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第90話 川沿いを進むと


 思ってたのとは全然違う強さだったけども、ワニは討ち取ったー! ふっふっふ、ザリガニへのリベンジの目標LvであるLv10まではあと少し!


「あ、そういえば今の進化ポイントはいくらになりましたかねー?」


 それなりに敵を倒したから、そこそこは溜まってきてるはず! 進化ポイント60を目標にしてるから、今の時点でどのくらいか見ておこうっと!


「えーと、進化ポイントは16ですか。うーん、思ったほど溜まってないですね」


 それでも目標の4分の1は溜まったって事だし、まぁ良い方かな? 今すぐに必要な進化ポイントじゃないし、ここは地道にやっていこー!


「使いたいのは我慢、我慢!」


イガイガ : なん……だと……!?

ミツルギ : おぉ、サクラちゃんが自制してる!?

金金金 : 槍でも降るか!?

咲夜 : あ、落雷死亡フラグだ!

神奈月 : それだー!

いなり寿司 : あー、なるほど。

チャガ : お前ら、大概失礼だな……。


「チャガさんの言う通りですよ! その反応はいくらなんでも失礼じゃありませんかねー!?」


 私だって計画的に溜める事くらい出来るんですよ! そりゃ思いっきり使いたい気持ちも確かにあるけど、我慢しようとしてるのに、そういう言い方は酷いんだー!


富岳 : だが、有用とはいえ予定を無視して『疾走』を取ってるのも事実だしなぁ。

真実とは何か : それこそまさしく真実である。

ミナト : あれ? 真実さん、今来たとこじゃない? 『疾走』の取得は見てないんじゃ?

真実とは何か : それもまた真実なり。

いなり寿司 : それ、ただ見てないけど、事実っぽいからそれっぽい事を言っただけでは?

真実とは何か : それもまた真実なのである。

いなり寿司 : ほとんどコメントの内容が変わらないのに、しっかり肯定しちゃってるがな!


 ……あはは、予定外に『疾走』を取ったのだけは否定が出来ないー! よーし、そこはなかったことにしてしまおう! うん、それで何も問題はない!


「とりあえずもっと下流の方に移動しますねー! Lv上げはここじゃなくて、ザリガニの近くでやっていきます! 『疾走』!」


 走り出せ、私のライオンー! こうやって『疾走』は移動用に使えるんだから問題ないよね! やっぱりこうやって全力で走れるのは気持ちいいし! なんだかんだでライオン自体の操作も慣れたもの!

 この辺りだと基本的に私のLvよりも低いみたいだし、下流のもう少しLvが高めなところで戦おうー! リアルの時間で19時も過ぎてそろそろ日が暮れ始めているから、夜になる前に目的地には到着していたいよね。


 ふっふっふ、これで槍が降るとか、落雷死亡フラグとか……ってあれ? 落雷死亡フラグって、そういえばモンエボって天気ってどうなるのー? 天候が変わるゲームって珍しくはないけど、変わらないゲームもあるし、モンエボはどっち?


「ちょっとネタバレでも良いので質問です! さっき、落雷死亡フラグとか言ってましたけど、モンエボって天候はどうなるんです?」


イガイガ : あ、ネタバレ案件……。

いなり寿司 : またか、咲夜さん。

咲夜 : ぎゃー!? また余計な事を言ったー!?

ミナト : えっと、天候の変化はありだよー。まぁ咲夜さんが言っちゃったけど、落雷で死ぬ事もあるし、大雨になる事もあるからねー。

富岳 : 場合によっては……あぁ、これは流石にやめておくか。


「なるほど、天気が変わるという事は分かりました! なんだか他にもありそうですけど、それは遭遇した時に考えますね!」


 本当に落雷で死ぬことがあるというのは分かったし、天候も悪くなることがあるのは分かった! うん、悪天候の時は可能なら時間を飛ばせるようにしようっと。


「あ、果物発見です! って、止まれないー!?」


 今、折角回復に使える野イチゴっぽいのを見つけたのに、通り過ぎちゃった!? ぐぬぬ、疾走はゲージがある間は急停止が出来ないのがデメリットだね。多少の加速と減速の調整は出来るみたいだけどさー。

 あ、そろそろ疾走のゲージが無くなりそうだし、これは取りに戻るのもありかな? うーん、どうしよう?


ミツルギ : サクラちゃん、戻って採集しても良いけど、どうする?

イガイガ : 流石に回復アイテムは持っておいた方がいいだろうしなー。

いなり寿司 : 疾走のゲージも無くなってきてるし、丁度いいんじゃね?


「ですねー! それじゃ少しだけ戻って、回復用の果物を補充しておきます!」


 松の木の陰に隠れて回復した時に、半分くらい使っちゃったからね。戦闘中はあんまり食べれそうな気がしないけど、戦闘と戦闘の合間の回復用に持っておくのは大事だよね!

 という事で、大きくグルっとUターンして、さっき野イチゴっぽいのを見つけた場所に移動だー!


 おっと、少し戻ったくらいで疾走の効果が切れたね。再使用時間が過ぎるまで使えないから、その間に野イチゴを探そうっと!


