第12話 育成システムの確認 前編
まさか飛ばしてしまったチュートリアル以外に育成要素のチュートリアルがあったとは!? あ、でも、よく考えたら進行具合に合わせて解放される機能はその時にチュートリアルが出る事ってあるよね!
「もしかして、このチュートリアルって初めてステータス画面を開いたら始まる感じです?」
ミツルギ : 厳密にはLvが1回でも上がって進化ポイントを1ポイントでも得た後にステータス画面を開くと始まるようになってる。
イガイガ : 大体は初めのチュートリアル中に敵を倒して、そこでLv2になるからな。流れでそのまま今のチュートリアルに移行するんだが……。
咲夜 : サクラちゃん、Lvが上がってもステータスを開こうとしないから……。
ぎゃー!? あまりにもシマウマが普通に倒せてたから、ステータスの確認とか後回しで良いとか思った私の馬鹿ー!?
一回目のキャラ操作のチュートリアルをすっ飛ばした上に、育成要素のチュートリアルは開きさえもしなかったとか、何やってんのー!?
「……あはは?」
うん、とりあえず笑って誤魔化しとこう! 笑顔は武器だー!
金金金 : なぁ、チュートリアルがある部分は今後もあるし、そこだけは口出しありにしとかね?
神奈月 : んー、まぁその方がいいか?
ミツルギ : つっても、毎回配信で同じメンバーがいるとは限らんぞ?
イガイガ : 頑張れ、アドバイザー・ミツルギ!
ミツルギ : 俺だってリアルの都合はあるからなぁ!?
咲夜 : サクラちゃん、その辺の解禁はどう?
「うーん、どうしましょうか?」
これからもチュートリアルが入る部分があるのなら、そこだけは教えてもらった方がいい? うーん、でも事前情報なしの初見プレイでそんな視聴者さんに甘えるようなプレイ方法っていうのもなぁ……。
「……よし、決めました! 基本的にネタバレなしの方針は変えないままで、今回みたいに皆さんが何か伝えようとしているのが分かった時は出来るだけ無視をしないで聞くように心がけたいと思います!」
ミツルギ : あ、一応俺らが何かを言おうとしてたのは気付いてはいたんだな。
チャガ : てっきり、ガチで気付いてないのかと……。
ミナト : あはは、見守る感じでいいんじゃない?
イガイガ : まぁ、あのいつ気付くんだってハラハラ感もなかなか癖になるしなぁ。
真実とは何か : それこそ、この配信の楽しみ方である。
咲夜 : 確かにそうだね。あ、そういやサクラちゃん、配信ってどういうペースでやる予定?
「えっと、まだ明確に決めてないんですけど、毎日18時から2時間ずつくらいですかねー?」
大体我が家の晩御飯の時間が8時くらいなので、それくらいでいけるはず? フルダイブ時間の最大時間……3日連続までなら1日10時間まではいけるけど、それをやると1週間は1日6時間までに制限されるしなー。
かといって、毎日6時間ずっと配信をするのも見る方が大変なのは何度かそういうのは見た事あるから、身を持って知ってる。良くて配信は1日2時間くらいが限度とみた!
ミツルギ : それって、サクラちゃんの最大可能なプレイ時間?
「いえ、違いますよー! もっと時間はあるけど、流石に毎日6時間の実況プレイとか長すぎるじゃないですかー? 中継外で、育成とかしとくのはなしですかねー?」
イガイガ : まぁ、それは確かに。
咲夜 : でも、どこで詰まるか分からないしなぁ。そこはぜひとも見たいんだが……。
神奈月 : サクラちゃん、リアルタイムの中継外の時は録画って出来る? 配信機能の大幅アップデートで、一般向けのVR機器でも使えるようになったはず。
ミツルギ : あぁ、あれを使うのか! AIの自動判定によるダイジェスト動画の作成機能!
神奈月 : そう、それ!
んー? ミツルギさんと神奈月さんが言っているのって何か聞き覚えが……あっ! ちょいちょい私も見てる配信者の人たちが、リアルタイム中継が可能になる前にやってたのがそれだー!
私は使い方が分からないけど、ここは兄さんに丸な……お願いをしてみたら何とかなるかもしれない。むしろ動画の本数が増えて広告収入が増えるんだからやらない理由がなーい!
「確約は出来ないけど、それをやってみますねー!」
ミツルギ : あ、そもそもサクラちゃんがその機能をちゃんと扱えるかどうかの問題が……。
イガイガ : あっ……。
咲夜 : あっ……。
神奈月 : しまった、そこが致命的な問題か……!
「皆さん、その反応は失礼じゃないですかねー!?」
確かに私自身では出来る気は欠片もしてないけど、それでもやる前からダメだって判定は早くないですかー!? 一応、これでもやる気はあるんだからね!
ミナト : んー? その辺は大丈夫なんじゃない? こうやって中継機能を使える環境にはなってるんだし、サクラちゃん自身は無理でも身近に出来る人がいるような気がするよ?
ミツルギ : あ、そういやそうか。
イガイガ : ……そうじゃないとここまで辿り着いていない?
咲夜 : それならいけるか?
むむっ? ミナトさん、私の兄さんの存在を察するとは侮れない人! でも、大正解―! ふっふっふ、兄さんの手を借りて何とか解決を……出来るかなぁ……?
うん、土下座でも泣き落としでも、何でもやろうじゃないですか! でそれは後での話だね。
「とりあえずその話は今すぐにはどうにもならないので、育成要素のチュートリアルを進めていきますねー!」
ミツルギ : あ、そういやそうだった。
イガイガ : 脱線が多い配信だなー。
神奈月 : 今回は俺が脱線させた。これについては確認が必要だと思ってたが、流石にすまん。
「いえいえ、配信予定は大事なんで問題ないですよー!」
言われるまでその辺りは全然考えてなかったしねー! 大雑把だけど方針自体は決まったし、そういう意味では神奈月さんが聞いてくれて良かったとこですよ!
