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秘話 ギルドカード内超会議2

女神が切りだした本題という言葉に、この場は一気に緊張感に包まれた。


「本題という事は……あの者についてですね」

「あいつか……」

「本当諦めが悪いんだから……」


この場に居る全員が共通の事を思い出しているのか、全員が一斉に深いため息を吐いた。


「私達4柱が揃ったという事は後は……あの子だけですか……」

「まぁ、私達でも無理だったし、直接干渉出来ない以上……」

「十中八九破られるだろうな……」

「でしょうね……」


これから起こるであろう事を想像し、女神達は憂鬱になった。


「まさか私達の自らを封印する事を媒介にした神封印と7つの補助封印を破る手段を残しているなんて」

「本当に厄介ですね」

「私あいつ嫌いなんだよな」

「私達の力じゃ封じるのが精一杯ですし……」

「それも無理かもしれない。なんか前より力が強くなってる感じがするし」

「あの行商っぽい人をどうにか出来ないでしょうか?ワズ様に教えて止めてもらうとか?」

「無理だろ。どうみても既に時間の問題だ。いずれ封印は破られる」

「そうですね。なら今は奴が蘇った後、私達が取るべき行動を考えておくべきかと」

「ですね。今のワズさんでも勝てないでしょうから、まずは私達が世界に顕現する手段を見つけておかないと……」

「「「……」」」


その後暫く沈黙が流れると女神がぽそっと呟いた。


「けど、あの子が戻ってくるとして……まさかあの子もワズさんに惚れたりして……」


その発言にぴくっと他の3柱が反応した。


「いやいや、それはいくらなんでもないでしょう?」

「だよな!!それはない!!」

「えぇ、私もそれはないんじゃないかと」


しかし、一抹の不安は隠せないのか全員がそれぞれ微妙そうな表情を浮かべながら、周りの賛同を得ようと確認するが誰も肯定する事が出来ず目を逸らすだけだった。


「「「「……否定出来ない」」」」


ぴたりと満場一致の回答だった。


「で、でも、ワズさんの心は私に向いてますけどね」

「いいえ、私です。ワズ様はきっと私の癒しを求めています」

「いやいや、私だって。対等に戦える者を欲してるはずさ」

「違います。大海のように全てを受け止める私です」


全員が席を立ち、バチバチと互いに火花を散らしだした。すると、女神が開いた手を前に出し、大きく高らかに宣言した。


「よろしい。ならば戦争だ!!!!!」






女神達は戦争状態へと移行した。勝敗の手段はトランプを使ったババ抜きに委ねられた。丸テーブルの四方に座り、中央にはペアを揃えられたトランプが大量にある。決着までそう時間は掛からないだろう。というのも既に海の女神、大地母神の順で上がっており残りは女神と戦女神の戦いだけだった。先に上がった大地母神と海の女神は余裕の微笑みで高みの見物である。


「頑張って下さいね、お二方」

「フフ……勝利の美茶はなんと美味しい事か……」

「「ぐぬぬ……」」


大地母神と海の女神は勝者として陽気に紅茶を嗜んでいる。そんな様子を見せられ、女神と戦女神は歯噛みした。それでも互いに目の前の相手からは目を逸らさない。それもそうだろう。既に手に持っているトランプの数は女神2、戦女神1である。戦女神はごくりと喉を鳴らすと、ゆっくりと手を伸ばし女神が持つ2枚の内、戦女神から見て左の方にあるトランプを掴むと、にやりと笑った。


「お前の癖はわかってる。こっちが正解だろ?」


ハッタリである事は戦女神も理解している。言葉を投げかけ、その反応で正解を導き出そうとしているのだ。だからこそ、戦女神は女神から目を逸らす事はなかった。しかし、戦女神の瞳に写る女神は不敵に笑った。


「愚策ですね。私にそのような癖はありません」

「愚策?なんだ知らなかったのか?正直に教えて損したな」

「愚かな……私にはその言葉が嘘である事がわかりますよ」

「……」

「私がアナタの言葉を嘘だと見抜いた理由は簡単です。嘘を吐くため緊張したのでしょうね、左頬に汗をかいてますよ」


女神の言葉に動揺し、戦女神はトランプを掴んでいた手を離し、ゆっくりと自身の左頬へと持っていき触れる。が、そこに汗などかいていなかった。


「フッ……どっちが嘘つきなのやら……」


戦女神は自分が汗をかいてない事に安心し、再び女神のトランプへと手を向けるが途中で止めてしまう。女神が恍惚な笑顔を自分へと向けているからだ。


「フフ……クフフ……ア~ハッハッハッ!!まだ気付きませんか?愚かですねぇ!!頭まで筋肉で出来てるんじゃないですか?大事なのは汗をかいている事ではないんですよ!!私の言葉通りに確認した行動が大事なのですよ!!その行動こそがアナタの言葉が嘘だった事の証明だったんですよ!!」


戦女神は女神の言葉にようやく自分がしでかしたミスに気付いた。女神の言葉に従って確認した戦女神の行動こそが、女神が仕掛けた罠だったのだ。もし戦女神の言葉が嘘でないのであれば確認などしない。だが嘘であった以上、バレたと思った戦女神は確認するしかなかった。女神の言葉を否定するために。しかし、その行動こそが女神の狙いだったのだ。女神にとっても一か八かの賭けだった。自分に本当にそんな癖があったのかと疑い、心臓はバクバクであったのだが女神は賭けに勝った。勝ったのだ。運は自分に味方している。女神は自分の勝利を確信し高らかに宣言する。


「さぁ、引きなさい!!そして負けなさい!!」

「くそ~~~!!!!!」


戦女神が自らの敗北を悟り、半ばヤケで女神から1枚のトランプを引く。そのトランプに描かれている絵柄は戦女神が持っているトランプの絵柄と一緒だった。


「あっ、揃った」

「ばかなあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」


女神はその場に崩れ落ち、戦女神は大地母神と海の女神と共に勝利を喜んだ。


「私達の勝利ですね」

「やったぜ!!」

「当然の結果だな」


喜び合う3柱とは別に女神は崩れ落ちた態勢から立ち直ると暗く笑いだした。


「フフフ……」

「あら?敗者が何か言うのかしら?」

「おいおい、負け犬の遠吠えか?」

「見苦しいぞ」

「……なるほど……確かにババ抜きでしたね……」

「「「?」」」


3柱が女神の発言の意味が分からないと首を傾げると、女神は次の言葉を発した。


「……確かにその名の通り、“ババァ”から抜けて一番若い私が残りましたね」

「「「よろしい!!ならば次の戦争だ!!」」」


こうして女神達は再び戦争という名のゲームを始めた……

明日は投稿数が100になりますので、ちょっと趣向をかえた話になります!!


深夜のテンションで作った話なので細かい部分は気にしない!!

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