第30話 新たなスキル
「ふふーん! なんだか楽しくなってきました!」
横倒しになった木に乗っかって、その幹で爪とぎをしてたら、なんかスカッとする! ふっふっふ、この一方的な……あ、根でちょいちょい反撃されてるから一方的でもないや。
それなりに私の方もダメージは受けたけど、それでも私のライオンのダメージ量の方が多い! 残り1ひっかきで木のHPはなくなるのさー!
「これでとどめです! えいや!」
<幼生体を撃破しました>
<進化ポイントを1獲得しました>
「動く木、撃破です! Lvは上がらなかったけど、進化ポイントをゲットですよ!」
ふっふっふ、これで進化ポイントは3になったはず! それに戦闘前にマップが解放されたし、一気に便利になりそうな予感!
ミツルギ : なんというかサクラちゃんのライオンは巨大な猫だな。
咲夜 : まぁ、サクラちゃん自身が爪とぎって言ってるしね。
イガイガ : ライオンはネコ科だし、まぁ間違っちゃいない。
神奈月 : 前に飼ってた猫が、ドングリを転がして遊んでるのと、サクラちゃんのライオンの投擲の様子が被って見えた。
ミナト : ライオンでも爪はとぐからね? まぁライオンというより大きな猫っぽい雰囲気なのは分かるけど。
「あれ!? 私ってライオンじゃなくて猫っぽいんです!?」
おかしい、私は威厳のあるライオンの戦い方を……うん、自分でもそうでもない気がしてきた! よく考えたらライオンらしい雄々しい戦い方とかしてないですよ!
それに猫でも良いじゃない! 猫、可愛いよ! 私の家で飼ってるのは犬だけど、猫も好きだもん! 猫っぽいって事は私の可愛さが滲み出ているという事なのさー!
「ふっふっふ、私は巨大な猫だー! にゃー!」
咲夜 : ちょっとの間でどんな心境の変化があった!?
イガイガ : 猫に驚いたかと思ったら、一転して猫を自認した……?
金金金 : それでこそ、サクラちゃん!
チャガ : まぁサクラちゃんがそれでいいなら、別に良いか。
「それじゃ次の敵……の前に、スキルを取ってきまーす! 今度はもう何を取るか決めたので、サクッと取ってきますねー!」
さっきの戦闘で実感した! 色々と取ってみたいスキルはあるけども、今の私に必要なスキルはこれだと!
ミツルギ : お、さっきの戦闘の前は悩んでたけど決めたのか。
イガイガ : サクラちゃんは次は何を取るかな?
咲夜 : さて、現時点で取れるスキルは……3択か。
神奈月 : え、2択じゃ? あ、そうか。あっちもあったな。
チャガ : あぁ、そういえば3択か。
ミナト : うん、3択だねー。
「あれ? 3択なんです?」
はて、今の私には進化ポイントは3しかないから、既に第1段階を解放済みのスキルツリーからしか解放出来ないはず?
屈強から『爪撃』と『噛みつき』の2つの内から……あー! そうじゃない! そっか、そっか、そっか! 3択って、器用のスキルツリーからの『威嚇』だ!
「はっ! 良いことを思いつきました!」
ふっふっふ、新しく出たマップと、そこに敵が表示される条件、そしてこのスキルの存在! これを閃いた私は天才なのですよ!
ミツルギ : 何かさっき決まっていた事が覆ったような気がするんだけど……。
イガイガ : 奇遇だな。俺もそう思ったところだ。
咲夜 : ……また余計な事を言ってしまった予感。
神奈月 : さて、どうなるか。
ミナト : あはは、何となく何をしようとしてるかは予想が出来るけど、うん、見守ろうっと。
チャガ : まぁ……そうだな。
皆さんは色々な反応をしてるけど、私のプレイ方針は私が決める! という事で、スキルツリーを開いて、新たなスキルを解放だー!
<『器用』第2段階:スキル『威嚇』を解放しました>
「私が選んだのは威嚇です! ふっふっふ、これとマップを組み合わせて使うのです!」
威嚇は何となく敵を追い払う効果だと思ってたから避けたけど、一度戦闘態勢に入ってしまえばマップに表示されるのなら話は別なのですよ!
これで戦闘状態にして、後からマップを見ながら敵を追いかけて倒す! これが私の考えた華麗な作戦!
ミツルギ : あー、その組み合わせか。
イガイガ : うん、まぁ手段としては良い。良いんだけど……。
咲夜 : ……サクラちゃん、うん、頑張って。
神奈月 : 頑張れよ、サクラちゃん!
金金金 : ん? 何か問題がある組み合わせなのか?
ミナト : んー、そこはサクラちゃん次第だねー。
チャガ : まぁ、そうなるな。使い方次第では有用だが、やはりサクラちゃん次第か。
むむっ!? この反応はあれですね! 私の選んだ組み合わせは結構有用な手段として確立されてそうな感じがするよ!
「それじゃやってみますねー! 『威嚇』!」
あ、スキルの説明を見ないまま発動しちゃった。まぁもう発動しちゃったし、効果は使ってみたら分かるはず!
「……あれ? 咆哮みたいに指定の円とか出ないんです? あれ? もう再使用時間のカウントゲージが出てますね?」
あれー? 指定も何もなく発動するスキルもあるの? うん、まぁそれは良いけど、効果はどうなってるのー? 何か効果時間ってカウントダウンも出てるから、既に発動中?
えっと、近くにいたシマウマの群れの方を見てみようっと。多分これで効果が分かるはず。
「わっ!? シマウマの群れが一気に逃げ出しましたよ!」
おぉ、これは効果抜群だね! 今までの一般生物のシマウマの群れは私が襲い掛かるまでは逃げなかったけど、今は見ただけで逃げ出したよ!
