第97話 エリアボスのザリガニ 前編
完全に動かずに休んでいたら結構HPの回復は早いから、何とか全快ー! それでも果物を食べる方が早いけど、まぁほとんど無いものは仕方ない! もう野イチゴは3個しかないし……。
「あ、そういえば質問なんですけど、戦闘中に果物を食べるコツとかってあったりします?」
ミツルギ : サクラちゃん、それは既に会得済みだぞ。
咲夜 : そういやそうだな。
チャガ : 本来は小技の類だが、もう似たようなことはしてるぞ。
「え、そうなんです?」
あれー? 私ってそんな事をしてたっけ? んー、いまいち心当たりがないんだけど、何の事を言ってるんだろう?
咲夜 : マジで無自覚っぽいんですけどー!?
チャガ : ……そうみたいだな。
ミナト : サクラちゃん、あれ! 疾走で川に突っ込みかけた時に、小石を足場に駆け上がったやつ!
「あー、あれですか! あ、そっか! あの要領で口の前にアイテムを出せばいいんですね!?」
そっか、そっか! そういえばあの時にアイテム欄から小石を取り出してたんだった! 確かにあれなら戦闘中でも……出来るかなぁ?
あの時は必死だったから、同じ手順が出来る気がしないよ? うん、まぁそれを考えるのは今じゃなくてもいいや! 逆に言えば、必死になれば私は出来る子!
よし、それじゃ野イチゴは10%回復の3個しかないけど、万が一の時には使える事を信じて頑張ろう!
「さーて、それではザリガニへのリベンジ開始です!」
金金金 : サクラちゃん、ファイト!
ミツルギ : さて、今日の配信の中でも大勝負だな。
富岳 : どういう戦いになるものか。
G : 楽しみですなー。
ミナト : サクラちゃん、頑張れー!
他の皆さんからもどんどん応援のコメントが出てきてるよ! うん、音声になってないコメントも結構きてるみたい。相変わらず操作中には読む余裕は皆無だけども!
「まずはザリガニを視認してからですねー! どれどれ?」
マップでは滝壺の中にいるのは分かるんだけど、川のどのくらいの深さにいるのかは分かんないんだよね。どうやって陸地まで連れてくるかが問題だー!
「うーん、川岸の浅い部分にはいそうにないですねー」
夜で暗いって事もあって、川岸から滝壺の中を覗き込んでも水の中まで見えないよー。前にこの中にランダムリスポーンをした時は透明度は高かったから、昼間なら見通せた気はするんだけどなー。
神奈月 : エリアボスは近くにいけば襲ってくるよな?
イガイガ : 個体差はあるけど、明確に攻撃を仕掛けてくる範囲は決まってたはず。
真実とは何か : 真実はそうである。
ミナト : このザリガニの場合は、滝壺の範囲だろうねー!
チャガ : おそらくな。サクラちゃん、少しで良いから水の中に脚を入れれば向こうから襲ってくるぞ。
「あ、そうなんですね! 了解です!」
ふむふむ、エリアボスっていうくらいだし、他の敵とは動きが違うんだ。でも、脚を水に入れるだけとはいえ、それじゃ獅子咆哮の溜めの時間が確保できるか分かんないよね。
可能であれば、今の私の最大威力の獅子咆哮は使いたいところ。ん-、何かいい方法は……。あ、これでやってみよう!
「ちょっと川から離れて……えいや!」
川岸から距離を取って、小石を取り出して、スキルなしで弾き飛ばす! とりあえずポチャンと音を立てて着水したね。ザリガニがこれに反応してくれると嬉しいんだけど、どうだろ?
咲夜 : これ、効果あったっけ?
ミツルギ : あー、小石がザリガニに当たったり、かなり近い距離だったら攻撃判定になって動き出すはず。
ミナト : 確実な方法じゃないけど……あっ!
どうやら確実な方法じゃないらしいけど、マップに表示されてる赤い印が凄い速さで動き出した!
神奈月 : お、ラッキーじゃん!
金金金 : サクラちゃん、持ってるなー!
チャガ : ここでそれを1発で引き当てるか。
富岳 : 投擲を使えば確実なんだが、スキルの使用無しでこの結果は運が良い。
いなり寿司 : 地味にマップに表示されてるのもデカいな。
よーし、今のは結構ラッキーだったみたい! ふっふっふ、いなり寿司さんも言ってるけど、このザリガニに殺された事には意味があったのですよ! 位置が分かるって大事だよね!
「それではザリガニの迎撃準備、開始です!」
ザリガニは水中だから凄い速度で動いてるみたいだけど、戦場はあくまでも私が有利な陸地! 陸地なら水中での移動速度は出ないと思うから、更に後ろに飛び退いていく! そしてこれだー!
「初手からぶっ放します! 『獅子咆哮』!」
まずは川まで獅子咆哮がギリギリ届く位置で、溜めを開始! 多分だけど、獅子咆哮が使えるのは最初の攻撃のみ。その後の戦闘中だと、溜めに時間がかかるから多分まともに使えない!
確実に当てる為に咆哮を使うという手も考えたけど、今はとりあえずザリガニの陸地での動きが遅い事を祈るのみ! 咆哮はまだ温存なのさー!
おっ、私が獅子咆哮の準備を始めたら、ザリガニが川の中から飛び出してきた! ちょっと水面から飛び跳ね過ぎな気もするけど、そこは気にしない!
