Sランクの格闘家
PV15万、ブクマ300件、ユニーク2万突破しました~~~!!!
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これからも読んで下さる皆様が楽しんで頂けるよう、毎日更新の完結目指して頑張ります!!!
フリューゲルは上半身を斜めにし、左手を開いて前に突き出し、右手は自分の体が近くで握り、重心を落として構えのような形をとる。反対に俺はだらんと両手を垂らしてぼ~っとしている。だって俺格闘スキル無いし、というかよくよく考えれば戦闘用スキル持ってないし。今までただ単に殴る蹴るしかしてこなかったからなぁ……う~ん、果たしてSランク相手に俺の力は通じるんだろうか?
「じゃ、行くぞ?」
どこかで格闘スキルでも習っておバコンッ!!!
腹に衝撃がきた!しまった、考えごドスッ!!!
頬を蹴られたぁ~~~~~~ドッゴ~~ン!!!
殴る→蹴る→投げるの連続攻撃で現在俺は地面に寝ていた。やべっ!!フリューゲルが俺を踏みつけようと足を降り下ろそうとしてきたので、咄嗟に俺は転がって避け、腕の力で素早く立ち上がると即座に殴りかかったが、俺の拳は空を切った。あれ?避けられた?そのまま俺の腹部にフリューゲルの蹴りが入り、空中へと飛ばされた。
空中で体勢を立て直し、着地するとフリューゲルは訝しげな表情を俺に向けていた。
「なんなんだお前は?」
「ん?」
「なんというか、ちぐはぐだ。それだけの身体能力を持ち、拳が当たった時の感触はまるで何千年の大樹でありながら、動きは素人というよりは野生の獣のような……まさか何の戦闘スキルも持ってないのか?」
……正解です。え?今の攻防だけで分かっちゃったの?たしかに俺の戦い方は自分の身体能力に任せた戦い方であり、まともな戦闘経験なんて山に居た時だけ……それをフリューゲルは見抜いたのか……たった今の動きだけで……これがSランクなのか……
「せっかく楽しい戦いが出来ると思ったんだがなぁ……まぁいいか……さっさと終わらせるか」
フリューゲルが落胆を示すように頭を掻いているのを見て、俺は一気に間合いを詰め顔面に向けて拳を放つが、それも簡単に避けられた。
「お前の身体能力だけでやれるのは、せいぜいAランクの弱い奴等までだ。技術が無けりゃ俺には当てられんよ」
そう言って俺の脇腹に掌底が入る。瞬間、俺の体の中で水場に水滴を垂らしたような波紋が広がる。体の内部から激しく痛みを感じ、そのままその場に倒れた。
グッ……なんだこれ……
一瞬、体の中から異物が混じったような気持ち悪い感覚が広がり、内蔵が悲鳴をあげる。口の中に鉄の味がしたので指を口の中に入れて出すと赤い液体が付いていた。血か……これ?気持ち悪い感覚は直ぐ様消えたので、俺は立ち上がり、口の中に残っている血を吐き飛ばすとフリューゲルを睨み付ける。
「……何をしたんだ?」
「なんだ、レライヤから聞いてないのか?」
「……何を?」
「Sランク冒険者にはあだ名がつく。俺のあだ名は『壊し屋』。俺は自分の魔力を相手の体内に放出する事で内部を破壊する事が出来る特殊な魔力の持ち主なんだよ」
……なるほど、だからナヴィリオは時間稼ぎって言っていたのか。攻撃も当たらないし、戦闘スキルを持ってもいないうえに、フリューゲルは俺にダメージを与える事が出来る……か。くそっ。
「まったく、とんだ期待ハズレだな……ちっ、まぁ精々耐えきってみせろよ」
フリューゲルが一瞬で俺の目の前へと迫り、左拳が俺に向かって飛んでくる。それを飛ぶように大きく後ろに下がって避けグッ!!……左腹部にフリューゲルの右拳が入っていた。ドクンッ!!!!!
「グウゥゥゥゥッ!!!!!」
再び感じる体の内側からの痛みは先程よりも大きく、俺はその場で膝をつき倒れ、ジタバタともがく。痛みは直ぐに消えるが、俺は涙目になりながらフリューゲルを睨む。
「フー……フー……」
「さっきよりも強めに放ったがまだ大丈夫みたいだな」
くそっ!!
俺は瞬時に立ち上がり殴りかかる。ナヴィリオを助けた時とまではいかないが、世界の流れがゆっくりになる。それでも俺の拳はフリューゲルに避けられ、逆に殴り飛ばされ全身に痛みが走る。着地と共に痛みが消えたので、今度は勢いまかせに蹴りを放つが、それも避けられ服を掴まれるとそのまま投げられ、地面に叩きつけられた。体の内から痛みが走り、消える。歯を食いしばって、体を回転させながら蹴りを繰り出すが狙った場所にフリューゲルは居らず、どこに行ったと視線を回すが見つからない。すると今度は背中に重みが加わり俺はそのまま地面へめり込む。痛みが走り、消える。どうやら、俺が蹴りを繰り出す前に空へと飛び、そのまま俺へと着地したようだ。
「無駄だ。お前の動きは単調すぎる。読みやすいと言った方がいいか?どれだけ強い力だろうが俺には当たらんよ」
俺の上に乗っているフリューゲルに対し、体勢を崩すため無理矢理起き上がり裏拳の要領で殴ろうとするが、その前に顔面を叩きつけるように蹴られ、俺の拳はかすりもしなかった。体に痛みが走り、消える。フリューゲルは俺から退くと目の前に立っていた。ちくしょ~……
「まだ理解出来ないのか?お前じゃ俺には勝てないという事が」
やばいなぁ……くそっ……
……このままじゃ勝てない……どうすればいい……
それでも俺は諦めきれず、フリューゲルの動きを確認しながら何度も挑んだが、それでも俺の攻撃が当たる事はなく、何度も体に痛みを感じては消えを繰り返した。
「はぁ……はぁ……」
現在、俺とフリューゲルは対峙するように立っている。フリューゲルは無傷で悠然と立ち、俺は何度も地面に叩き転がされたせいでボロボロだ。呼吸を整えるように大きく息を吸っては吐いてを繰り返している。
「はぁ……はぁ……理解したよ……」