第63話 新しいエリアへ
これで草原からはおさらばです! 多分その内、またやってくるけども! さぁ、この先はどんな場所が待ち受けているのかなー?
<『始まりの草原』から『名も無き河川域』へとエリアが切り替わりました>
<規定条件の達成により『始まりの草原』のエリア名が変更可能になりました>
「おぉ、目に見えて下流の方の川が広がりましたよ!」
エリアが切り替わったメッセージが出た途端に遠くの方の川幅が広がった! わー! 近くはさっきと見た目は変わらないけど、エリアが変わって離れた位置の見た目がガラッと変わったよー! 全体的に木とかも増えてる!
おぉ、川の右方向を見てみればちょっとした森っぽいとこや、高台が見える! わっ! 左方向にはちょっとした湖っぽいのも見えるよ!
「随分見える範囲が変わりましたよ! うわー! 新エリアはテンション上がりますねー!」
新しいエリアにやってきたらワクワクするよね! うわー、どこに行こう!? まずはこの周辺で遊ぶのもいいよね! でも、湖や森も気になるよね!
うー! うずうずしてきたー! 川も川幅がどんどん広がってるみたいだし、泳げそうだよね!
金金金 : 満面の笑みの狐っ娘アバター、可愛いなぁ。
イガイガ : エリアによって見える範囲ってそれなりに限定されるからなー。
咲夜 : 距離的に近ければ、意外と見えたりはするけどな。
ミナト : ここは河川域だから、南の方の高台の森や、北の方の湖は別エリアになるよー!
「おぉ、そうなんですね! 森や湖も良いですねー! それなら、このまま川を下っていけば、海に辿り着きますね!」
川なんだから、その先に海があるのは当然の帰結! あ、でもライオンで海っていうのもどうなんだろ?
いなり寿司 : あれ、エリア名の変更についてはスルー?
神奈月 : まぁ、あれは必須じゃないし……。
「あ、そんなのも出てましたね! でも、エリア名を変えてどうするんです?」
出てはいたけど、別にわざわざエリア名を決める必要もないよね。変更が必須じゃないなら、そのまま始まりの草原でいい!
あ、でも『名も無き河川域』ってのも味気ない感じもするよね……。んー、どうしよう?
「というか、さっきの草原って『始まりの草原』って名前だったんですね!」
ミツルギ : マップにずっと表示されてたよね!?
咲夜 : まさかエリア名を把握していなかっただと!?
イガイガ : ……自分が初プレイの時に、エリアの切り替えまで気付かなかった俺には何も言えん。
富岳 : まぁ大々的にエリア名が表示されるのは、初めてのエリア移動のこの段階ではあるからな。意識しなけりゃ気付かなくても仕方あるまい。
チャガ : そもそもサクラちゃんがエリア名を見落としている可能性を、俺らが見落としていたのも悪い。
いなり寿司 : それ、どういう理屈!?
ミツルギ : ……エリア名の見落とし程度、今更って事だな。
咲夜 : 確かにそりゃそうだ。
真実とは何か : それこそ真実なのである。
「別にエリア名を知らなくても問題なかったので大丈夫ですよー! というか、地味に皆さん失礼じゃないですかねー!?」
私が見落とすのが当たり前というようなその認識はどうかと思う! ……まぁ見落としについては反論できない部分がいくつかあったけども!
でもエリア名についてはイガイガさんも私みたいに見落としていたらしいし、それでもクリアは出来ているみたいだから本当に問題ないはず!
ミナト : まぁ今の時点で分かってれば、問題はないかなー? あ、でも初期エリアになる『始まりの草原』についてはエリア名を変えておくのをおススメするよー。
神奈月 : あー、そこは確かにやっとくべきかもなー。
ミツルギ : それはそうだな。後々の為にやっといた方がいいか。
金金金 : そうなのか? というか、これが命名クエストの原型か。
ミナト : うん、多分ねー。まぁオンライン版だと選択式だけど、オフライン版は自由に変更可能だよ。
「え、そうなんですか?」
ふむ、皆さんがそういうのであれば『始まりの草原』は名前を変えておいた方が良いんだ? うーん、正直なところ名前を考えるのって苦手だし、この手のはデフォルトでいきたいんだけどなー。
というか、命名クエストってなーに? うーん、オンライン版の事はよく分からないね!
「このエリア名の変更って、すぐにしなきゃいけないやつですかー?」
今すぐしか出来ないのであれば何とか頑張って考えてみるけど、そうでないなら後回しにするのが良いよね。
というか、この名も無きシリーズが続きそうだし、いっそ視聴者の皆さんにアイデアを出してもらうのも良いかも? うん、それも考慮していこう!
ミナト : エリア名の変更については、マップの進出エリア一覧の表示のとこからいつでも出来るよー。
ミツルギ : まぁだから、今すぐする必要はないな。
「なるほど、その項目なんですね! 今すぐじゃなくていいなら、後回しさせてもらいます!」
というか、もしやと思って通知の履歴を見てみたら『エリア名の変更について』って表示があったよ! 通知をメッセージと一緒に出すなー!
「さて、それじゃ新エリアの探索開始です!」
割ともう少しで配信終了の時間が迫ってきているけども、まだ20分くらいはいける! んー、森や湖の方にも興味はあるけど、とりあえずはこの河川域の探索からかなー?
