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第7話 ちゃんとした操作方法


 えへへ、ちゃんと用意してくれていたチュートリアルをすっ飛ばして、開発さんすみませんでしたー!


金金金 : なぜ急に土下座……?

真実とは何か : 言葉には出来ない何かがあったのだろう。


 はっ!? 言われて気が付いたけど、半ば無意識に土下座をしていた!? あわわ、すぐに立ち上がったけど、これはやらかしたー!

 くっ、これはお母さんによく怒られる事があるから、怒られそうになった時の行動が反射的に出てしまった! あと、怒った時の兄さんにも……あ、お父さんや親戚のおばちゃんにもか。


「あははー、今のは何でもないので気にしないでください!」


金金金 : あ、圧がすごい……。

咲夜 : 何も聞くなって、無言の圧力が……。

イガイガ : アバターでこれだけ無言の圧力を出すのはそれはそれですごくね?


「そこまで分かってるなら……ね?」


 分かっているなら、それ以上ツッコミを入れる必要はないよねー? 分かった上でこれ以上やるなら、私にもそれなりの考えはある! ……いや、本当はないですけども。


神奈月 : 笑顔が怖い……。

ミツルギ : うん、操作の続きをやってくか。それでいいよな、サクラちゃん?


「はい、構いませんとも!」


 よし、無言の圧力ハッタリ版でこの場は切り抜けた! ふっふっふ、ハッタリでもやってみれば出来るもんだね。

 ともかくミツルギさんの言うように、キャラの基本操作を教えてもらわないと先に進まないから脱線しすぎも良くないのですよ! だから、野暮なツッコミはやめにしよう。そうしよう。


ミツルギ : それじゃまず基礎的なコツだけでいくぞ。まだ変に工夫した動き方は知らない方が良いはずだ。

イガイガ : あー、確かにそりゃそうだ。

咲夜 : 必要最低限の情報に絞らないと、サクラちゃんは混乱して余計に変なことになりそうだし。


「咲夜さん、それ失礼じゃないですかー!?」


 確かに色々言われても混乱しそうな気はするけど、そうだと断定されてしまうのは何か釈然としない。

 でも、出来ると思ってチュートリアルをすっ飛ばしたのが原因なんだし、今はミツルギさんのお手軽解説を頼りにするべきだよねー。


神奈月 : そういえば、あのチュートリアルってヘルプからいつでも見れなかったっけ?

イガイガ : それは言っちゃダメなやつー! ほら、やる気になってるチュートリアル・ミツルギの出番が無くなるだろ!

神奈月 : あ、そりゃ悪いことをした。今のは見なかったことにしてくれ。

ミツルギ : お前ら、俺をからかって遊んでない?

金金金 : 自覚が……なかった、だと!?

真実とは何か : 時には知らなくていい真実も存在するのだ。

ミツルギ : 言ったな、てめぇら!? おい、オンライン版の名前を教えやがれ! ぶっ倒しに行ってやる!

イガイガ : やなこった。

真実とは何か : ここでオンライン版を出すとは、無粋なことを……。それも力づくとは嘆かわしい。

ミツルギ : うぐっ!?


 あ、皆さん、ミツルギさんをからかって遊んでたんだ! いいぞ、もっとやれー! って、それじゃ私の立場が無くなるー!? ここは私の配信だー! 私が視聴者側になってどうするのさー!


咲夜 : まぁゲーム内に戻ってチュートリアルをするにしても、さっきみたいに連動したアバターが変に転んでも困るし、ここで教えてからの方がいいんじゃない?

金金金 : よし、サクラちゃん、ミツルギの教えはなしでゲームのチュートリアルを使おうか。

イガイガ : こいつ、やっぱり!?

咲夜 : やっぱり通報しといた方がいいんじゃ?


 うん、何となく私も少しそんな気がしてきた。でも、金金金さんは金づ……ある意味では危険性と可能性を私に教えてくれたしね。今後何度もあるようなら流石にあれだけど、今回はスルーしてあげようじゃないですか!


「また脱線しかけてますけど、ミツルギさんご指導をお願い出来ますか?」


ミツルギ : おう、任せとけ。

金金金 : くっ!

咲夜 : よし、ナイス決断だ、サクラちゃん!

イガイガ : それじゃチュートリアル・ミツルギ、任せたぞ!

ミツルギ : この、俺に対する扱いは何なんだ……。


「ミツルギさん、ドンマイです!」


ミツルギ : サクラちゃんがそれを言う!? はぁ、まぁいいや。ともかく基本的なキャラの操作方法な。今回はライオンだから、四足歩行の種族での移動に限定して伝えるぞ。

イガイガ : まぁ二足歩行が出来るクマとかリスとかは、よっぽどでなければ歩けないって事態は起きないしな。

咲夜 : 癖が強いのは木と草花だけど、まぁそれは今はいらないか。そっちはそっちで別にチュートリアルが出るし、その時にやればいい。


「ほうほう、そうなんですねー」


 なるほど、四足歩行と二足歩行で動かし方が変わってくるって事なんだね。それでこれから四足歩行であるライオンの操作のコツを教えてくれると。


神奈月 : そういや、とことん苦手って場合には旧来型のコントローラー方式で三人称視点でプレイも出来るけど、その辺どうすんの?

