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別話1 恋敵が現れた

お待たせしました?

サローナさん再登場です。


別話は彼女達が主役の話になります。

ワズに再会するまでの道程を書いていくつもりですので、よければおつきあい下さい。


では、別話どぞ~!!

ワズさんがこの里から出ていって幾日も経った。だが、ようやく私も後を追う事が出来る。里の長や大人達は何かと私に依頼をだしては足止めをしていたが、既に後任の新しい守人も居るし、もう私を里に縛り付けておく事は出来ない。よし。長や大人達は残念そうにしていたが、いつまでもここに居る訳にはいかないんだから。私にはワズさんを探して愛の告白をし、結ばれてハッピーエンドという未来が待ってるのだから!!


私の旅に双子のエルフ、ユユナとルルナが同行してくれる事になった。2人ももう一度ワズさんに会って、ちゃんと友達になりたいらしい。ユユナはいい……だがルルナ、貴様はなんと言うか、あわよくばみたいな危険な感じがする。ワズさんに会った時、もしかしたら既に恋人の1人や2人は居るかもしれない。あれほど魅力的な人だしな。流石に夫婦にはなってないと思うが……既に居る恋人ならしょうがない。私も甘んじて恋人の1人になろう。だが、だからといって増やしたいとは思わない。だって増えたら……その……愛し合う時間が減るかもしれないし……ゴニョゴニョ……だ、だからルルナは危険なのだ!!危険って言ったら危険なのだ!!しかし、森から出た事が無い私にとっては人数が多くなるのは助かるのも事実。しょうがなく……ほんとしょうがなくルルナの同行も認めよう。まずは私からなんだからね!!


3人で旅支度をしていると里の中が騒がしい。魔物が現れたとかではなく、どこか明るい、まるで何かを歓迎しているような感じだ。私達3人は顔を見合わせると確認するために家の外へと出ると、どうやらこの里に訪れた人達を歓迎しているようだ。そう言えば長が昔馴染みの人の頼みで、この里でしばらくの間匿う事になったと言っていたのを思い出した。かなりの人数が居るみたいだな。私達も旅支度を中断して、里の者として歓迎の輪の中へと入っていった。


長とギャレットと名乗った男性が今後の事を話している間、里の者達も他の方々と親交を深めていた。そんな中私は、とある一角を注視していた。そこには輪から外れ2人の人物が話し合っていた。1人は先程遅れて合流した猫の女性獣人。もう1人は青い髪が特徴的な美しい人だった。どうやら、青い髪の人は猫の女性獣人から何やら話を聴いているようだ。すると、青い髪の人は急に頭を抱えて、何やら困っているように見える。私は何かあったのかと思い、話を聴こうと近付くが、その前に2人の男女が青い髪の人に事情を聞いていた。すると、女性の方に何かを言われた青い髪の人は決意満ちた顔をしたので、私は安心してその場を去ろうとしたのだが、聴こえてきた言葉に立ち止まるしかなかった。


「ありがとうお母さん!!私、絶対に『ワズさん』に会ってこの愛しい気持ちを伝えてくるから」


……え?この人、今誰に会うって言った?何を伝えるって……




私は直ぐ様、青い髪の人に詰め寄った。


「少しいいでしょうか?」

「なんでしょうか?」

「あなたが探している『ワズさん』って……もしかして、もの凄く強くて黒髪黒目の平凡な顔立ちなんだけど、そこがまた可愛い人ですか?」

「……え?どうして知ってるんで……」


その反応だけで私達はお互いの想いを理解した。似たような状況であり、まったく同じ想いなのだと。瞬間、私達の間には火花が散る。


「……なるほど。もしかしてあなたも会いに行こうとしているのでしょうか?」

「そうですが、何か?」

「居場所はご存知なので?」

「くっ……」


痛い所を突かれた。確かに私はワズさんが居る場所を知らないし、検討もついていない。


「私は知っていますよ。と言っても、もしかしたら今は居ないかもしれませんが、おそらく知っているであろう人物には心当たりがあります」

「ぐはっ……」


なんだこの敗北感は……くっ、負けられない!!


「私は告白されましたよ!!」

「私もされましたよ」


うぅ……


「何やらおもしろい事になってるようだな」


ギャレットと名乗った男性がいつの間にか、にやにやしながら私達のやりとりを見ていたが、急に考え事を始めたように視線を上に向ける。


「……そうだ!!2人一緒に会いに行けばいいんじゃないか?」

「「……はっ?」」

「いやなに思ったんだが、今からワズの所に向かっても既に街からは出ているかもしれない。そこで、見た所そっちの嬢ちゃんは腕っぷしには自信があるんだろう?」

「……まぁ、つい先日までここの守りを任されていましたから」

「ほぅ。そりゃ凄いな。それで、こっからはワズが街から出ていっている前提なんだが、タタは……あぁ、あんたの恋敵な。タタは世俗には詳しいが腕っぷしはからっきしでな。けど、嬢ちゃんは逆に腕っぷしは強いが世俗は詳しくないだろう?」

「「……」」


見事に私の不安な部分を言い当てられた。そして、この人の言いたい事も理解出来た。確かに私達が協力すれば大抵の危機には対応出来るだろう。私達はお互いを確認するように見る。


「……確かに言う通りですね」

「……そうね」

「そして、私達の目的は一緒で、優先すべきはワズさんに絶対会う事であるはず」

「えぇ」


なら答えは1つしかない。


「とりあえず協力しましょうか。まぁ、負けませんが」

「そうね。それが一番いい方法ですしね。負けませんけど」

バチチチチチチッ!!!!!


私達は火花を散らしながら握手を交わす。




数日後。私達は旅支度を整え、まずはワズさんが居るであろうリニックの街を目指して里を出る。ネニャさんはタタさんの護衛として同行するそうだ。タタさんは何やら謝らせると言っていた。


待っててね、ワズさん!!あなたのサローナが今、会いに行きますので!!

サローナさんはいきなり現れた恋敵にちょっと我を失ってます。


ワズに再会する時どうなる事やら……

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