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第17話 スキルの使い方


 『投擲』とかいうスキルは手に入れたけど、使い方が分かんないー!? おのれ、雑草め! この私をどこまで窮地に追い込んでくれる!?


ミツルギ : ヤバそうだからシンプルに行くぞ。『投擲』と叫んで……ライオンなら、近くの弾き飛ばせそうな石を視界にある丸い円の中に入れて、命中補正の線を敵に向けて、それをなぞる感じで石に近い方の前脚を動かせ!


「はい、分かりました!」


 一応返事はしたものの、シンプルと言いながらそれなりに説明が長いよ!? でも、今はそれでもやるしかない! えっと、えっと、まずはスキルの名前を叫ぶ!


「『投擲』!」


 わっ! 言われた通りに叫んでみたら、なんか視界に弧を描いている線が表示された!?

 えっと、視界にある丸い円……あ、線の私に近い側の先にある! それで次にするべきことは……。


「次は……石!」


 えっと、使えそうな石を探せー! 要するに投げ飛ばす為の石……この場合は弾き飛ばせそうな石かな?


 あわっ!? 雑草め、根を伸ばしてくるなー! ふー、飛び退いて回避成功!

 石、石、石はどこだー! うがー! 草原で草が生い茂ってるから、大きな岩は見えるけど、使えそうな石が見つからないー!?


イガイガ : サクラちゃん! ヨモギに投げつけた、掘り返した土の中!


「はっ!? イガイガさん、ありがとうございます!」


 そうだ、そうだ、そうだ! あの穴掘りが『投擲』のスキルの取得に関わってるなら、イガイガさんの言うように使える石が多分あるはず!


 今いる場所はさっき飛び退いたせいで穴を掘った場所から離れちゃったけど、一気に駆け寄って石を見つけるのみ! 雑草は……おぉ、なんか知らないけど根を伸ばしたまま無防備だ! 今のうちに、石の確保ー!


「やった! ありましたよ!」


 良かった、掘り返した土の上になんか汚れが剥げたような石があった! うん、土の上だから分かりやすい! これなら使えそう!


咲夜 : よし、これならいける!

神奈月 : やれ、サクラちゃん!

チャガ : ここまで行ったら、勝て!


 よーし、さっきまで全然私の勝利を信じていなかったのに、応援してくれている声が聞こえてきたー! ここでミスったら流石に恥なのですよ!


 次は……えっと、次は……そうだ! あ、ミツルギさんは命中補正の線って言ってたはず!

 多分新しく表示された線が命中補正の線で、私側の先端にある丸い円の中に弾き飛ばす石を入れればいいんだよね!?


「石を円の中に入れて……こうだー!」


 そしてミツルギさんが言ってたように、線に近い方の前脚で線をなぞるように動かす!

 おぉ、なんか投擲というよりは、ゴルフみたいに叩いて飛ばしたみたいな感じになったけど、雑草に当たれー!

 というか、なんか雑草のHPがいつの間にか結構減ってるのはなんでー? うん、まぁいいや! 弱ってるなら倒せる可能性が高いんだから問題なし!


「わっ!?」


 あー!? なんでかバランスを崩して転んだ!? こんな時になんでー!?


金金金 : サクラちゃん!?

咲夜 : よりによって、このタイミングでドジっ子発動!?

真実とは何か : いや、違う!

神奈月 : ちょ、葉っぱ!?

ミナト : あらら、転んでなかったら直撃だったかも?


「え、どういう事です!?」


 何か皆さんが驚いてるけど、今って何がどうなったの!? えぇい、今はそれはいい! 私の投擲は雑草に当たったの!? 


「あっ、当たったー!」


 大慌てで雑草の方を見てみたら、まさに石が直撃したとこだったよ! そして、雑草のHPがすべて無くなった! やった、結構な威力だよ!


