冒険者なんだから先ずは依頼を
PV1万超えました!!
ありがとうございます!!
ありがとうございます!!
感謝の気持ちで一杯です。
なので感謝を込めて、次話をストックから投稿しました。
これからも読んで下さる皆様が楽しんで頂けるよう頑張ります!!
「昨日なりたてのFランクだぁ~~」
冒険者ギルド3階のギルドマスター室に怒声が響く。昨日はあのまま解散となり、そのまま部屋で寝た俺は現在、ハ……ギルドマスターに呼び出され、この場に居る。備え付けられているソファーに、テーブルを挟み対面に座ると、俺の事を確認したいと言われたので、普通に冒険者になったのは昨日だと告げたら、先程の怒声である。大声出しすぎ、喉潰れちゃうよ。
「まったく、昨日の状況はルーラから聞いてはいたが、奴等が悪いとはいえ、さすがにFランクとAランクの模擬戦なんぞ、やらせるわけにはなぁ……」
「え?いやいや、やらせて下さいよ!ハ……ギルドマスター!!アイツラはハ……ギルドマスターの料理を馬鹿にしたんですよ!!堂々と大声で!!それだけで充分俺にはやる理由になります!!大丈夫、負けませんから!!」
今更、やめますじゃ困る。
「料理を誉められるのは嬉しいが……お前、俺の事を心の中で何て思ってる…………ふぅ……まぁ、ランク=実力とは思わんが……お前はルーラとエマから聞いた感じと違うな?そんなに好戦的だとはな……」
「好戦的?違いますよ。今回のは、ちょっと目的がありまして……まぁ、個人的事情です。ところで、エマって誰ですか?」
「あ?なんだ名乗ってなかったのか?お前がギルド登録をした時の受付嬢だ」
「あぁ、あの桃色の髪した人」
「ちなみに、新婚で鬱陶しいくらいイチャイチャしてるから、口説いても無駄だぞ」
「そんな事しませんよ」
俺を何だと思っている。
ため息をこぼして、ハ……ギルドマスターを見ると真剣な表情でこちらを見ていた。
「本当にやるんだな?」
「はい」
「……わかった。まぁ、冒険者同士のいざこざを止める権限はギルドにはねぇしな。手段はあるが、それは行き過ぎた行為の時だけだ。今回はまぁ、ギリギリだが次はこんな事はねぇからな」
「わかってますよ」
もう話は終わりだろうと思い、ソファーから立ち上がって部屋を出ていく。その俺にハ……ギルドマスターが言葉をかける。
「まっ、せいぜい頑張れよ~」
「アイツラに言ってくれ!では、失礼します。ギ……ハゲ」
バタン。
「テメェ!とうとう言いやがったな!!これは剃っとるだけだ~~~!!!」
どっちでもいい事だ。
俺は早足で1階まで降りた。
「という訳で、この2つの依頼をしたいのですが」
「という訳で、で済まさないで下さい」
1階に降りた俺はそのまま依頼の掲示板に向かい2つの依頼を引く剥がすと受付嬢のエマさんに渡したら、青筋が浮かんだ笑みでそのような返答が返ってきた。怖いですよエマさん。
「言いましたよね、気を付けますって……なのにいきなりですか?昨日の私の注意覚えてますか?」
「覚えてますよ。ですが、今回のは、まぁ……諸事情って事で……」
「はぁ……もういいです。一応、ギルドマスターからもお小言をもらったみたいですし、私がどうこう言うのも違いますから……それでこの2つですか?」
そう言ってエマさんは依頼を受け取ると内容の確認に入る。が、直ぐに大きくため息を吐いた。
「なんで明日Aランクの人達と戦おうって人が、ゴブリン5匹討伐と薬草採取なんですか……」
「ぶっちゃけ金が無いのと、日帰り出来そうなF、Eランク依頼がそれしか無かったからです」
まぁ、別の目的もありますがね。
エマさんがまた盛大にため息を吐く。
「……わかりました。受理するのでギルドカードをお渡し下さい」
ギルドカードを渡す。どうやら、ギルドカードで受付中の依頼を登録・確認がとれるらしい。その間、エマさんが依頼の事を簡単に教えてくれる。
「それでは、ゴブリンはここから東に少し進んだ所にある森に現れます。ですが森の奥にはゴブリンの巣がありますので、注意して下さい。討伐証明は右耳になりますので、それを5匹分こちらにお持ち下さい。また、薬草は歩合制なのであればあるだけ買い取らせて頂きます。何かご質問はございますか?」
「耳とか薬草を入れる袋を持ってないんですが、お借りする事って出来ますか?」
「大丈夫ですよ。……では、こちらカードと少量ですが腰に付けられる袋になりますので、お受け取り下さい。袋はちゃんと返して下さいね。破けたりすると罰金が発生する場合があるので注意して下さい」
「ありがとうございます」
「では、お気を付けて!!」
俺はギルドを出ると、風の光亭に行き今日の宿泊費を渡すと、そのまま街を出た。街を出る際、オーランドに出会うと、仮身分証を返し少しの間話した。俺がAランクと模擬戦をする事を知っていた。情報速いね……明日は非番らしく見に来るらしい……お暇なこって。
俺は東の森に向かって歩いていく。思った程遠くなく、直ぐに辿り着いた森を、薬草採取しながら散策していたが、とうとう緑の魔物が3匹現れた。
緑色の小さくずんぐりした体に尖った耳と鼻。ゲギャゲギャと笑いながら、こちらへと近寄ってくるゴブリンと呼ばれる魔物。3匹は各々錆びたナイフや木の棒に素手とバラバラだが、多少の連携は取れるのか 、ゆっくりと俺を包囲していく。ふむ。やっと練習が出来るか。
そう。俺はコイツらゴブリンを使ってこの力の練習をしようと思ったのだ。主に手加減の方向で。このままだと簡単に敵対した相手を殺してしまうと思う。多少なりとも手加減が出来た方がいいと思ったのだ。
思ったのだが……
目の前には、頭部が破裂したように無くなっているゴブリンの死体が3匹……自覚した途端にコレかよ……はぁ……やっぱりか……
魔物のランクにもよるんだろうが、やはりこの力を自覚した影響なんだろう。無自覚の時は出来ていたというかきちんと発揮してなかった力が、自覚した事で今度は力加減が上手く出来なくなっている。このままじゃあ、明日アイツラを殺してしまう。それは別にどうでもいいんだが、これからの事を考えるとそういう訳にもいかないと思う。だから、まずはゴブリン達で手加減を覚えないとな。
という訳で、これからゴブリンの巣に向かおうと思います。