前へ次へ
45/217

有名だろうが知らないものは知らない

突破記念の早出しです!!


いつもの時間にも投稿します!!


楽しんで頂ければ幸いです!!

準備運動をしている俺に男が再び話し掛けてくる。え?まだ話すの?いいからかかってこいよ。


「どうやら俺が誰かわかってないようだな?」

「えぇ!!アニキ達を知らないってどんだけ田舎から来たんですかい?」

「「ギャハハハッ!!」」

「?」


いや、知らんし。お前が誰とか興味無いんだが。


「知らぬなら教えてやろう!!俺は大盗賊『ディゴンド兄弟』の弟、ゴンドだっ!!」







「……」


俺は小首を傾げる。いや、やっぱ知らんなぁ。名前を聴いても全然わかってない俺にその他の盗賊が声を大にして説明してくれる。


「いや、知らない訳ないだろう!!」

「『ディゴンド兄弟』だぞっ!!」

「強盗、強姦、殺人、盗賊としてありとあらゆる行為を行い」

「ついた懸賞金は」

「金貨100枚!!」

「Bランク冒険者ですら迂闊に手を出せない程の実力者」

「その弟、ゴンド様だぞ!!」






「へぇ~」

「「「なんでそんな反応なんだよっ!!」」」


え?驚くような事なの?だってBランクでしょ?大した事ないし。けど金貨100枚か……オーランドと分けるか。待てよ……こっちに弟が居るって事はオーランドが向かった先には兄が居るのか……大丈夫かな?1対1ならいけると思うが、もし多数が相手だったり、この村の人を人質に取られたら……



よし、さっさとコイツら片付けて村の人達を助けたら様子を見に行くか。


「もういい……お前等やっちまえ!!ただし、頭のドラゴンのガキは生け捕りにしろ!!超高値で売れるぞ!!」

「「「おぅっ!!!」」」


その他の盗賊達が一斉に襲い掛かってくる。手には剣やナイフ、手斧等、様々な武装をしていた。俺はメアルの位置も気にしつつ、その他達の猛攻を避けながら1人ずつ殺さない程度に加減して、1発で気絶にするように殴り飛ばしていく。


「ほい!ほい!ほい!っと」


殴り飛ばされたその他達は一ヶ所に集められ山のように積み重なっていく。段々と山は大きくなり、俺を囲む人数が少なくなると、さすがにこの異常事態に気付いたのか俺に向かってくるのを躊躇いだしたので、今度は俺の方から残ったその他達を殴り飛ばしていった。




現在、この場で立っているのは俺とナントカ兄弟の弟とかいう男の2人だけだ。肩に付いた砂埃を落としていると、弟さんが震えながら声をあげた。


「な、な、なんなんだよお前は……これだけの、に、人数をあっという間に……」

「なんなんだと言われても……あぁ!!とりあえず、Fランク冒険者だけど?」


そういやギルドランク上げるの途中で忘れてたな。色々あって、すっかり頭から抜け落ちてたわ。王都に着いたらランク上げのために依頼をこなさないとな。


「う、嘘だ!!そんだけの強さなのにFランクな訳がねぇだろっ!!」


いやいや、事実ですよ。なんならギルドカード見せようか?俺がごそごそとカードを見せようかと懐を探っている内に弟さんは背中を見せ逃げ出した。


「ちょっと待ってって今見せるから」


俺はごそごそしながら一瞬で弟さんの前に立つ。だが弟さんは俺がカードを出す前に、叫びながら斬りかかってきた。


「うわああぁぁぁぁ!!!!!」

パッキィィィッン!!


頭上からの剣筋だったので、メアルに当たらないように指で挟むように受け止めようとしたんだけど、勢い余って折ってしまった。なんとなく、ごめんなさい。弟さんも折れた剣を見つめ呆然としている。もうカードを出すのもいっかと思い、そのまま殴り飛ばしてその他山へと行って貰った。


俺はその他山の前で悩んでいた。このまま放置してもいいんだが、もし起き出して逃げられても困る。さてどうしようかと考えている内に1つの考えが浮かんだ。それをやる前にまずはメアルに捕まっているであろう村の人達を探してもらうよう頼んだ。メアルが捜索のため飛んでいくのを確認すると、俺は広場の地面を軽く殴って4、5人は入れられる穴を作る。そこにその他達を入れ、顔だけだして埋める。地面をパンパンと叩いて固めると少し横にずれ、同じように穴を作ってはその他達を入れて埋めていく。


何度も作業を繰り返し最後に弟さんを1人用の穴に埋め終わると、メアルが戻ってきたので手を広げて待っていると、着地は俺の顔へのダイブでした。そのまま、じたばたと俺の頭の上へ移動するとある方角に向けて、その小さな手を向けた。


「あっちに行けばいいのか?」

「キュイ!!」


メアルが指し示した場所は人が集まるような寄合所だった。見張りっぽいのが2人居たので即効で叩きのめし、同じように穴に埋める。寄合所の扉には盗賊達が用意していたのか大きな錠前が付いていたが「えいっ」と左右から引っ張るようにして真っ二つにする。扉を開けると中には大勢の人が居た。全員俺の方に注目している。


「……あなたは?奴等の仲間……ですか?」


俺がたった1人で居る事が不思議だったのだろう。年老いたご老人が俺の事を確認してくる。俺は手短に今の状況を話して皆を解放する。口々に感謝を述べられ、その際このご老人がこの村の村長である事がわかった。村長にまだ友達が他の盗賊の所に向かっている事を伝え、この場は任せる。穴に埋まった盗賊達は捕まっていた冒険者達に見張りを頼んでおいた。俺はメアルに頼んでオーランドの匂いを確認してもらい、居るであろう方角を示して貰うと一気に駆け出した。


オーランド、無事でいてくれよ……

前へ次へ目次