「出てきましたね、ザリガニ! わっ! 視界が赤くなったし、ハサミを掲げてるので威嚇ですね!」
このザリガニには前にも威嚇されたけど、こうも視界が赤くなったら鬱陶しいよね! うん、これが格下からされたものなら喧嘩を売られたとして倒しに行きたくなるのも分かる!
咲夜 : あ、バカだ、このザリガニ。
ミツルギ : 普段ならともかく、明確にザリガニを仕留めに来てるんだから、威嚇とか無駄なだけだ。
イガイガ : 今回は、運はサクラちゃんに味方してるっぽいな。
金金金 : そういう事を言ってると、予想外の方へ行くんだよなぁ……。
咲夜 : だよなぁ……。
チャガ : まぁ見守るのみだ。
「ここからの予想外ってなんですかねー!?」
確かに微妙に運が良いような気もするけど、だからってここから盛大に狂うような事なんて起こるかなー? まぁそこに気にし過ぎても仕方ないし、今は目の前に集中!
「って、意外とザリガニは陸地でも速いですね! でも、これならあのオオカミの方が断然速いです!」
あの襲ってきたオオカミほどの速さは、陸地でのザリガニにはなさそう! 距離を詰めては来てるけど、これなら獅子咆哮の溜めが終わる方が早い!
「まずは一撃目、いっけー!」
獅子咆哮の溜めは終了! 照準はエリアボスのザリガニ! 跳ね上がって私のライオンに殴り掛かってきてるけど、その攻撃は届かないよ!
吹っ飛べ、ザリガニー! でも川までは吹っ飛ばないでー! 多分襲いに戻ってくるとは思うけど、多分だからー!
「おぉ!? 今ので3割くらい削れましたよ!?」
それに吹っ飛ぶには吹っ飛んだけど、川までは吹っ飛んでいない! 川の中に落ちる可能性は考えてたけど、それは避けれたみたい!
しかも背中から落ちたみたいで仰向けで足掻いてるね。ふっふっふ、これは絶好の攻撃チャンス!
ミナト : かなり良い感じで直撃したね!
神奈月 : そのまま畳みかけろ、サクラちゃん!
「はい! 『投擲』!」
ザリガニが起き上がらないうちに、攻撃を畳みかけるのさー! あ、でも投擲よりも爪撃とかの方が良かったかも? うーん、まぁもう小石を飛ばしちゃったから遅いよね!
咲夜 : あ、当たった小石の反動で起き上がった。
イガイガ : まぁ自力でもすぐに起き上がれるから、悪い訳じゃないけど。
富岳 : カメとかなら、そのまま放置が良かったりはするがな。
「そういえば、川なのにカメはまだ見てないですね? まぁ今はそれは良いです!」
投擲は獅子咆哮ほどは上手く当たらなくてHPはそれほど削れなかったけど、思ったほどこのザリガニは硬くない!
イメージとして硬そうな気がしてたんだけど、多分このザリガニは防御やHPが多いんじゃなくて、攻撃力が凶悪なやつ!
「とにかくザリガニには攻撃させません! 『咆哮』! あぁ!? 外しました!?」
うがー!? 何かザリガニが飛び跳ねるっぽい動き方をしたと思ったら、空振ったみたいにちょっとだけ軽く跳ねて、咆哮の狙いが外れたー!?
「なんですか、今の跳ねるのをミスした感じの動き!?」
ミツルギ : 何かと言われると、単純にそのままなんだよなぁ……。
富岳 : ただ単純に、ザリガニが跳ねるのをミスっただけだ。
ミナト : サクラちゃんが前に、草の上に掘り返した土で、踏ん張れずに転んだのと同じような感じだねー。
咲夜 : 向いてないエリアに敵を引っ張り出してくると、そういう事もたまにあるんだよな。
あ、そういう事もあるんだね。へぇ、敵でも環境が悪ければミスするとかもあるんだ!
「だからって、今のタイミングは酷い気がします!? 折角の咆哮が無駄撃ちになっちゃっいましたよ! って、どさくさに紛れて近付いてくるなー! 『振り回し』!」
今は普通に跳ね上がってたー! このザリガニ、なんというタイミングの悪さでミスしてくれてるの!? うぅ、とりあえず尻尾での打撃で吹っ飛べー!
「ぎゃー!? 尻尾を挟まれましたー!? 離してくださいよ、このザリガニめー!」
尻尾を振り回しても離してくれないし、HPも減っていってる。こうなれば崖の側面に叩きつけてやるー! 滝になってるんだから、水がない部分は岩壁の崖だからね!
「ぐぬぬ! 咆哮の失敗は痛手なのですよ!」
「まぁ、そこはドンマイ?」
「敵がミスをするってのはありなんですか!?」
「ありだよ? ほら、敵の大技を妨害してキャンセルさせるとかあるじゃない」
「それとこれとは違いませんかー!?」
「サクラ、ザリガニのミスは地上に連れ出したからこそ発生してるからね? 勝手にミスしてるんじゃなくて、ミスを誘発させてる状態だから」
「はっ!? そういう事なんですか!」
「うん、そういう事。まぁ色々とタイミングが悪かったのも事実だけどね」
「ぐぬぬ、そうなると文句も言いにくくなりますね……。この調子で私に頑張れと応援してくれる方はブックマークや評価をお願いします!」
「……なんか強引じゃない?」
「それは気のせいですね!」
「……まぁいいか。さて次回は『第98話 エリアボスのザリガニ 後編』です。お楽しみに!」
「ふっふっふ、私の華麗な勝利で〆ましょう!」
「……え?」
「え? 勝てますよね、私!?」