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モブNo.23:「大丈夫。貴女は一番悲鳴をあげる、最も残酷な方法で殺してあげる♪」

また主人公の出番が少ないモブ仕様

ちょっと短めです


お叱りをいただき、

自分でも見直してあかんと思い、

最後の一部を削除し、

加筆訂正したものを次話という形で投稿いたしました。

投稿した日は、実生活で色々あって疲れていたのだと思います

男爵夫人サイド:第三者視点


御屋敷の執務室で、画面(モニター)を見ながら、グリエント男爵夫人は声を荒げた。

「ちょっと!あの連中はなにやってるのよ?!」

「味方部隊に砲撃をしていますね」

「なに勝手なことやってるのよ!」

味方の一部が離反し、同士討ちをしているからだ。

絶対に勝利すると思っていた戦争で、ゆっくりと確実に敗北に向かっているのを見せられ、グリエント男爵夫人は焦りと怒りを(あらわ)にした。

「いいわ。人質にしていた連中の家族を殺しなさい。一番悲鳴をあげる、最も残酷な方法でね」

グリエント男爵夫人は、その怒りを捕らえてある人質に向け、自分の命令に逆らった愚か者達を苦しめる手段を発令した。

「かしこまりました。ですが…」

そこに、彼女の後ろに控えていたメイドが、グリエント男爵夫人の命令に従いながらも、意見を述べようとした。

「なによ?!」

「あの戦闘でこちらが敗北すれば、どのみちお立場が危なくなるのでは?」

「たしかにそうね…」

珍しくメイドの意見を聞き入れ、夫人はデスクから汎用端末(ツール)を取り出す。

「だったらこれで、まとめて吹き飛ばせばこちらの勝ちよね?」

その汎用端末(ツール)を見た瞬間、メイドの表情は凍り付いた。

「本当に、それをお使いになるんですか?」

「当たり前よ!味方旗艦に乗せておいた、リモートスイッチで起動できる惑星破壊用兵器『フレア』を起動して混戦時に敵味方まとめて消滅させる。私兵や傭兵やなんかは使い捨てだから問題なし。おまけにロセロ伯爵も始末出来るんだからちょうどいいでしょう?さあ、貴女も見なさい。綺麗な花火が上がるわよ」

そう、薄ら笑いを浮かべながら、夫人は汎用端末(ツール)の画面をタップした。

とはいえすぐに爆発するわけではなく、約3分ほど経過してから爆発する仕組みになっている。


しかし、5分が経過しても、爆発は起こらなかった。


「ちょっと!どうなってるのよ!?なんで爆発しないのよ!」

夫人は、怒りのあまり端末を床に投げつける。

そこに、先ほどまで静かにたたずんでいたメイドが、不意に言葉を発した。

「無駄ですよ。爆発はしません」

「それはどういうこと?」

そのメイドの言葉に、夫人は驚きと苛立ちを隠さないまま尋ねた。

するとメイドは、至極冷静にその質問に答えた。

「そんな爆弾は最初から存在しません。貴女に見せたのは、それらしい外見をしたただの置物(オブジェ)ですよ」

その言葉で、メイドが自分の敵と判断した夫人は、通信(でんわ)のボタンを押し、

「私の部屋にきてちょうだい。私に逆らった頭の悪い女に、女として最悪な、一番惨めな姿にしてあげてちょうだい」

そう言って通信(でんわ)を切り、メイドから距離を取った。

するとすぐに、黒服を着た屈強な男達が、執務に雪崩れ込んだ。

「来たわね。その女を捕まえなさい」

男達が来たことで安心し、優雅にワインを飲もうと、ワイングラスを手に取った瞬間、夫人は男達によって拘束された。

夫人は、信じられないといった表情で、男達を睨みつけた。

「なにするのよ?!私じゃなくてそのメイドよ!」

しかし男達は夫人の拘束を解かない。

「私にこんなことをしていいと思ってるの?!ここには100人以上の私の親衛隊がいるのよ?逃げれるわけないわ!」

夫人は、すぐにでもその親衛隊がここにやってくるぞという事を示唆したが、

「お前のそのご自慢の親衛隊だがな、1割殺したら、残りは逃げたぞ。当然の選択だな。お前などを、命を投げうって助けようというものなどいない!」

男の口からとんでもない事実をきかされてしまった。

すると夫人は身体を震わせ、

「私は貴族なのよ!私の美しさに虜になっている貴族は沢山いるのよ!私はいずれ女帝として君臨するの!その私にこんなことをして!後悔するわよ!」

と、醜くわめき散らした。

すると、メイドが夫人に近寄り、

「貴女のどこが女帝?ただの若作りした色ボケ婆さんじゃない」

汚物を見るような表情で、夫人を見下ろした。

「エリザリア・グリエント。いえ、ある男の妻を事故に見せかけて殺し、その夫の後妻となり、その後、その夫と娘を殺害し、その資産を全て奪った女、ジーナ・カルスターフ。事件が起こったのは20年前。その時ジーナ・カルスターフは30代前半だった。それを考えれば、実際の年齢は50は超えているわ」

「知らないわよそんな女!」

夫人は、怯えた表情をしながらも、メイドの話を否定した。

それでもメイドは話をやめなかった。

「殺されたのは、夫ザック・ボードアル。妻セリカ・ボードアル。でも、娘のリンダ・ボードアルは生き残った」

「嘘よ!あの時ちゃんと殺したはず…」

夫人は驚いた表情をした後、思わず言葉を発したが、すぐに口を閉じた。

「たしかに私とパパは、貴女に崖下に突き落とされた。でも、パパが自分がクッションになって、私が水に叩きつけられるのを防いでくれた。だから私は生き残った」

「嘘よ!あの時たしかに子供の死体も!」

「偶然別の子供の死体が流れ着いたのよ。だから私はいまここにいるわ。この屋敷に勤めることになった時、バレるかと思ったけどバレなかった。貴女にとっては些末なことだったからよね?」

メイドは、自分の過去を語り終えると、夫人の髪を掴んで、

「大丈夫。貴女は一番悲鳴をあげる、最も残酷な方法で殺してあげる♪」

満面の笑みを浮かべた。

その笑顔に、エリザリア・グリエント男爵夫人こと、ジーナ・カルスターフは、心の底から恐怖した。


男爵夫人サイド:終了

美人の笑顔は、場合によっては怖いですよね


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