協力者に会いに行こう
PV10万突破記念第1弾です!
王都に着いた俺達はナミニッサのおかげですんなりと中に入る事が出来た。中に入ると事前の相談通りに俺、メアル、オーランド、ナミニッサとフロイド、クミアの二手に別れ、王城に向かう2人を見送った後、俺達はナミニッサの案内で協力者の元へ向かう。向かう最中はナミニッサに王都についての説明を受けた。
王都マーンボンド。大陸東部で最も栄えている都であり、王族が住まう場所である。この都は3階層に分かれており、最も広いのは今歩いている都の外周区であり、ここには平民階級の人達が住み、大きな商店、冒険者ギルド本部等、様々な商業施設が点在し、この都で生活する人の支えとなっている。その外周区の内側に壁で遮られているのが、貴族区である。ここはその名の通り貴族の方々が住まう場所である。同じ様に貴族区の内側に壁で遮られているのが王城である。また、この都は大陸全土に拡がる輸出入の拠点場所の1つであり、様々な商品がこの都に集まり発展を遂げている。ここまで都が発展したのは現王・ギヴィリオ=マーンボンドになってかららしく、それだけで現王の手腕の高さが知れる。凄い人なんだなぁ……ナミニッサに「凄い王様なんだね」って言うと、苦笑しながら「会えばわかりますけど、あんまり王らしくないですよ」と言われた。まぁ、会う機会なんてないと思うけど……
そうやって話している内に目的の場所へと着いたようだ。ナミニッサに案内された場所は冒険者ギルド本部だった。リニック支部の3倍は大きな建物だった。おや?そう言えば俺もここに用があったような……まっ行けば思い出すだろ。そのままギルドへと入るとナミニッサは受付へと向かい、俺はあまりの人の多さに驚いた。作りはどこも同じなのか、受付に依頼が貼り出されている掲示板、簡単な軽食が取れる場所があった。ただどれもリニック支部をさらに大きくしたような作りであり、この場に居る冒険者達もルーキーからベテランまで様々な人達が居て、人数も数え切れない程居た。冒険者成り立てなのか緊張でガチガチの奴や、顔が傷だらけのおっさんに、際どい装備のエロいお姉さん……に視線を集中させていると、突然耳を引っ張られた。いたぁ!!
「はいは~い、ワズ様行きますよ~」
痛い痛い!!いつの間にか受付から帰ってきたナミニッサに耳を引っ張られている。なんか怒ってる?オーランド!!何にやにやして、こっち見てるんだよ!!助けろよ!!そのまま引っ張られたまま、俺達はギルド奥へと入っていった。
目の前には扉の上にはここが何の部屋なのかを示す表札が掲げられている。そこには「ギルドマスター室」と書かれていた。おっと、協力者ってのはまさか冒険者ギルドのトップって事ですか?そこで思い出したのはレーガンの言葉。つまり、今から会うのはレーガンの姉って事か。そういやバッジ貰ってたな。俺はメアルに頼んで時空間魔法にしまって置いたバッジを取り出し、いつでも見せれるように手の中に握っておく。耳はこの扉の前に着くと離して貰えた。ナミニッサは「当然の報いです」って言ってたけど、何が?と言いたい。ナミニッサはノックをして中へと入っていくので、俺とオーランドもそれに続いた。
ギルドマスター室は高級宿屋の最上級の部屋と思えるくらい綺麗に整えられており、テーブルやソファーにも品の良い調度品が備えられている。部屋の奥には部屋の奥には仕事机であろう書類が乗せられている机があり、そこに1人の女性が書類に判子を押していた。女性を見た第一印象は妖艶なお姉さんだ。切れ長の目に眼鏡をかけており、口元にある小さな黒子が女性の妖艶さを増していた。輝く金色の髪は綺麗にまとめあげられており、細顔立ちをより強調している。レーガンの姉とはとてもじゃないが思えない。女性はナミニッサに気付くと優しく微笑み、スッと立ち上がってこちらへと近付いてくる。黒い革製のパンツスタイルにヒールのある靴を見事に着こなしており、服の上からでも細身の体つきをしているのがわかる。女性がナミニッサに近付くとそのまま抱きついた。
「無事でよかったよ。連絡がないから心配していたんだ」
「この通り大丈夫ですわ」
ナミニッサの無事を確認するように、しばらくの間抱きついていると、女性はナミニッサを離して俺達の方へ視線を向ける。
「で、こいつらは誰だ?見ない顔だがナミニッサの新しい従者か?」
「いえ、新たな協力者です。正体不明の集団に襲われている所を助けて頂きました」
「へぇ~、見かけによらず強いんだねぇ。ナミニッサを助けた人物なら挨拶しとかないとね。私はこの場に居るからわかってると思うが、冒険者ギルド本部のマスターをやっているレライヤだ」
そう言って手を差し出してくるので、俺とオーランドも自己紹介をしながら握手を交わす。その最中に俺は自分がFランク冒険者である事とレーガンに渡されたバッジをレライヤさんに見せる。
「バッジを渡されてるのにFランク?さてはあの馬鹿弟、マスターの仕事をちゃんとやってないな。今度会ったらお仕置きだな。アンタのギルドランクは後で私がちゃんと適性判断してやるから安心しな」
それはありがたい。いつまでもFランクじゃ格好がつかないからな。Bランクくらいにはなっておきたい。
「何か馬鹿弟に望む罰はあるか?」
レライヤさんの問いに少し悩むと、俺は正直に考えた事を答えた。
「レーガンは頭を剃ってるって言ってたので、本当のハゲにして下さい」
俺の答えにレライヤさんは高らかに笑うと
「いいね、アンタ。OK!私に任せときな!!」
とサムズアップしてきたので、俺もサムズアップで返した。レライヤさんは「さてっ」と軽く手を叩くとナミニッサの方へ向く。
「ナミニッサ、アンタの兄と姉がおかしくなった原因がわかったよ」
「本当ですか!!それは一体ーーー」
コンコン。
ナミニッサの言葉はこの部屋の扉から聴こえるノック音で止まった。扉の向こう側から女性が声をかけてくるが、俺はその内容に固まった。
「受付のサラです。ギルドマスターへの面会を求めている方々が居まして……その……南の勇者様とそのパーティーの方々です。どうしましょう?」