ニアミス
PV10万突破記念第2弾です!!
とうとう彼女が少し出てきます。
次はいつものように18時頃投稿します!!
扉の外から聴こえた内容に俺の思考は停止した。えっと……誰が来てる……って……勇者様……とその……パーティー……てことは……もしか……して……アリアァアアァアァァァ!!!!!アババババババッ!!!!!何故だ?手足が震える……
「しょうがねぇな。ナミニッサ、話は後だ。いいぞ、ここに連れてこい」
「わかりました」
レライヤの承諾を経て受付嬢のサラさんという人が足早に廊下を駆けていく音が聴こえる。え?会うの?ここに来るの?や、やばい!!ど、どどど、どうしよう……
「ナミニッサ達はどうする?一旦別の部屋に行っておくか?用があるのは私みたいだし」
そ、それだ!!!そうしよう!!!
「いえ、構いませんよ。勇者様がわざわざギルドマスターたるレライヤ様に会おうとしておられるような要件なのです。お邪魔でなければ同席させて貰おうと思います」
「では、自分達はナミニッサ様の従者という事で残っておきます」
「わかった。まぁ、駄目だったらその時は部屋を用意するから、そこでしばらく待っててくれ」
なんでだよ!!!今すぐ移動しようぜ!!!あぁ~~~!もう!!!俺はオロオロしたり、頭を抱えたりと落ち着きが無くなっている。そんな俺を皆は不思議そうな顔で見ている事には気付いていたんだが、どうにも落ち着く事が出来ない。このままじゃどうしようもないので俺だけでも別の部屋に行ってもいいですか?とレライヤさんに聞く前に無情にも、部屋にノック音が響いた。
「サラです。勇者様とパーティーの方々をお連れしました」
アビヤバビィヤアババババッ!!!!!
俺は急いで部屋の中を見回すと、メアルをナミニッサに預け、レライヤさんが仕事をしていた机の影に隠れる。突然の俺の行動に皆がポカンとしていると、再び部屋の外から声がかかる。
「あの?ギルドマスター?」
「あ……あぁ!!悪い!!入って貰ってくれ!!」
「失礼します」
部屋の扉が開く音が聴こえる。俺の体は再び震えだしたので、きつく自分の体を抱き締める。それでも震えは止まらなかった。早く終われときつく目を瞑り、何も知りたくないと耳を手で塞ぐが、それでも会話は耳に届いた。
「よく来たな。まぁ座ってくれ」
「失礼します……ナミニッサ様もお久し振りです」
「えぇ、南の勇者ルーサー様もお元気そうでなによりです。アリアも久し振りに会いましたが少しやつれましたか?」
「ナミニッサにはばれるか。まっ、いろいろあったのよ。まぁ、とりあえず私は大丈夫だから、今は本題に入りましょ」
ビクッ!!!そりゃ居るよな……うぅ……
「そうだな。それでわざわざ私を訪ねてきた理由はなんだ?」
「その前に彼は誰でしょうか?この話は信頼の置ける人にだけお伝えしたいのですが……」
「彼はオーランド。現在、騎士見習いの私の従者です。問題はございません」
「わかりました。疑って申し訳ない」
「いえ、自分は勇者様方に会うのは初めてですので疑って当然です。私は気にしておりませんので、どうぞ顔を上げて下さい」
「ありがとう……では本題ですが、実はギルドに内密に調べて頂きたい人物が居るのです」
「ほぅ……わざわざ私に頼むという事はよっぽどの危険人物なのか?」
「……そうなのかもしれません。というのが現状です」
「ん?曖昧な答えだな」
「自分達は魔王を倒した祝勝会の後、世界を巡る旅をしているのですが、所々で危険な呪具や魔物の大量発生等がありました。ですが、そういう事が起こった場所には必ずある人物の目撃談があるのです」
「ほぅ……」
「フードを深く被っているので顔はわからないのですが、全身黒ずくめの商人が必ず居るのです」
「……なるほど。つまりギルドに協力して貰ってその商人を探しだして欲しいと?」
「えぇ、お願い出来ますか?」
「………………いいだろう。危険人物かもしれない奴を野放しには出来ん。ギルドでもその商人を探してみよう」
「ありがとうございます」
「調査結果はどこに送ればいい?」
「自分達はこれから1度休息を取るため、アリアの故郷である南の王都イスコアに向かいますので、そこのギルドへ送って頂ければ」
「わかった。まぁ期待はしないでくれ」
「大丈夫ですよ。まだその商人が危険と判断された訳じゃありませんから。では自分達はそろそろ」
よし、早く出ていってくれ。もう震えすぎて体の感覚がおかしい……手足にまったく力が入らない……
「それでは、またお互い無事に出会えるよう願っております」
「あぁ、そっちも気を付けろよ」
「またね、アリア。今度はゆっくり話せるといいわね」
「えぇそうね……レライヤさん」
「ん?どうしたアリア?」
「実は………………いえ、なんでもないです。よく考えると彼には冒険者なんて無理だろうし……またね、ナミニッサ。ゆっくり話すの約束よ?」
「えぇ、楽しみにしてますわ」
バタンッーーー
「もう出ていったぞ~」
レライヤさんの声で、今まで呼吸を忘れていたかのように俺は大きく息を吐いて、その場に崩れ落ちる。そのままゆっくりと俺は意識を失った。