指輪と剣
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村へと着いた俺は入り口でこちらの方を伺っていた村長さん達と数人の冒険者に事の顛末と現在オーランドが他の方々を救出している事を伝え、大男の後始末を任せた。既にリニックの街に早馬を出したようなので、俺はまだ生きているその他の盗賊達を同じように広場へと持っていき埋めていると、村の入り口の方から歓声が上がる。オーランドが捕まっていた人達と共に戻ってきたようだ。俺は最後にパンパンと土を叩くとメアルと共にオーランドを迎えに村の入り口へと歩いていった。
オーランドは村の人達に囲まれ拍手喝采、感謝の言葉もいたる所から飛び交い、もの凄い歓迎を受けている。何人かの女性に腕まで絡められているぐらいだ。俺はその光景を歓迎の輪の外から眺めていた。あの……俺も頑張ったんですけど。メアルが自分はわかってるよと言いたげに俺の頭をペシペシ叩く。うぅ、メアルわかってくれるのはお前だけだ~!!これが顔の出来による格差かぁ~!!!メアルに慰められているとオーランドが俺に気付いて手を振ってくる。それでようやく気付いたのか村の男衆や冒険者のむさいおっさん達が感謝の言葉を述べながらバシバシ俺の背中を叩く。俺の周りは男ばっかり……オーランドの周りは女性ばっかり……
チクショ~~~~~!!!!!俺の方が強いんだからね!!!!!はぁ……
その後、俺とオーランドは寄合所に連れていかれ感謝の宴会が催された。飲めや騒げやの大騒ぎで俺は何度もお酒を勧められたが丁重にお断りした。もう飲まない事を固く誓ってるからね。その際、盗賊達が溜め込んでいた宝物の譲渡があった。オーランドに聞くとどうやら盗賊達を倒した俺達に所有権があるらしく、どうするかと確認された。懸賞金がかかっていた盗賊達が持っていた宝物だけあり、かなりの量があるようだ。俺とオーランドは一応確認をするために宝物が保管されている小部屋へと向かった。
小部屋へと入った俺達はさっそく宝物を確認するために、入れられている袋を順に開け、中身を取り出し並べていく。中身は武器が多く、剣やナイフ、槍、斧等様々な種類があり、中には錆びついているのもあるが、見事な宝飾が施されているのも何本かあった。他には宝石や金貨、銀貨、宝飾品等や使い道がよくわからない魔導具が数点あった。俺達はその品々をゆっくり確認していく。一通り見た後、俺は唯一気になった物を手に取った。
「なんだそれ?指輪?」
「あぁ」
俺は自分の手のひらに乗せている指輪を眺める。形は通常の指輪だが、宝飾部である上部には綺麗に半分になっている緑色の宝石が埋め込まれていた。なんかわざわざ半分になっている宝石を埋め込んでるのが気になるんだよなぁ……
「それ……もしかして『番の指輪』じゃないか?」
「『番の指輪』?」
「あぁ、昔見た事があるんだけど、魔導具の1つで欠陥品って言われてて、埋め込まれてる宝石が半分になってるから、多分間違いないと思うけど……」
「どんな指輪なんだ?」
オーランドの説明によると、この指輪は2個1組で使用するものであり、その効果はお互いを登録した指輪同士でメッセージを送受信する事が出来るらしい。ただ、欠陥品と言われる理由は、指輪に注ぐ魔力量によって距離が変動するのと、その使用する魔力量が膨大である事だった。並みの魔法使いでは大した距離も届かない上に送れるメッセージも少なく、ほぼ使用する事は出来ないらしい。うん、欠陥品だね。けど、おもしろいなぁ。
「よし、決めた!俺はこれだけでいいや。後のは特にいらないし、全部オーランドにやるよ」
武器貰っても使えないしね。
「え?それだけなのか?」
「あぁ、お金は特に困ってないし、武器もいらん。俺は殴る蹴るとかしか出来ないし」
「いやいや、それさっき教えた通り欠陥品だぞ?しかも1個しかないし」
「だからだよ。つまりもう1個は誰かが持ってるかもしれないだろ?この指輪を持っていたら、もしかしたらメッセージが届くかもしれないじゃないか?そうなったら、この指輪を返してもいいな。誰かの形見かもしれないし……」
「そっか……」
オーランドは俺の話に頷くと、目の前の宝物を眺めながら何かを考えだした。どしたの?これ以外は全部お前のだよ?
「よし、なら俺もこの剣と金貨数枚でいいや」
そう言って、翼のような宝飾が施されている剣と金貨数枚を取る。
「……え?それでいいの?」
「あぁ、残りはこの村の人達に受け取って貰おう。実際被害にあったのは村の人達だしね」
くっ!!その発想はなかった。くそ~、性格まで出来が違うのか。これが騎士になろうとする男なのか。眩しいぜ、オーランド。
村長さんに残りの宝物を譲渡する事を伝えると、宴会はさらに盛り上がった。そりゃそうだろう。俺達はそのままこの村で一泊して翌日、村の人達に感謝されながら出発した。
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この後、この村では犯罪を犯した者は顔だけだして地中に埋められ何をしたかを書かれた立て看板を横に突き立てられ、晒し者にされるという刑が行われるようになった。後に村長は語る。「初めてこれを見た時に思ったのです。これじゃっ!!!と」。だが、最初にこれをやったのは誰だったかは覚えていないらしい。
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