モブNo.30:『僕が一方の船を引き付けます!その間にもう一方の船を航行不能にしてください!撃沈は駄目です!捕縛しないと!』
2隻とも、外見は間違いなく
おまけに無人機まで繰り出してきた。
どうみても真っ当な輸送船ではない。
あの会社は、特に悪い噂もないまともな会社のはずなんだけど…、裏ではなにやってるかわからないもんだね。
って、それだったらあんなに堂々と会社のロゴを付けるわけはないし、船体コードをさらしてたりしないっしょ!
多分、ライバル会社の陰謀かなんかなんだろうな。
そんなことを考えてると、アーサー君から指示がとんできた。
『僕が一方の船を引き付けます!その間にもう一方の船を航行不能にしてください!撃沈は駄目です!捕縛しないと!』
その指示で、彼が何をするか全員が理解し、
『だったら俺がフォローに回る。きっちり黙らせてやるぜ!』
レビン君は、即座にアーサー君の向かう船に向かい、
『さて。俺達年寄りも、一働きしねえとな』
『アタシはまだ30前だ!』
『あの2人よりは年寄りだろうが』
バーナードのおっさんの言葉に、モリーゼが噛みつきながら、僕と一緒にもう1隻の船に向かっていった。
すると当然、無人機が迎撃しにやってくる。
『あれはアタシがやる。でかいのはまかせるよ!』
モリーゼは
『となると、俺達があのでかいのだな。頼むぞ若いの』
『了解。フォローにはいりますよ』
そして僕は、バーナードのおっさんと一緒に、もう1隻の船に向かっていった。
『左舷第4砲塔大破!』
『第1第3
『くそっ!
ブリッジの船長席にいるこの俺様の耳には、大金を永続的に得ることのできるこの船に、どんどんとダメージが入っていく報告ばかりだ。
「無人機は何やってるんだ?!出したはずだろうが!」
「すでに3分の2が撃墜されてます!」
「有人機もあるだろうが!出せ!」
くそっ!
そして狙うのは
その輸送を
その事実を携えた上で、
契約をしないなら、今までの行動は
この俺様の完璧な金の成る木を作る計画が!
勝手に判断して発砲した無能のせいで!
こんなに簡単に破綻するなんてありえねえ!
『こちら貨物室!搬出用のハッチが破壊されて開きません!』
さらには他の部下共も、
「ビームで扉をぶち壊せばいいだろうが!」
『了解!よぉし!全員どけ!』
このぐらいの知恵も出ない無能ばかり!
誰だ?誰の陰謀だ?
一番規模のでかかったカイデス海賊団は軍に滅ぼされた!
一番凶悪だったグリムリープ海賊団も軍と傭兵とレーサーに潰された!
だったら次の海賊のトップに立つのはこの俺様、スタルバ・バンデグロ率いる『バンデグロ海賊団』だろうが!
その潤沢の資金を得るための完璧な作戦を邪魔したのは誰の陰謀だ!
その時軽い振動が起き、
『扉破壊!有人機出れます!』
という報告があがった。
「よし!カトンボを落としてこい!」
相手はたった5機。
こっちは20機近くいるんだ、落とせねえわけがねえ!
『よぉし!張り付いた奴らをひっぺが…』
ズドォォォォン!
「貨物室に被弾!酸素流出確認!隔壁閉じます!」
なんでだ…なんでたった2機の小型艇に、俺様の船が落とされかかってんだよ!ふざけんじゃねえ!
「おい!そういや2号船はどうした?どうしてこっちの援護をしねえ?!」
俺様は2号船に指示を出す。
しかし返ってきたのは、
『こちら2号船!こっちも貼り付かれて身動きが取れません!』
無能を絵に描いた返答だった。
くそっ!これもさっきの野郎が勝手に撃ったせいだ!あいつが勝手に撃ったから何もかも狂っちまったんだ!
簡単にぶっ殺すんじゃなかった!
もっといたぶって、誰の差し金か聞き出しておくんだった!
そこに、俺様をさらにイラつかせる報告があがった。
「新たな船影発見!軍の船です!5…6…7…8…全部で12隻!」
ふ・ざ・け・ん・な!
なんで軍が出てくるんだ?!
なんで!なんで、俺様の思ったとおりにならないんだよ!
『現在戦闘中の全機体へ。即座に戦闘を中止しろ。繰り返す。即座に戦闘を中止しろ』
忌々しい軍からの命令があってようやく、俺様の船への攻撃がやんだ。
「いまだ!全速力で飛ばせ!」
馬鹿正直に止まる必要はねえ!
2号船を
しかし、俺様の船は、そこから1㎜たりとも動く事はなかった。
『アーサー様!ご無事ですか?』
その軍を引き連れてきたセイラが、仕事モードを解除し、生身なら飛び付いてキスの雨を降らさんばかりに、アーサー君に声をかけていた。
アーサー君の実力なら充分に生き残れるだろうけど、何が起こるかわからないのが戦場だから、彼女の心配は当然だろう。
僕を含めた4人の心配もして欲しいものだけど、恋人とでは扱いの差があって当然だろう。
ちなみに輸送船『ランオイタン号』は、少しはなれたところに、軍艦と一緒に待機しているらしい。
感動?の再会も終わり、では改めて依頼を再開しようとしたときに、軍の船から
『お見事ですね。たった5機で改造戦闘船2隻を無力化なんて』
その
親衛隊のプロパガンダの御姫様がなんでここに?
6人全員が困惑しているところに、
『指揮をなさったのは…貴方ですよね?ええと…アーサー・リンガードさん?』
ハイリアット大尉はごく自然にアーサー君に声をかけた。
僕はともかく、バーナードのおっさんや、
すごいなー。次期有能株をばっちり狙い撃ったお。
まあ、セイラ嬢から聞いていたのかも知れないけど。
『はい。皆さんが指揮を任せてくれたので、僭越ながら取らせていただきました』
アーサー君は自分を謙遜?しながらも丁寧に返答する。
『そうなんですね。貴方のような優秀な方が軍に入ってくれると、心強いのですけどね』
ハイリアット大尉は、ちょっぴり期待するような表情を浮かべながらアーサー君を見つめる。
あざといアピールだが、出来れば優秀な人材を軍に集めておきたいという、上層部がらの方針を実行しているのだろう。
あれにやられて軍に入った連中は多いらしい。
そして今回はアーサー君狙いか。
ここに居たことは偶然なのだろうが、コナはかけておこうって感じか。
それでアーサー君が入隊すれば儲けものだ。
勿論。それを絶対に許さない人物がいる。
『ハイリアット大尉殿?犯罪者逮捕の指揮は取らなくてよろしいんですか?』
『あ、はい。指示はしてありますので問題はありませんよ』
そう、セイラ嬢だ。
明らかに慇懃無礼な感じでアーサー君との会話をブチ斬り、
『そうですか。では私達はまだ仕事がありますので失礼しいたします。アーサー様、
アーサー君を自分の方に引き寄せた。
そうして直ぐに速度をあげ、『ランオイタン号』の待機場所に向かっていった。
ちなみにハイリアット大尉は、セイラ嬢の迫力にしばらくはぽかんとしていたが、
『あのお2人は恋人だったのかしら?でもあのアーサーさんは欲しいなー(人材的に)』
と、蠱惑的な笑みをうかべながら呟いたとか。
噂だけど。
戦闘描写は苦手です
北さん様よりレビューをいただいていて、お礼を言うのをすっかり忘れていました。
申し訳ございません…
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