<幼生体を撃破しました>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【ライオン】が幼生体:Lv4に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを1獲得しました>


<サクラ【ライオン】が幼生体:Lv5に上がりました>

<基礎ステータスが上昇します>

<進化ポイントを1獲得しました>


「やった、やった、やった! 皆さん、雑草を撃破しましたよ!」


 ふっふっふ、皆さんの予想に反して、あの雑草を倒したよ! 転んだままだけど、私のライオンも死にかけてるけど、それでも勝ちは勝ちだー!

 Lvも上がったし、進化ポイントも手に入ったし、ともかくやったー! しかも一気にLv 2も上がったよ! 実は強敵だったの、あの雑草!


ミツルギ : おし! サクラちゃんの勝利だな! お疲れ!

イガイガ : 最後のすごい偶然だったな。とりあえずお疲れさん。

咲夜 : Lvも上がったなー。

ミナト : サクラちゃん、おめでとー!

神奈月 : おめでとう!

チャガ : あそこからよく勝ったな。

真実とは何か : 生存理由、ドジっ子の発動。

金金金 : 確かに。

ミナト : そだねー。あのタイミングで転んでなかったら、回避出来てなかったと思うしね。


「えーと、皆さん、何の話をしてるんです?」


 転んでいなかったら、回避出来ていなかった? 何をだろう? 私が投擲を使った時は、雑草は思いっきり無防備だったよ?


ミツルギ : サクラちゃん、気付いてないのか?

イガイガ : 配信の視点はサクラちゃんのものだから、俺らが気付いてたならサクラちゃん自身も気付けるはずだが……。

咲夜 : まぁあの状況じゃ仕方ないだろ。慌ててたらあの攻撃は見落としてもしゃーない。

ミツルギ : それもそだなー。えっと、サクラちゃんが投擲を使ったと同時に葉っぱの斬撃が飛んできてたんだよ。

真実とは何か : そこでドジっ子の発動。

ミナト : まぁ簡単に言えば、転んだことで葉っぱの斬撃の回避になった感じだね。

チャガ : 生い茂ってる草花に掘り返した土をかけたその上で、まともに踏ん張れる訳もないからな。あそこで転ぶ事自体は不思議ではない。

金金金 : ある意味、穴を掘ったとこからがドジっ子発動の下準備か。

イガイガ : よく考えたらそこからか。まぁ予想は出来ん。色々と。

ミナト : あの土をぶつけまくってたのでも地味にダメージは与えてたしねー。


「そうだったんですか!? って、私はドジっ子じゃなーい! 皆さん、ちょっと失礼じゃないですかねー!?」


 そうですよ、私はドジっ子ではないのさ! これはあれですよ、私の本能的なものが攻撃を察知して、無自覚的にあえてバランスを崩し、地面に伏せる形で回避を成功させたのですよ!

 ふっふっふ、私の無自覚な本能は優秀なのさ! そう、そのはず! 皆さんが見えてたなら、私にも見えていたはずなんだから、そのはずで間違いない!


「まぁ今はそれでも良しとしましょう! 私は勝ててご機嫌なのですよ!」


咲夜 : まぁ、あの状況からのギリギリでの勝ちは嬉しいだろうな。

神奈月 : というか、本当によく勝てたな。

ミツルギ : だよなー。

ミナト : それはそうだよねー。

イガイガ : 今のは確実に相手が格上だもんな。


 はて? あ、そういえば皆さん、さっきの雑草と戦い始めてから相手が悪いとか言ってたっけ? うん、その辺りをちょっと考えてみようかな。


「戦闘も終わったので、皆さんがそう言ってる理由を考えても良いですか? ほら、HPも危ない……あれ? いつの間に全快してるんです?」


咲夜 : あ、オフライン版はLv上がると全快な。それとHPじゃなくて、生命。

金金金 : ほう、Lvが上がれば全快か。

ミツルギ : まぁ呼び方が違うだけで実質は他のゲームで言うHPだしな。オンライン版はHP表記になったし。

イガイガ : そこら辺はサクラちゃんの自由で良いんじゃね?

