第78話 川へと移動
さーて、無事になんとか野イチゴを10個ほど採集する事が出来た! 1個で10%の回復だったから、10個あれば全快分の回復量はあるのです! そして、川へと向かって移動中なのさー!
「あ、カエルを発見です! 『噛みつき』!」
目の前にカエルがいたから、ガブっと食べてHPを回復だー! よーし、ちょっとだけどHP回復! うん、一般生物だったから即死だね!
ミツルギ : サクラちゃん、一般生物と成長体の見極めが出来てる?
咲夜 : 確認せずに一般生物と成長体のどっちでも良くて攻撃してるような気がする……?
「咲夜さん、正解です! どっちにしても戦闘はするので、見つけ次第襲い掛かってますね!」
ふっふっふ、今のところ河川域では幼生体を見つけていないからこそ出来る事! どっちでも回復か戦闘にはなるから無駄にはならないもんねー!
こうやって見境なくやって戦闘になったら食べられる回数のカウントが減るから、HP回復をする機会も増えるんだよねー!
一般生物に一方的な攻撃でも、戦闘にはなるみたいなのですよ。ただし、噛みつきだけだと地味にカウントが減らなかったから、食べられる回数が最大になった場合は噛みつきじゃなくて、他の攻撃手段が良いのです! それでどんどんHPの回復が出来る!
富岳 : 識別がある意味がねぇな……。
ミツルギ : まぁ進化階位が入り混じってない場合なら、それでも問題はないからなぁ。
咲夜 : 入り混じった時に厄介な気もするけど……あぁ、その頃には……って、これはネタバレ!?
ミナト : あはは、その情報はまだ早いねー。
「うーん、何かあるんですねー? まぁ、それは良いとして、そうしている間に川へ到着です!」
咲夜さんが迂闊にネタバレをしかけるのは割といつもの事になってきたし、そこはスルーでいこう!
さーて、それじゃさっき実験済みの衝撃波生成を川の中に魚に向かって……あれ、そういえば今思ったけど、識別で衝撃波が出るなら、威嚇でも出るのでは……?
金金金 : え、このタイミングでアバターがしたり顔?
ミツルギ : これは何かを思いついたパターンか!?
咲夜 : え、ここから出来るような変なことってあるか!?
「咲夜さん、変な事って失礼じゃないですかねー!? 思いついたのはこういう事です! 衝撃波ありの『威嚇』!」
咲夜さんめ、変な事とは失礼な! まだチェックしてなかった部分だから、確認をしようかと思っただけなのにねー。そういう事を言われるなら、すぐに試して変でない事を証明するのです!
ミツルギ : それはちょっと待った! あ、もう遅いか。
ミナト : あはは、もう発動させちゃったっぽいね。
富岳 : あー、あれか。
ふっふっふ、威嚇も遠距離から発動するスキルだから、衝撃波の発生は出来るはず。よーし、思った通りだー! 衝撃波の有無が指定出来たから、有りで発動したよ!
あ、視線の先にある川の中で魚が奇妙な風に加速して……って、水中で衝撃波が発生して次々と色んな魚が吹っ飛んでない!? そもそも無差別に戦闘状態になる威嚇でやる事じゃなかったー!?
「ぎゃー!? 咲夜さんが変なことを言うから、思わず川に向けて威嚇を発動しちゃったじゃないですかー!?」
咲夜 : そこって俺のせいなの!?
ミツルギ : まぁ今までの傾向からすると、余計な一言だったかもなぁ。
咲夜 : うぐっ、そう言われると確かにそうかもしれん……。
わー!? マップを見てみたらどんどん赤い印が増えていく!? そして逃げていくのも結構いるけど、私に近付いてくる敵が増えてきた!
「あ、でもこれって見続けてたら何度も吹っ飛ぶんですね!」
おぉ、これは面白い! ふっふっふ、威嚇をした私を襲おうと近付いてくる敵は、衝撃波の影響で変な方向に吹き飛ばされて私に近付いてこれないみたい! いいぞ、どんどん吹っ飛べー!
この衝撃波、識別と同じで衝撃波が発生する方向は定まってないみたいだけど、これなら今までと違って一方的に囲まれる事もない!
いなり寿司 : おーっす! って、いきなり何事!?
ミナト : えっと、衝撃波付きの威嚇を発動中だねー。
いなり寿司 : ちょ、そんな変な構成のを使ってんの!?
「いなり寿司さん、こんばんはー! って、いきなり変な構成ってなんですかー!?」
こんなにも便利な使い方が出来ているというのに……って、あれ? ぎゃー!? 魚に衝撃波が発生したかと思ったら、私の方に飛んできたー!?
「私の方に飛んでくるって卑怯じゃないですかー!?」
ミツルギ : 方向が定まってない衝撃波って、これがあるから……。
富岳 : 発生タイミングも安定しないからな……。
いなり寿司 : あー、これはみんなが止める前に発動した感じ?
ミナト : あはは、まぁそういう事になるねー。
咲夜 : ……余計な事を言うんじゃなかった。
うぅ、威嚇での衝撃波がどういう風に出るかは分かったけど、とりあえず向かってきてる魚の撃退なのですよ! 真っ向から突撃してきているから、こっちも真っ向から迎撃するのみ!
「体当たりには『体当たり』です!」
よーし、真正面から飛んできた魚には体当たりで迎撃! お互いにHPは削れたけど、威力の相殺は成功だー! そして威嚇の追撃の衝撃波で魚は川の中へ吹っ飛んでいった!
「威嚇の衝撃波、常に発動しまくってるから使いにくいにも程がありますね!?」
今の攻撃の後に更に攻撃をしていこうと思ったのに、吹っ飛んだせいで何もできなかったよ! 富岳さんが発動タイミングが安定しないって言ってたけど、こういう事かー!