それに推測通り、マップに灰色の点が大量に表示された! 灰色が一般生物って言ってたし、やっぱり威嚇で戦闘状態に入るんだ!
ふっふっふ、私の作戦、大成功じゃないですか! というか、この見ただけで逃げていく様子、ちょっと面白い!
「わー、これ楽しいです! いぇーい! ちょっとその辺を走り回ってきますねー!」
威嚇には攻撃位置の指定はなくて、効果時間が設定されてるみたいだしね。効果時間を最大限に活かして、敵をマップ上に表示させるのです!
ミツルギ : サクラちゃん、頑張れ!
イガイガ : 頑張れ!
咲夜 : 今は応援するしかできない! 何が起きても、頑張れ!
神奈月 : サクラちゃん、ファイト!
チャガ : どうにか切り抜けろ!
ミナト あはは、まぁそういう反応になるよね。サクラちゃん、頑張って!
金金金 : みんなして応援のみって、どういう事だ?
真実とは何か : 真実は……そう遠くないうちに分かるであろう。頑張れ!
「はい! 皆さんの応援に応えられるように頑張りますね!」
うふふ、ただ威嚇しながら走り回るだけなのに、こんなに応援されると嬉しいよね! さーて、張り切って威嚇しまくって敵をマップに表示させていくぞー!
草原を駆け巡れ、私のライオン! いっくぞー! いやっほー!
「ゾウの群れを発見です! がおー!」
おぉ! ゾウの群れをしっかりと視界に捉えれば、一目散に逃げていく! うーん、でも幼生体はいないなー? よし、次はあっちに見えているキリンの方に行ってみよう!
「ふふーん! 次はキリンの方に行ってきます!」
マップを見ながらだとちょっと走りにくいから、幼生体がいたかどうかの確認は後でいいのさー! どっちにしてもすぐに倒す訳じゃないからねー!
ほらほら、偉大なる百獣の王であるライオンのお通りですよ! 逃げ惑え、雑魚敵たちよ! わっはっはっ! 爽快なのですよ!
金金金 : あー、なるほど、そういう事か。
ミナト : うん、そういう事。
ミツルギ : その結果、どうなるかは……。
金金金 : ……サクラちゃん次第か。頑張れ、サクラちゃん!
「はーい! 頑張ってますよー!」
ふっふっふ、金金金さんもここから応援してくれるとは思わなかったね! それじゃもっと気合を入れて追い立てていくのさー!
「がふっ!? え、何ですか!?」
思いっきり転んだけど、何かに脚を掴まれたような感じがしたよ? え、何がどうなったの?
「あー! 雑草がまた邪魔してきて……あれ? ウサギにネズミに……あれー!? なんで私、囲まれてるんです!?」
え、なんで、なんで、なんで!? まだ威嚇の効果時間は過ぎてないのに、目の前の雑草とかウサギとかネズミが逃げてくれない!?
わー!? なんか木もやってきたし、どんどん数が増えてくるー!? え、え、何がどうなってるの!?
「なんなんですか、これー!? ぎゃー!? 待って、待って、待――」
<サクラ【ライオン】が死亡しました>
<死亡した為、ランダムリスポーンとなります>
死にましたよ! えぇ、対処の術もなく、なぶり殺しにされましたよ! 数の暴力反対ー!
とりあえず、場所を変えて復活ですよ! でも何がどうなったのかが分かりませんよ!
ミツルギ : あー、やっぱりこうなったか。
イガイガ : まぁ無理だよなぁ……。
ミナト : ……あはは。それにしても思った以上に集まったねー。
チャガ : その辺は運が絡むが、想像以上に集まったか。
咲夜 : あの数、対処しきれる人ー?
神奈月 : 今のサクラちゃんのスキル構成で切り抜けられる気はしないな。
イガイガ : 普通の構成にしてても今のはキツイだろ。
ミツルギ : てか、今のは相当な上級者じゃないと無理じゃね?
真実とは何か : まさしく、それが真実である。
金金金 : ……そんなにか。
ミナト : 少なくとも初見プレイでやる事ではないねー!
「頑張れって応援、そういう意味だったんですか!?」
大量の敵に囲まれて死んだと思ったら、金金金さん以外はどういう状況になるか予測してたっぽいー!? さっきの状況を切り抜けろって応援だったのー!?
何となく威嚇が原因だったのは分かるけど、具体的に何が起きたのかが分からないよ!? うがー! ここは少し不本意だけどネタバレになっても皆さんに聞いてみるべきかな……?
「……死んだね」
「盛大に死にましたね! それがどうかしましたか!?」
「いや、どうもしないけど?」
「あれ? 問い詰められるかと思ったらそうでもなかったです?」
「いや、まぁ死に方としてはまだ真っ当な方かなーって」
「これがですか!? 結構凄惨な殺され方してません!?」
「まぁネタバレ禁止だから、理由は言わないよ?」
「うがー!? ネタバレ禁止がここで影響してきたー!?」
「という事で、はい、今回の分」
「……ネタバレならこれ以上続けても仕方ないですしねー。えーと、『見事な死にっぷりのサクラを面白いと思った方はブックマークや評価をお願いします』……って、私の死に方は見せ物ですかー!?」
「実況プレイだから、死ぬ部分以外も全部見せ物では?」
「はっ!? そういえばそうでした!」
「という事で、次回は『第31話 死んだ結果』です。お楽しみに!」
「死んだ結果、どうなるんですかー!?」