モブNo.29:『ライバル会社じゃないか!速度をあげろ!連中より少しでも早く惑星ガライフに到着するんだ!』
レビン君の相談?に答えた後、アーサー君達と交代して、4時間の仮眠をしっかりと取り、
朝6時になった時は、
スタンガンでの気絶の影響がようやく抜けた部長さんに、夜間の報告などをしているうちに、
午前6時50分には、惑星ガライフ行きのゲートに到着していた。
ちなみにこのゲートから1億5000万kmという近い距離に、主系列星の恒星。つまりは太陽があり、まさに太陽に向かって開く巨大な『サンフラワー=
予定より早く到着したことから部長さんは大喜びし、
『よし。すぐにゲート越えだ!』
と、鼻息を荒くして船を進めようとした。
しかし、
『申し訳ありません。今チェック中でして。あと10分ほどお待ちください』
と、ゲート管理側からの待ったがかかった。
部長さんにとって、それは許されない一言だったらしく、
『そんなチェックぐらいどうでもいいだろう!早く通してくれ!こっちは急いでいるんだ!社運がかかってるんだぞ!』
と、昨日同様に盛大に
その瞬間、ノストゥさんが部長さんの後に立っていた。
しかし彼女の出番が来る前に、
『では事故が起こった場合、全て貴方の責任にしてかまいませんね?会話を録音し、船名と責任者のお名前は控えさせていただきましたので、言い逃れはできませんよ?』
というゲート管理コロニーの女性
『い、いや…それは…ちょっと…』
『では、10分ほどお待ちくださいね♪』
と、あっさりと沈黙させられてしまった。
あの女性
そして、せっかく休憩時間ができたのならと、アーサー君が代表して、女性
『あの。ゲートの向こうはどうなってますか?交通量とか事故とか
すると女性の
『実は海賊による被害が増えてるらしいの。やっぱり家電メーカーの新製品発表会があるからなんだろうけど、それにしても多いのよね。軍と警察が躍起になって討伐しているのに』
『それは…奇妙ですね』
確かに奇妙な話だ。
そもそも『軍と警察が躍起になって海賊狩りをしている』から、貨物の輸送が増え、今回の依頼が発生したわけだ。
であるにも関わらず、海賊の被害が増えているというのは、惑星ガライフで家電の新製品発表会があるとはいえ、なにがしらの原因があるはずだ。
そんな事を考えているうちに10分が過ぎ、
『よし!10分経ったぞ!早くゲートを通過させろ!』
また部長さんが騒ぎはじめた。
いやいや、ちゃんと順番がありますからね?
それに、ゲート自体が大きいから10隻ぐらいは同時に入れるんだから焦ることもないのに。
いい加減学習した方がいいと思うんだけどなぁ。
ほら、後でノストゥさんが笑顔になってる…。
ともかく無事にゲートを超える事ができ、改めて惑星ガライフへ向けて出発した。
いままでの道程が順調であっただけに、なんとなく言い知れない不安が襲ってくる。
それでも何事もなくゲートを通過してから5時間。
ちょうど昼食の時間になったので、
「7時の方向に船影発見。2隻いるかな?」
『こちらも確認しました。確かに7時の方向に2隻。船体コードは…
セイラ嬢の方も発見したらしく、早速船体コードまでチェックしたらしい。
どうやら向こうも、同じところに同じ理由で向かっているのだろう。
『ライバル会社じゃないか!速度をあげろ!連中より少しでも早く惑星ガライフに到着するんだ!』
そして早速部長さんが反応し、我が儘を言い始めた。
しかも、運の悪いことに、ノストゥさんがブリッジに居ないらしい。
そしてなんと、操舵士を押し退けて舵をにぎり、スロットルを開いてしまったのだ!
『うおっ?!なんだ!』
そのせいで、先頭のレビン君が、いきなり速度を上げた『ランオイタン号』に驚き、衝突回避のために慌てて舵を切った。
もちろん、僕を含めたほかの5人も同様に衝突回避の行動をとった。
『なにしやがるんだテメエこのクソ部長!』
『ぐはっ!』
『ランオイタン号』のほうも、操舵士の社員さんが部長さんを殴り倒して直ぐに舵を取り返し、僕たちとの衝突を回避した。
安全のために十分に距離を取っていたのが幸いし、誰とも衝突することはなかった。
すると次の瞬間、一発のビームが、『ランオイタン号』と僕らの船の間を突き抜けていった。
もし全員が回避行動をしていなかったら直撃していたかもしれない。
ビームの来た方向は背後。
つまり、撃ってきたのは
いくら新製品発表会で勝利するためとはいえ、ここまでやるとは…。
企業のお偉いさんってのは何を考えているんだか。
そんなことを考えながらも、船首を
『『ランオイタン号』はそのままこの宙域を離脱!セイラは追従しながら軍と警察に通報!残りは反転して迎撃を!』
お見事な即時の判断に、全員への的確な指示。
僕には真似出来ないね。
『了解しました!アーサー様御武運を!』
『『ランオイタン号』了解!全速力だ!』
その指示に従い、『ランオイタン号』とセイラ嬢は全速力で宙域から離脱していく。
さあ、
それにしても、あの部長さんの我が儘のお陰で助かったのはなんとも複雑だ。
船のブリッジ。
「馬鹿野郎!」バキッ!
ビジネススーツをきっちりと着こなした、エリートビジネスマン風のイケメンが、対照的な荒くれ者といった感じの服装をした男を殴り付けた。
「おれが合図するまで絶対に撃つなっていっておいたよな?」
ビジネスマン風のイケメンは、殴った男の胸ぐらを掴むと、再度殴り付けた。
周りにはブリッジのクルーがいるが、誰1人としてそれを止めようとはしない。
「だって、いきなりスピード上げやがったから、逃げたと思って…つい」
殴られた男は、鼻血を出しながら弱々しく反論するが、ビジネスマン風のイケメンは聞く耳をもたず、
「てめえのせいで計画を断念しなきゃいけなくなったじゃねえか!」
また男を殴り付ける。
「すみませんっ!ですがっ!あのまま逃がしちゃ不味いと思ったから撃ったんです!まさかかわすとは思わなかったんです!」
そして、男の再度の言い訳に、ビジネスマン風のイケメンは、ついに我慢の限界に来たらしい。
「思わなかったんです。じゃねえよ?あ、お前、わざと撃ったろ?俺様の超絶に頭のいい完璧な計画をオジャンにするためにわざと撃ったろ?!」
「そっそんなことはっ!」
「あれだ。おまえどっかのスパイか。だよなあ♪でなきゃ俺様の超絶に頭のいい完璧な計画を邪魔するわけねえもんなあ!」
ビジネスマン風のイケメンは、自分の推理に納得しながら笑顔を浮かべ、
バスッ!
「片付けろ」
動かなくなった男には見向きもせず、ビジネスマン風のイケメンは、前面にうつる獲物を睨み付けていた。
「ちっ!スパイのせいで、これが最後になっちまったぜ…。よし!お前ら!最後の獲物だ。逃がすなよ!」
「「「「「「「「「おーっ!」」」」」」」」」
ついにトラブルです!
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