第23話 スキルのチュートリアル
ようやくここまでやってきた! スキルを実際に使ってみようというチュートリアル! それじゃ早速開始です!
「わっ!? え、何です!? 私のライオンの影が、ライオンの姿になりましたよ!?」
えぇ! チュートリアルの敵ってそんな感じで出てくるの!? うーん、ここで普通の幼生体の敵が出てきて進化ポイントがもらえないかなーとか少し思ってたから、ちょっと残念……。
ミツルギ : まぁチュートリアルだし、動かない敵だし、こんなもんだ。
イガイガ : そこは俺も初プレイの時に、その辺の幼生体じゃないのかとは思ったな。
ミナト : サクラちゃん、周囲の敵を見てごらん。
「え、周囲の敵ですか? あー!? どれも動いてない!? よーし、今のうちにボコりまくってきま――ぐはっ!?」
うぅ、何か見えないものにぶつかったー!? え、何にぶつかったの!? あ、これってチュートリアル中はこの周辺から動けないし、敵も何も動かないってやつだー!?
チャガ : 一切の躊躇なく、即座に倒しに行ったな……。
咲夜 : まぁ、やりたくなる気持ちは分かる。
神奈月 : 確かに。
ミナト : ……あはは、周囲の様子が変わってるよって伝えたかっただけなんだけどなー。
「咲夜さん、神奈月さん、やりたくなりますよね! うがー! 無防備な敵を倒させろー!」
この時間が止まっている状態であれば、あの忌まわしきゾウも確実に倒せるのさー! 卑怯だけど! 確実にズルだけど! 私はそんなことは気にしない!
圧倒的な戦力差で雑魚をなぎ倒す無双系は爽快だから、やーらーせーろー! はい、チュートリアル中なだけだから、無理ですよねー。うん、普通にチュートリアルを進めよっと。
ミツルギ : そういうのは後の……っと、これはネタバレか。
イガイガ : またミステイク・ミツルギに進化か?
ミツルギ : 内容は言ってねぇから!?
咲夜 : 先が気になるようなことを言う時点でアウトでは?
真実とは何か : ネタバレの境界線というのは、難しきものよ。
「ちょっと待ってください、ミツルギさん! ネタバレ案件っぽいですけど、その発言だけですごーく気になってるんですけど、どうしてくれるんです!?」
まさしく無防備な敵をなぎ倒していく事が出来るみたいな言い方を……はっ!? よく考えたらエリアが草原だけの訳もないから、進めばこの辺りの敵は瞬殺出来るようになるとかそういう事かな?
うん、多分そういう事だ。ゲームではそういう事はよくあるもんね。そういう事ならネタバレにはならない範疇だから問題ないかな?
ミツルギ : あー、それはだな……。しまったな、また失言だったか……。
イガイガ : ここはサクラちゃんがどうジャッジを下すかだな。
「いえ、何となくどういう事かは予想できたんでもう大丈夫です! それじゃ続きをやっていきますねー!」
ここで無駄に時間を使ってても仕方ないもんねー。RPGをやってればよくある内容をネタバレだとして気にしても仕方なーい! よって今回はミツルギさんは不問!
咲夜 : あ、何か勘違いが発生してる気が……。
チャガ : もうそこには触れるな、咲夜。
神奈月 : そうだぞ!
ミツルギ : あー、まぁいいか。
イガイガ : ……だなー。
真実とは何か : こうして真実は守られた。
ミナト : あはは、まぁこれでいいのかなー?
金金金 : あー、何を言ってるのかよく分からん。
ミナト : 金金金さんはそうだろねー。
ふむ、私が勘違いをしている? え、今のって何か勘違いの余地はあった? うーん、まぁネタバレ案件なら掘り下げても仕方ないよね!
「まぁ今回は私の勘違いでも良いでしょう! とりあえず続き、やっていきますねー!」
それじゃ、スキルの使い方のチュートリアルを開始しよう! えーと、まずは取得した『咆哮』を発声して発動か、発動したいと念じる事かー。
あ、視界に発動の為のショートカットアイコンの作成ってのもあるね。へぇ、いくつか発動方法があるんだー。
「ミツルギさんが投擲を使う時に教えてくれたのは、この発声での発動の場合なんですね!」
ミツルギ : おう、そうだぞ。発声操作じゃなくて思考操作でも発動は出来るけど、こっちは誤発動があるからな。
イガイガ : あー、誤発動はあるあるだな。
咲夜 : だよなー。地味に思考操作はめんどい。
神奈月 : あれは完全に上級者向け。
金金金 : ほほう、その辺はオンライン版とオフライン版は共通か。
チャガ : そうなるな。まぁ実はショートカットが一番面倒ではあるんだが。
「あれ、ショートカットって面倒なんです? これが一番楽な気がしたんですけど……。あ、これは質問です! あ、あと思考操作での誤発動も教えて下さい! チュートリアルにその辺りの注意点は書いてなさそうなので!」
この辺はどうもネタバレというよりは純粋な操作感に関わるものみたいだから、少し意見は聞いておきたい!
ショートカットでのスキルの発動、楽そうなんだけどなー?
