第10話 操作に慣れながら
移動の仕方や攻撃の仕方が分かったので、悠々と狩りの開始なのさー! 少し離れたところにシマウマの群れを発見したから、そこに突撃だー!
「えいや! とう! がおー!」
ふっふっふ、シマウマを2匹ほど仕留めたね! なんとなくだけどライオンの操作感は掴めてきたよ! 攻撃しようという念を込めて走っていけば大体どうにかなりそう!
チャガ : えーと、『えいや』と言いつつ飛びかかって噛みつき、『がおー』と言いつつ爪を振り下ろしてる件について。
ミツルギ : なんだ? ちゃんと攻撃は出来てるじゃないか。
イガイガ : そうそう、空振りで全然当たらない事も想定してたけど、当たってるじゃん。
咲夜 : 言葉と動きが一致してないのくらいは問題ないって。
チャガ : なんかプレイ精度の認定が異常に低くねぇ!?
神奈月 : え、そうか?
真実とは何か : 真実を知らねば、見えないものもあるものだ。
ミナト : 開始30分で何があったの……? 後でアーカイブで見よっと。
チャガ : ……その方が良さそうだな。あー、アーカイブは残すよな?
「あ、はい! 残す予定ですよー!」
アーカイブはアーカイブで、広告収入は入るらしいからねー! 閲覧数が増えなきゃ現実的な金額にはならないらしいけど、そもそもやらなきゃ0円なのだ! こういう事はやらなきゃ損だよねー!
うふふ、それに既に今日だけで5000円にはなっている! モンエボが7000円だったから、半分以上は元を取ったのですよ! 旧作だから少し安くはなってるけど、新作だと1本1万円以上とかするもんねー。お高いのですよ、VRゲーム。
「くったばれー!」
<サクラ【ライオン】が幼生体:Lv3に上がりました>
<基礎ステータスが上昇します>
<進化ポイントを1獲得しました>
よーし、これで逃げ出していたシマウマの逃げ残りを撃破ー! そしてLvも3に上がったのです! っていうか、幼生体ってなーに? 進化ポイントはあれだよね、種族のアンロックに使うやつ。
まぁそれはいいとして、雑魚だ、シマウマなどライオンである私には雑魚でしかない! 倒れ伏して消えゆくがいい、シマウマめ!
「とりあえずシマウマの群れは散っちゃったので、次の敵を探しに探索開始ー!」
さーて、思ったよりもサクサクとLvが上がっていきそうだから、詰まるまで一気にやっていこー! 脱線しまくって私の華麗な戦闘場面は見せられなかったし、メニューを開いてチェックとかは後でまとめてやるのですよ!
チャガ : よし、アーカイブは後で見るとして……なぁ、すっげぇ言いたい事があるんだが、教えるのは無しか?
ミツルギ : 無しだな。
イガイガ : 何を指し示しているのかは分かってるが、なしだ。
咲夜 : まぁなしだよな。
神奈月 : ネタバレ無しでって言われてるしね。
チャガ : ……マジか。まぁ後から来てとやかく言うのも無粋か。
ミナト : 確かにそれはそうだよねー。
「あのー、皆さんは何の話をしてるんです?」
どうもさっきチャガさんが攻撃動作と声が合ってないという事を言ってたのとは違うような内容な気はするけど、言えばネタバレになる要素みたい?
というか、掛け声と動作が合ってないのは自覚あるんだけど、どうすればいいのかわかんないー!?
うーん、攻撃のイメージが変なのかな……? はっ! もう少し具体的にイメージをしてみれば良いのかも!? ふっふっふ、それに気付くとはもしかして私は天才か!
「おぉ、ゾウを発見です! うわー、迫力あるなー! すっごいなー! いいなー、大自然!」
ゾウとか、動物園か他のゲームで出てくる敵で見るかくらいしかないから、こういう大自然の中で歩いている自然のままのゾウってなんか新鮮!
これ、ライオンをちゃんと動かせたら疾走感とか新鮮で爽快だし、サファリパークとかが好きな人にもかなり向いてるんじゃない?