「わっ!? わー!? 魚が次々と群がってきてるのですよ!? ぎゃー!? カニまでやってきてる!?」
川の中からあちこちで魚やカニが跳ね上がってるんだけどー!? なんというか、前よりも広範囲に効果があるような気もするんだど……もしかして『戦意の纏い』で威嚇の効果範囲自体が広がってる!?
ともかく、この衝撃波ありの威嚇、使えなさすぎる! しかも衝撃波自体はそんなにダメージがないから、HPを削るのには使えてない!?
いなり寿司 : 川の中から魚やカニが吹っ飛んで出てくるのって、すげぇ奇妙な光景だなぁ。
咲夜 : ……なんか余計な事を言って、正直すまんかった。
イガイガ : サクラちゃん、こんばんはー! って、なんじゃこりゃ!?
富岳 : 『戦意の纏い』と『衝撃波生成』と『威嚇』のコンボだ。通称、自滅コンボ。
イガイガ : あ、あれか!
金金金 : これって、そんな通称があるのか。
ミナト : あはは、正直敵を集めるだけなら威嚇だけで良いからねー。衝撃波の発生方向が不確定要素になるから、衝撃波の生成は避けたい部分なんだよねー。
「そうだったんですかー!? というか、自滅コンボって酷い通称があるもんですね!? あ、イガイガさん、こんばんはー!」
そういう通称があるって事は完全に使えないと認定されてる手段じゃないの!? あ、だから、いなり寿司さんが見て早々に変な構成って言ったんだ! うん、そりゃ言いたくなるよね?
「うー! とりあえず衝撃波で吹っ飛ばして距離を取りながら、戦ってみます!」
幸いな事に衝撃波の発生が1度じゃないから、群がってくる魚やカニに視線を向けていれば吹っ飛ばす事は出来ている。ダメージ量的には倒せないけど、それでも相手からの一方的な攻撃にはなってない。
「いちいち私の方に吹っ飛んでこないでください! 『爪撃』『連爪』!」
水を飛ばしてくる魚の攻撃は川から視線を逸らさずに動き続ける事で回避! そして突っ込んでくる魚やカニは、爪で迎撃だー!
正直この場を離れたいけども、川から目を離したら今度は陸側の敵を集める事になる!
金金金 : そういや威嚇の発動中って、他のスキルは使えるんだな?
ミツルギ : 基本的にはスキルの使用中には他のスキルは使えないけど、一部の補助用のスキルは使えたりはするからな。
ミナト : まぁそれほどそういうスキルは多くはないけどね。
金金金 : なるほど。
「あ、そうなんですね!」
何も気にせずに普通に威嚇の効果中に他のスキルを使ってたけど、それって一部の特殊例なんだね。
そっか、そっか。うん、それは良いとして、威嚇の効果が切れたよー! そして、残りHPも結構危ない水準だー!
「……これ、死にましたかねー?」
うん、もうヤバいくらいに敵が集まってきてるし、勝てる気がしなーい! あれ? 何がどうしてこうなった?
私は今回は川の外からの攻撃で1体ずつちゃんと倒せるかどうかを試しにきたのに、なんで変な風に吹っ飛びまくる魚の群れに囲まれつつあるのー? 川から出てきたカニが吹っ飛びながらも近付いてくるのはなんでー?
「よーし、戦略的撤退ー!」
これは逃げるんじゃない! 失敗を立て直す為に、一時的にここを離れるのです! そして追いかけてこれる敵を個別に撃破していくですよ!
「……あれー? なんで後ろにも魚がいるんですかねー?」
振り向いた先にはピチピチと跳ねている魚が数匹いて、思いっきり水を噴き出す瞬間だった。これはもう避けきれないタイミングだけど、まだだー!
「死んでたまりますかー! 『咆――」
あ、後ろから何か次々と衝撃が、一気にHP が無くなったー!? 振り向いてすぐに走り出さなきゃいけなかったのに、判断を間違えたー!
<サクラ【器用なライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
ミツルギ : 死んだな。
イガイガ : これ、今日は何度目?
咲夜 : 流石にまだ1回目。
「そこでなんで何回目かという質問が出るんですかねー!?」
いやまぁ、配信開始してから10分も経たずに1回目の死亡なんだけども、昨日も残り15分で死にまくってたけども!
うぅ、あんまり変なミスをして死なないように気を付けようっと。でもまぁ、これで浅い部分の川の中の敵の位置は結構分かったはず! その情報を使って、次こそは1体ずつしっかり仕留めていくのです!
あと、何匹かは陸地に上がってたから、しばらくすれば死んで経験値と進化ポイントにはなるからねー! 決して、無意味に死んだわけではないのさー!
「……区別をする気はないんだね、サクラ」
「いやー、だって全部識別していくの面倒ですもん」
「まぁ絶対に識別しなきゃいけない訳じゃないから良いけどさ」
「倒せればそれで問題ないのです! 問題は表面化してから解決するのみ!」
「……手遅れって言葉を知ってる?」
「知ってますよー! でも、そこはなんとか頑張るのが実況プレイです! ミスもまた醍醐味なのですよ!」
「今回みたいに?」
「そうですとも! あれこそ、私の無意識が生み出した見せ場!」
「ふーん。サクラ、はい、これ」
「何か書いてると思ったらカンペ!? ぐぬぬ、今回はどんな内容……えぇい、読み上げます! 『サクラの芸人魂が立派だと思う方はブックマークや評価をお願いします』って、私は芸人じゃないですよ!?」
「……え?」
「なんですか、その反応ー!?」
「さーて、次回は『第79話 今回の死亡後は』です。お楽しみに!」
「次回は私はどうなるんです!?」