ミツルギ : 思考操作はあれだ。戦闘中だと次にどのスキルを使おうって考えてる時に誤って発動する事がある。
ミナト : 上手い人が思考操作をする時は、あえて他のスキルの発動中にその後の手順を考えて動くんだよ。スキルの同時発動は出来ないからね。戦闘中にいつでもスキルが発動出来る状況では、スキル名は頭の中に浮かべないの。
イガイガ : 理屈じゃ分かるし、非戦闘時なら思考操作でも簡単なんだがなー。
咲夜 : 戦闘中にそれをやれとなると、一気に難しくなる。
チャガ : まぁサクラちゃんも、その辺はこれからのプレイで実際にやってみるといい。
「あ、はい! チャガさん、分かりましたー! そっかー、思考操作って難しいんですねー」
うーん、いまいち聞いてみてもピンとこないけど、チャガさんの言ってるようにここは実際にやってみてだねー。
「それでショートカットの方はどういう理由なんです?」
神奈月 : ショートカットの方が面倒なのは、まずはシンプルに登録数に制限があるからだな。
ミツルギ : あれ、根本的に3人称に切り替えて、コントローラー操作をする場合のやつだしな。
イガイガ : ついでに言えば、スキル発動の時は毎回そこに視点を合わせて選択する必要がある。
チャガ : ショートカットは右下に表示されるんだが、敵を目の前にして視線を少し外す必要があるから……まぁ、基本的に死亡率が上がる。
「あっ、確かにそれは危険なやつですね!?」
そっか、そっか! ショートカットが面倒な理由は分かった! 戦ってる最中にスキルを使おうと思ったら、毎回視界の右下に集中しないと使えないのはダメだー!
流石にそんなのは使い勝手が悪すぎますよ! でも、一応ちょっと使ってみようかなー? うん、実際に使ってみるのも大事!
えーと、とりあえず『咆哮』をショートカットに登録っと。あれ、スキルは10個まで登録できるじゃないですか! これ、皆さんが言ってるほど面倒じゃないかも?
咲夜 : ……言ってる事とやってる事が違う。
イガイガ : まぁ実際に使ってみるのも大事だから……。
ミツルギ : 俺らにそれを制限する権利はないからな。
金金金 : ショートカットでの発動って見たことないし、興味深い。
神奈月 : あー、金金金さんみたいに初見ならそうなるのか。
チャガ : そういやオンライン版にはショートカットはなかったな。
ミナト : ん? オンライン版にもあるにはあるよー? ただ、使用するのにかなり条件があるけど。
チャガ : 何!?
金金金 : ちょ、それは初耳!?
ミナト : はいはい、そこは各自の所属で聞いてねー。ここで大々的に話す事じゃないからねー。
んー? なんだかオンライン版の話が出てるけど、そこはさっぱり分からない? まぁやってないんだから当然だけど、まぁいいや!
そうしてる間にも『咆哮』の発動の準備は完了なのですよ! えーと、右下に『咆哮』ってアイコンが出来てるね。うん、これに意識を集中して、アイコンを押してスキルを発動!
「あ、なにか視界の中に円が出てきましたけど、これが咆哮の照準なんですかね? って、私はなんで地面に向かってるんです!?」
発動する前は影のライオンを見てたのに、いつの間にか地面を見てたー!? え、なんでー?
ミツルギ : ショートカットでの発動は右下の方を見ようという意識が出るから、そういうキャラの誤動作もあるんだよ。
金金金 : あー、こりゃ確かに地味にめんどくさい。思考操作の方がまだ楽なんじゃ?
ミナト : うん、そうなるねー。逆に言えば、ショートカットを扱いきれる人は、大体思考操作も扱いきれるよ。どっちも意識を分散しても扱えるってのがコツだから。
チャガ : ま、そういうのもあるから発声操作が一番安定はするよな。
「そういう事は先に言ってくださいよー!?」
そんなんじゃ私公認のアドバイザーの名が泣くよ、ミツルギさん! うぅ、でもショートカットの使い勝手の悪さはよくわかった!
ミツルギ : だって、なぁ……?
イガイガ : 使いにくいのを説明した上でサクラちゃんが使いだしたんだし、体感してもらう方が早いよなぁ。
咲夜 : まぁ、これで実感は出来たよな。
「確かにそうですけど! うぅ、とりあえず『咆哮』自体は発動出来ているので、使ってみます!」
うがー! ショートカットでの発動なんか、もう二度と使うかー! 全然使いやすくなんてなかったですよ!
「サクラ、何でチュートリアル中に普通の敵が倒せると思った?」
「なんとなくそう思ったからです!」
「うん、分かった。聞いたのがそもそもの間違いか」
「その扱いは酷くないですかー!?」
「いやー、改めて制御の効かない主人公だなって思っただけだよ」
「ふふん、私は誰にも縛られないのですよ!」
「……せめて常識には縛られてて欲しいけど、まぁいいや。はい、今回の分」
「あ、今回はカンペありなんですね! えーと、中身は……うん、これは問題ないですね! それでは読み上げます! 『サクラが上級者になれる訳がないと思う方はブックマークや評価をお願いします』! はい、読みましたよ!」
「……今のを普通に読み上げるとは思わなかったんだけど?」
「あはは、私は上級者になりたくてゲームをやってる訳じゃないから問題ないんです! ゲームは楽しくですよ!」
「あー、そういう事か。それじゃ次回は『第24話 幼生体でのチュートリアル完了』です。お楽しみに!」
「おぉ、ついにチュートリアルが終了ですか!」
「ま、他にも色々要素はあるにはあるけど、大々的なチュートリアルはひとまずね」
「よーし、それじゃ頑張りますよー!」