ミツルギ : それは最終手段だろ。フルダイブなんだし一人称の思考操作の方が自由度は高いしな。


 ん? 一人称とか三人称って何の話をしてるんだろう? 旧来型のコントローラーはあれだよね、VRでのフルダイブが一般的になる前のゲームで手に持って操作する為のやつ。

 でも、一人称と三人称ってのがよく分かんないなー? 分からないことは聞くのが早い!


「その一人称とか三人称ってなんですかー?」


咲夜 : あー、フルダイブは基本的に一人称が多いし、世代によっては知らないのか。

神奈月 : いや、サクラちゃんの場合はただ言葉の意味を理解していない可能性も……。

イガイガ : その可能性はあり得るな。

真実とは何か : 一人称とは、自分自身の視点で進めるもの。三人称とは、自分自身の視点ではなくキャラの背後や俯瞰的に進めるもの。銃を撃ち合うタイプのゲームでは一人称のをFPS、三人称のをTPSと呼ぶ。


 えーと、真実さんが説明してくれているけど、どう違うの? FPSとかTPSとかは聞いたことはあるけど、その手のゲームは全然やったことが無いから分かんない!?


ミツルギ : 簡単に言うとだ、このゲーム……今のサクラちゃんの場合だとライオンの全身像が見えるのが三人称、ライオンの手足しか見えないのが一人称だ。


「あ、なるほど、そういう事ですか!」


 ライオンを操作していた時はライオンの全身は見えなかったから、今は一人称って事なんだ! そっか、他のゲームをしてても、基本的に自分の姿は見えなかったし、あれが一人称なんだね!

 たまーに古い作品のリメイク版とかに同時収録されてるリメイク前のやつではキャラの後ろから眺めてるのもあるから、あれが三人称なんだね! うん、一つ賢くなりましたよ!


ミツルギ : まぁ三人称とコントローラーへの切り替えは最終手段として、デフォルトの一人称での操作のコツだな。まず、サクラちゃんはどういうイメージでライオンを動かそうとした?


「それって重要な情報なんですか?」


ミツルギ : まぁそこら辺が上手く操作出来ない原因だったりするから、重要ではある。フルダイブの思考操作ってのは、動かし方のイメージが大事だからな。

イガイガ ; 特に動植物を操作するモンエボだとなー。普通の人型ばっかのゲームなら、それほど気にしなくてもいいんだが。


 ふむふむ、つまり私の操作のイメージが、このライオンを動かすには不適格なものだったからまともに歩く事すら出来ずに転んだという事かな?

 あっはっは、そんなに操作の癖が強いゲームでチュートリアルを飛ばすとか馬鹿じゃないですかー! 誰ですかね、そんな馬鹿な事をやったのは! ……はい、私です。反省しています。

 でも、原因がそこにあるという事は、そこを教えてもらえれば操作は出来るようになるはず! コツみたいなのはあるようだしね! という事で、まずは私のイメージを伝えてみよー!


「えっと、私は四つん這いになって歩くみたいなイメージでやりました!」


咲夜 : あー、やっぱり典型的な躓き例だな。

神奈月 : それをアバターと連動させると、ああなるのか。

金金金 : ……配信を行わずに、連動させる方法を……自分でアバターを用意して録画で行けるか?

咲夜 : やっぱり通報しよう、こいつ!


「あ、金金金さんはスルーで良いです。ミツルギさん、続きをお願いします!」


金金金 : 辛辣ー!?

ミツルギ : ほいよっと。とりあえず四つん這いはよくある失敗だから、そのイメージは全て捨ててくれ。


「はい! それでうまく動かすにはどうすれば?」


 今のイメージが駄目なのは分かったけど、具体的にどうすればいいのか、それが重要な情報だよね。


ミツルギ : なに、そう複雑な事じゃない。初めは立ち上がりたい、前に進みたいと考えるだけでいい。そうすればそのイメージを読み取って、最適な動き方で、立ち上がったり、前に歩いてくれるからな。


「そんなシンプルな事でいいんですか!?」


 えー、そんなに単純な事で良かったの!? なんだ、もっと複雑にライオンの手足を動かすようなイメージが必要なのかと思ったよ!

 ふっふっふ、これなら操作は簡単さー! それじゃ早速やってみよう!


「おーい、作者さん、いるかー?」

「ん? どうした、ミツルギ?」

「お、いたいた。いや、ちょっと話があってな?」

「話? どんな内容?」

「……あいつらのオンライン版でのキャラ名を教えてくれ」

「個人情報はお教え出来ません」

「そこを何とか! 1回ずつ殺すだけだから!」

「いや、PKの理由がコメント欄でからかわれたからって、色々と駄目でしょ」

「ちっ、この作者、使えねぇ……」

「あ、ミツルギのオンライン版のキャラ名がコメント欄に――」

「ちょ、それは汚ねぇって!?」

「人を呪わば穴二つって言葉を知ってる?」

「くっ!?」

「まぁ流石にオンライン版のキャラ名はやめておこうか。はい、それじゃ罰代わりにこれを読んで」

「……いつ用意したんだよ、それ」

「今話してる間に書いた。拒否権は……まぁ拒否してもいいけど」

「オンライン版のキャラ名を人質にすんな! あー、分かった、読めばいいんだろう、読めば! えーと『闇討ちを目論んだミツルギが哀れだと思う方はブックマークや評価をお願いします』っておいこら、流石に待てや!?」

「さて、次回は『第8話 歩き出して』です。お楽しみに!」

「……サクラちゃん、ちゃんと歩けるよな?」

「誰かさんの教え方次第?」

「俺か!? 俺次第なのか!?」

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