)。
最低総作業時間100時間。
休憩は任意。
業務環境:随伴コロニー内にある宿泊施設の無料使用・食事の無料支給。
宇宙船の燃料支給。
業務条件:宇宙船の持ち込み必須。
持ち込み宇宙船が破損した場合の修理費は自腹。
管理用ビーコンと記録装置の取り付け。
緊急時には、休憩時でも対処・出撃すること。
上記理由により、業務期間内の宙域脱出は処罰の対象になる。
報酬: 200万クレジット・固定
最低総作業時間に達していない場合は減額。
最低総作業時間の100時間内で、完全収集・終了した場合は満額支給
特記:迅速な収集が望ましく、故意に作業時間を引き延ばすような行為が発覚した場合は処罰の対象となります
「まあ正確には作業補助だな。回収そのものはデブリ屋がメインで進めていく感じだな。もちろん自分で集めてもいいだろうが」
とにかく人手が必要な感じかな?
ボーナス的なものはないが、期間以外にノルマ的なものもない。
おかしな裏もない感じなので、わりと気楽な依頼だろう。
しかし、アーサー君に紹介された時から気になっていたことがある。
「なんで、480時間はかかりそうなのに、最低総作業時間内の100時間で終了しちゃった時の事が書いてるのさ?」
「細かいとこにうるさい連中がいるから、書かざるをえなかったんだろうよ。それに、万が一ってことがあるからな」
ちなみに最低総作業時間というのは、『最低でもこれだけの時間は働かないといけない時間』の事だ。
不足が30分とか1時間位なら減額ですむが、総作業時間が30分とか1時間だと無給なんて事もあるだろう。
「それで。受けるのか?」
「もちろん」
でも少なくとも、戦闘メインよりは気楽な仕事だ。
仕事を受けたその足でコルコス宙域に向かい、到着した時には夕方になっていた。
そこにあった、今回のプロジェクトのために随伴してきた、まあ、正しくは引っ張られてきた円筒形コロニーに停泊するように指示を受けた。
作業開始は明日からなので、休んでおくようにとの事だ。
ちなみにこのコロニー、3面ある居住用のスペースのうちの2つが駐艇場になっていて、残りのひとつが、本部や宿泊施設・福利厚生施設・修理ドッグ・ガススタンド・各種倉庫なんかになっている。
そうして船を泊め、宿泊施設にむかった。
するとそこで、以前のあのデブリ屋のおっちゃんと再会したのだ。
「あ!おっちゃん!」
「お!あの時の兄ちゃんじゃねえか!」
デブリ屋がメインでと聞いていたので、もしかしたらと思っていたけど、こうやって会えるのは嬉しいかぎりだ。
「やっぱり参加してたんだね」
「コルコス政府からの要請だからな。要はデブリの回収の要領だからよ、うち以外のデブリ屋もいっぱい参加してるよ」
「じゃあ要領は前と似た感じ?」
「ああ。デブリなら取れた量なんかも関係するんだが、今回は確実な回収がメインだからな。だからと言ってだらだらやってたら、どやされるだろうがな」
僕とおっちゃん=リグス・ヴォルバードさんはアドレスを交換し、今回も組んで仕事をする事にした。
そうそう、アーサー君とセイラ嬢もちゃんと参加していた。
ベタベタはしていないものの、ラブラブな空気を辺りに振り撒き、血涙を流す男連中を増やしていたのは間違いなかった。
そして翌朝。
朝食の時間に、全館オープン回線での朝礼?が行なわれた。
「えー皆さん。今回の事業にご参加いただきありがとうごさいます。
今回の
小惑星や岩石を、回収専用コンテナに乗せて所定の超大型輸送船に集積する。
直径50mを超えるサイズのものは、惑星コルコスの衛星であるグマの近隣までタグボートで
よって皆様が収集するのは、それ以下の大きさの小惑星や岩石という事になります。
直径50mに近いものは、高出力レーザーを使用し、カッティングをした後に回収します。
それなら全部カットすればいいだろうと思うでしょうが、用意出来た高出力レーザーの数が少なかったのと、50m以上の小惑星での採掘による雇用拡大という目的があります。
そもそもこの収集作業自体、雇用拡大が目的なので、その辺りは察していただきたく思います。
燃料補給や休憩は、この随伴させてきたコロニーで取ってください。
安全第一。なにか気がついたことがあれば、すぐに報告して下さい。
とはいえ、だらだらと長引かせるような行為も困ります。
迅速かつ安全に。事故のないように作業を進めていってください。
では、朝食終了後に作業を開始してください!」
親馬鹿な人の写真や動画は、最初はともかく何度も見せられると苦痛になります
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