えっと、とりあえずマップを……あれ? 草原では表示されていたマップが存在していない……?
「え、なんでー!? マップがないですよ!?」
これはバグ!? 結構発売から経ってるはずなのに、こんな大規模なバグを残すとは開発さんは何を考えているのですか!?
あ、でも『名も無き河川域』というエリア名だけは表示されてるね? これ、マップの地図情報だけが表示されてない?
ミツルギ : サクラちゃん、少しだけ悪い情報を伝えよう。マップの解放は、各エリア毎に一定距離以上の移動が条件だ。
富岳 : 河川域のマップが欲しければ、そのエリアを動きまわればいい。
咲夜 : ま、草原に比べたら目印は多いから、迷いにくいし大丈夫だろ。
チャガ : そういう事を言っていると、また変な方向に行くぞ?
咲夜 : ……そうだった。
「私は別に方向音痴ではないですからね!? とりあえず、動き回っていればそのうち解放される仕様なのは了解です!」
エリア毎にマップの解放が必要だとは思わなかったー。でも、よく考えたらどこかで地図をもらってる訳でもないから、この辺は仕方ないのかな?
うーん、でもマップ頼りの敵の見つけ方はこれじゃ出来ないよね。まぁ深く考えても仕方ないし、そこは受け入れていこう! これはこれで手探りの探索感があっていいもんね!
「そういう仕様ならそれでいいでしょう! それでは河川域の探索を開始です!」
という事で、出発だー! さーて、どこに行こうかなー? 森や湖まで行ってしまうと別エリアになってしまうみたいだし、このまま川を下っていくのがいい?
でも湖があるなら、泳ぐのは湖でもいいよね? ここからだと広くは見えないけど、まだ結構な距離があるから、実際に行ってみたら広いかも!
「うーん、進む方向に悩みますねー!」
先に進んでいけば川幅自体が広くなってるみたいだから、今のうちにどっち側に……あ、別にそれは泳いで渡ればいいだけだ! 深さはまだ分かんないけど、そこは気にする理由にはならなかったよ!
そうなると単純に私がどういう風に探索したいかだけだよね。さっきまでの草原と違って、一般生物の姿もパッと見では分からない。大型の種族はそんなにいない感じかな?
んー、川がメインになるエリアみたいだし、主な敵は水中? 流石に水中戦は無理だよねー。とりあえず川から少し離れた陸地部分でマップが解放になるまで探索するのがいいかな?
金金金 : 狐っ娘アバターが笑みを浮かべながら悩んでるけど、どこに行くかで悩んでると考えたら微笑ましい。
いなり寿司 : まぁ新エリアに進出したばっかの時の醍醐味だもんな。
ミツルギ : 慣れてきたらこの辺の新鮮味が薄れてくるから、初めて来た今だからこそだしな。
ミナト : うんうん、そこは分かる!
「ですよね!? ですよね!? うー、どう行こうかなー? 進化ポイントも必要なんですけど、ただ単純に走り回りたい気分でもありますよ!」
ゲームとして考えるなら、進化ポイントとLv上げを目的としてこの周辺で成長体の捜索か、マップの解放の為に移動か、その2択!
だけど、そんなのは関係なしに川の中に飛び込みたいし、森にも行きたいし、湖にも行きたいし、海にも行きたいぞー!
「よし、決めました! もうそんなに今日の配信時間も残ってないので、今は何も考えずに心のままに突っ走って、なるようになれです!」
寝まくって時間を無理に飛ばさなければ敵が強くなりすぎる事もないみたいだし、ゲームなんだから自由に楽しむのさー!
ミツルギ : あ、もうそんな時間か。
富岳 : あと15分くらいだな。
ミナト : あらら、確かにそれじゃ大した事は出来ないかもね。
咲夜 : サクラちゃん、全力で思う存分、新エリアを満喫してくれ!
金金金 : 俺としては、単純に景色を見てはしゃいでいるのを見るだけでも満足だ。
イガイガ : ま、サクラちゃんの配信だし、楽しんでやってくれー!
「はーい! いやっほー!」
とりあえず川沿いで下流に向けて全力疾走だー! 進化ポイントやLv上げについては実況外でやってしまえば良いし、今はともかく単純に楽しみたいように楽しむのみ! 効率的なプレイなんてものは知ったもんじゃないからね!
その過程でマップが解放になればいいし、その途中で成長体を見つけたら倒せばいい!
「新しいエリアにやってきましたよ! いえーい!」
「テンションが高いね、サクラ」
「新エリアでテンションを上げなくて、いつ上げるんですか!?」
「ま、そりゃそうだ」
「草原とは違って、見る方向によって全然違う景色なのも良いですね!」
「草原はどうしてもねー?」
「さて、私、サクラの新しいエリアでの活躍を応援してくださる方はブックマークや評価をお願いします!」
「……活躍、ね?」
「何ですか、その意味深な言い方ー!?」
「さて、次回は『第64話 川に飛び込んで』です。お楽しみに!」
「おぉ、遂に泳げそうなのですよー!」
「まぁ、頑張ってね」
「それってどういう意味ですかー!?」