咲夜 : 特に問題もないから、サクラちゃんが呼びたいように呼べばいいか。


「あ、私の自由で良いんですねー! それじゃこれからもHPって呼ばせてもらいます!」


 なんだか生命だとピンとこないし、パッと出てくるのがHPだから、これからもHP呼びで行くのさ! 別に私の配信の中だけの問題だし、そこら辺は私の自由なのですよ!


「……そういえば、スキルって何も消費しないんですか? さっきはその辺を全然考えてなかったんですけど……」


金金金 : それ、俺も気になった。オンライン版とは全然仕様が違う?

イガイガ : あー、そこな。スキル周りは思いっきり仕様が違うぞ。

ミツルギ : ……この場合って、スキルのチュートリアルは始められるのか? 始められるなら、そっちが良いと思うんだが……。

咲夜 : 試したことないな……。

ミナト : この場合だと別のチュートリアルが始まるよ。ほら、スキルツリー外についてのチュートリアル。

チャガ : そういやそっちのもあったか。

ミツルギ : あー、それなら順当に普通にスキルツリーからスキルを解放して、普通のチュートリアルを発生させた方がいいか。


 ほほう、なるほど、なるほど。私が取った『投擲』はライオンのスキルツリー外のスキルだって話だったから、スキルそのもののチュートリアルは発生しないんだね!

 うん、何か順番がおかしい気もするけど、そこは気にしなーい! いいのですよ、順番なんてものは! うん、スキルの方が確実に威力が高いし、当てる為の補正もあるみたい……ん?


「あれ? もしかして、あの雑草が使ってた根とか葉っぱの攻撃ってスキルですか? だから、皆さん、相手が悪いって言ってました?」


ミツルギ : あ、サクラちゃんが自力で気付いた。なら、ここの情報は解禁か。

イガイガ : おう、そうだぞ、サクラちゃん。

チャガ : あのヨモギが使ってたスキルは2種類だな。根を操って攻撃や移動をする『根の操作』と、葉っぱを飛ばして切り裂く『葉っぱカッター』だ。

咲夜 : え、数はともかくスキルまで言っちゃっていいのか?

チャガ : ……あっ。

ミツルギ : 何やってんだ、チャガさん。

チャガさん : すまん……。


「え、使ってたのは2種類なんですか!? ちょっとネタバレな気もしますけど、多分気になって聞いたと思うのでそこは大丈夫ですよ!」


 うん、ネタバレだとは思うけど、スキル自体は見たんだから名前くらいは問題はない。そっかー、厄介だと思った攻撃はどっちもスキルだったんだー。


 えっと、それはつまり、あの雑草はスキルツリーの2段階目にあるスキルを2つ解放されてる状態であったわけで……どう考えてもスキル0個だった私のライオンより格上だー!?

 そりゃ皆さん驚くよ! 私も勝てたことにびっくりだよ!? 本当によく勝てたね、私!


「やったー! 勝ちましたよ、作者さん!」

「うん、まぁ頑張ったね、サクラ」

「なんでそんなに暗いんですか!? テンションを上げて行きましょうよ!」

「……いや、もう、どうしてこういう勝ち方になったのかが謎過ぎて……」

「ふふん、それは私に実力が凄まじいからに決まってるじゃないですか!」

「……そういう事にしておこう。まぁサクラに活躍してもらわないと、ポンコツなだけじゃ困るしね」

「そうでしょう、そうでしょう! って、今、ポンコツって言いましたか!?」

「うん、言った。まぁでも活躍したのは事実だし、今回は自由に言って良いよ」

「わーい、やったー! それでは遠慮なく……えー、私、サクラが本当に頑張ったと純粋に褒めてくれる方はブックマークや評価をお願いします! そうすればテンションは盛大に上がるのですよー! 作者さんのモチベーションも上がりまくるのです!」

「確かにそれは事実だけど、サクラ、テンションが高過ぎない?」

「今テンションを上げないで、いつ上げろって言うんですかー! いぇーい、誰も予想してくれなかった大勝利ー!」

「まぁ気持ちは分かる。でもそろそろ終わりにするよ。次回は『第18話 ステータスの強化』です。お楽しみに!」

「私はまだまだ強くなっていくのさー!」

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