「それじゃ育成要素のチュートリアルを始めまーす!」
【開始する】を選択してチュートリアル開始! そういえばキャラの操作には戸惑ったけど、メニューの操作は全然問題ないね? この辺の操作感は他のVRゲームと似たようなものだからかな?
<育成要素のチュートリアルを開始します>
さーて、出したまま放置になってて、チュートリアル開始を確認するメッセージ以外は見てなかったステータス画面をじっくり見ていこう!
<まずは現在のステータスの確認をしましょう>
【ステータス】
名前:サクラ
種族:ライオン
進化階位:幼生体
Lv:3
生命 : 120
屈強 : 22
堅牢 : 12
俊敏 : 22
器用 : 12
知恵 : 12
「おぉ、ステータスですね! 屈強と俊敏が高いのはライオンだからですかねー?」
生命だけは値が大きいから……あ、これがHPに相当しているみたい! なるほど、なるほど、器用とか知恵とかって何に影響するんだろ?
そういえば、この進化階位ってのもなんだろうね? 進化していくゲームなんだし、今の進化した段階を表してるのかな?
ミツルギ : ライオンは近接物理に育ちやすいから、そこら辺が元から高くはなってるぞ。
金金金 : オンライン版とはステータス構成が違うのか。
イガイガ : サクラちゃん、それぞれのステータスの横にハテナマークあるだろ。それで内容が分かるぞ。
「あ、はい! 確認していきます!」
ここまで表示させたんだし、チュートリアルでも読むように矢印が指し示しているから、今回はちゃんと確認していかないとねー!
「それじゃまずは進化階位からー! 『現在の進化の段階を示す』って随分と説明が簡潔ですねー!?」
ミナト : まぁそこは全部公開しちゃうと先々の楽しみが減っちゃうからねー。1ルートクリアすれば進化階位は全て分かるから、そこまでの我慢だよー。
「あ、この進化階位を最後まで上げるのがクリア条件って事ですね!」
なるほど、なるほど。少しネタバレになったような気もするけど、ここが目的の達成に関わる重要な項目であるという事は分かってた方がいいよね! 何段階あるのかは伏せてくれてたし、初見プレイとしては支障がない範囲なのさー!
「次々行きましょう! 『生命』は『その身を保持し続ける事が可能な力の総量』ってなってますね。これ、要はHPって認識で問題ないですよねー?」
ミツルギ : おう、その認識で問題ないぞ。その数値が無くなれば、今の段階では既に経験済みの同じエリアでのランダムでの復活になるからな。
今の段階かー。そういう言い方をするって事は、そうはならない段階もあるって事だろうねー。皆さん、どさくさに紛れて情報を放り込んでません!?
あー、でもそういう情報なら完全に伏せてっていうのも難しいかも? そもそも復活ポイントの設定とか、他のゲームでも普通にあるもんね。
うん、気にしないでいいやー。それじゃ残りの項目も次々と見ていこうー!
「『屈強』は『近接攻撃のダメージ量に影響』、『堅牢』は『ダメージ量の軽減に影響』、『俊敏』は『攻撃速度、回避速度、移動速度に影響』、『器用』は『遠距離攻撃のダメージ量に影響』、『知恵』は『状態異常の成功確率と耐性に影響』ですかー! これだとライオンは近接攻撃と色々な速度に優れてるんですね!」
イガイガ : よし、これでステータスの項目の把握は完了だな。
咲夜 : 次は育成方法だな。
ミツルギ : ここまで、長かった……。
チャガ : いや、ここからがスタートみたいなもんだろ?
ミナト : 無粋な事は言いっこなしだよー! さぁ、ここから醍醐味の1つの育成のお時間だー!
「そうですねー! それじゃ、チュートリアルを進めていきますよー!」
ステータスの項目を全部確認し終えたら、次のチュートリアル項目に進めるようになったからねー!
あ、そっか、私は育成を全然してなかったから、あのゾウにボロ負けしたんだね! うん、アクションRPGなんだから、育成要素も大事なのは当然なのですよ! なんでそこを見落とすかなー?
「あはははははー!」
「あー、サクラ? いきなり笑ってから誤魔化そうとしなくても――」
「いひひひひひひひー!」
「何、その奇妙な笑い方?」
「うふふふふ」
「おーい、サクラー? 柔らかい笑みを浮かべるのはいいけど会話する気はありますかー?」
「えへへ?」
「そこで小首を傾げて疑問系な笑い方!?」
「オーホッホッホ!」
「……何故、高笑い? あー、サクラは喋る気がないようなので次回からはもう出番――」
「ちょっと待ってください! 喋らないとは言ってないです!」
「さっきの反応で?」
「言い訳をさせて下さい!」
「……一応聞こうか」
「ただやってみたかっただけなんです!」
「えー、次回からはサクラに代わり、サクラの兄が――」
「作者さん、それは待って下さい!?」
「まぁ今のは流石に冗談だけど、はい、これ」
「今の流れで渡されたカンペって恐怖を感じるんですが、拒否権はないですよね!? 今、サラッと書いてましたもんね!?」
「分かってるなら、はい、どうぞ」
「うぅ、余計な事をするんじゃなかったー!? えぇい、覚悟を決めて読みますよー! 『サクラの色んな笑い方がなによりも可愛いと思ったらブックマークや評価をお願いします』! あれ? こんなんで良いんです?」
「……うん、皮肉が通じると思ったのが間違いか。えー、次回は『第13話 育成システムの確認 後編』です。お楽しみに!」
「え、これって皮肉だったんですか!?」