「えーと、確かこの辺だったと思うんですけど……」


 極端に周囲の光景が変わる訳じゃないから、さっきみたいに通り過ぎちゃうと場所が分かりにくいね。

 んー、採集がしやすくなるスキルとかないのかなー? ……何となくだけど、ライオンにはなさそうな予感。逆に小動物とかならありそうだよね?


「あ、ありまし……た?」


 あれー? 野イチゴじゃなくて、普通のイチゴに見えるんだけど? さっき見かけた時は、普通のイチゴじゃなかったはず? うーん、まぁいっか! これも果物だし、回復アイテムに使える――


ミナト : あ、サクラちゃん、それはちょっと待って!


「え? わっ!? なんですか!?」


 うぅ、思いっきりイチゴの実が顔に飛んできたー!? しかもダメージを受けてるし……ぎゃー!? なんかじわじわとHPが減りだしたんだけどー!?


ミナト : あらら、ちょっと遅かったねー。

ミツルギ : あ、このイチゴは敵か。

咲夜 : 分かりにくいんだよな、成長体の植物系。

神奈月 : どうやって見分けてんの、ミナトさん。

ミナト : ん? 普通の植物にはあり得ない、変な動き方をする葉っぱとかだねー。分かりやすいよ?

富岳 : 分かりやすくはないが、それで判別は出来るな。……そうだな、あえて説明するなら、定点カメラで撮影された植物の早送りを見た時の感じが、時々あるってとこか。

いなり寿司 : あー、あの植物も動いてるってのが分かるやつか。

ミツルギ : 聞けば簡単そうだけど、いざそれを判別しろとなると難しいんだよな。


 ふむふむ、見分け方ってあるにはあるんだね! うぅ、そういう意味では堂々と根で歩いてくれる方が分かりやすい!

 なんかこの発想自体が、気に入らなかった根で歩く植物の動きに毒されてなーい? というか、このHPが減ってる状態って毒だよねー!?


「とりあえずこのイチゴが敵で、毒を使ってくるというのは分かりました! まずは『識別』です!」


 とりあえず少し後ろに飛び退いて距離を取ってから識別だー! うぅ、こんな敵もいるのはちょっと油断してたよ! それに毒状態にしてくるとか、イチゴの癖に毒を持つんじゃなーい!


『知恵あるイチゴ』

 進化階位:成長体

 Lv:7


「このイチゴ、知恵での進化なんですか!?」


 うわー、知恵から進化した敵を初めて見た気がする! ……そういえばライオンの知恵のスキルツリーに解毒ってあった気がするね。

 しかもLv7って、陸地側にいる敵としてはLvが高いよね!? これは強敵が出てきた気がする!


「ちょっと質問というか、確認です! もしかして植物系の知恵のスキルツリーには、毒を使えるようになるスキルがありますか!?」


ミナト : サクラちゃん、大正解ー!

ミツルギ : 知恵で進化した敵は、強さが個体によって極端に差があるから気を付けろ!

富岳 : 今回のイチゴは、毒を使ってきてるからおそらく強い側だな。


「え、そういう極端な差があるんです!? でも、分かりました!」


 今、目の前にいるイチゴは毒を使ってきたんだし、弱い訳じゃないのは確実! 幸いなことに毒でのHPの減り方はゆっくりだから――


「わっ!? 根でも歩くんですか、このイチゴー!?」


 あの松の木みたいに根である事はないって思ってたけど、私の勝手な思い過ごしだったっぽいー!? うがー! やっぱり根で歩く植物はなんか嫌だー!


「うぅ、毒持ちで歩くイチゴなんて、絶対にぶっ倒すのですよ! って、またイチゴを飛ばしてきましたよ!?」


 根で迫ってきながら、毒ありのイチゴを飛ばしてくるなー! とりあえず後ろに飛び退いて回避ー!

 あれ? そういえば、今のイチゴは根で歩きながら攻撃してきたような気がするよ? むぅ、これはまだ知らないスキルとかがありそう。だけど、絶対にぶっ倒ーす!


「進化の方向性って色々ありますね!」

「まぁ、少なくとも6ルートはあるからね」

「……それだけじゃなさそうな言い方ですね?」

「……サクラ、ネタバレ案件だよ?」

「それなら聞かないでおきます!」

「それでよし!」

「それにしても、普通のイチゴが食べたくなりました。ゲーム内じゃなくて、リアルの方で」

「……そう言われてもなぁ」

「ちょっとコンビニに行って、イチゴが入った何かを買ってくるので、作者さんお金をください!」

「それくらいの額なら、貰った投げ銭があるよね!?」

「あ、そういえばそうですね! それではイチゴのショートケーキが好きだという方はブックマークや評価をお願いします!」

「せめて作中に関係ある内容にしてくれない!?」

「そこは知りません!」

「……この主人公、言う事聞かないなぁ。さてと、次回が『第91話 毒を持つイチゴ』です。お楽しみに!」

「毒のないイチゴを食べるために、コンビニへ行ってきまーす!」

「それは配信が終わってからにしろー!」

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