ミツルギ : ん? このテンション……サクラちゃんって、もしかしてサファリ系プレイヤーの素質ありか?
イガイガ : あー、確かにそんな感じはする。
ミナト : おいで、おいで。サファリ系の楽しみ方は楽しいぞー!
咲夜 : あ、ここに既にサファリ系プレイヤーがいた。
神奈月 : まぁ、普通に結構いるっぽいし、そりゃいても不思議じゃない。
「ん? 皆さんの言ってるサファリ系プレイヤーってなんです?」
なんとなく言葉のイメージ的には予想は出来るんだけど、さっき私が思ってた事はそれ程外れてはなかったのかな?
ミナト : 説明しよう! サファリ系プレイヤーとは、モンエボにおいて景色や登場する動植物をメインに楽しむプレイヤーの事なのですよ!
チャガ : まぁ普通に戦闘を楽しむのと両立してる奴も多いけど、下手でも戦闘そっちのけで楽しむプレイヤーの俗称だな。
「そんな感じでも楽しめるんだ!? それでサファリ系プレイヤーなんですね!」
そっか、そっか。そういう楽しみ方も出来るんだー! そうだよね、今私がライオンになって立ってるこの草原でも色んな動物がいて大迫力だし、ぶっちゃけ適当な操作でも倒せてますしね! このまま強い敵が出てきて進めなくなるなんて事が無ければ……。
「あのー、ちょっと質問いいですか? あ、出来るだけネタバレ回避の範囲でですけど」
イガイガ : おら、出番だぞ、チュートリアル・ミツルギ!
ミツルギ : その言い方はやめい! えーと、とりあえずネタバレ云々は質問の内容次第だから、まずは内容を聞かせてくれるか?
ミナト : と言いつつ、普通に答えるミツルギさんなのであった。
神奈月 : まぁ確かに。
ミツルギ : 俺はおもちゃじゃないからなー!? なんで後からきたミナトさんが普通に俺を弄ってくるの!?
ミナト : え、そういう立ち位置なのかなーと、これまでの流れから把握しましたけど。
ミツルギ : うぐっ、否定材料が見つからない! えぇい、サクラちゃん、質問を早く!
あ、ミツルギさん、勢いで誤魔化しに入りましたね! その気持ち、分かりますとも! でも、他の皆さんがからかいたくなる理由も分かってしまうから、ここで即座に質問をしてしまうのは台無しにしてしまうような気が!?
これ、私はどうするのが正解!? 面白い配信にするには、私が取るべき道はどっち!?
金金金 : なんか狐っ娘アバターが悩ましい顔をしてるな。
イガイガ : 良かったな、ミツルギ。お前の事で悩んでくれてるぞ。
ミツルギ : どういう悩み方をしてるか、そこが問題だけどな! おーい、サクラちゃん……俺、見るのやめていい?
っ!? そ、それは、それだけはー!? でも、私にそれを引き止める権利はないし、ミツルギさんがもう見ていられないと言うのであれば……それは仕方のない事。
うぅ、だからって面と向かってそんな事を堂々と言わないでもいいじゃないですかー!? ミツルギさんは良い人だって思ったのに、そんな……。うわーん!
咲夜 : あ、ズルい。
神奈月 : それは卑怯だ。
金金金 : あ、今にも泣き出しそう。
ミナト : あーあ、女の子を泣かせちゃってさー。
イガイガ : 見るのをやめるのは自由だが、それを本人に配信で直接言うのは違うんじゃねぇの?
ミツルギ : ちょ、待っ!? そんなに劇的な反応が返ってくるとは思って……いや、今のは全面的に俺が悪かった。言っていい事と悪い事の判断を間違った。すまない。本当に俺が不快になってたら、ブロックでもしてくれ……。
え、ミツルギさんをブロック? いえいえ、謝ってくれたのであれば問題はないのですよ。……今のはちょっと本気で傷付きかけたけど。
「……それじゃあ、これからも質問に答えてくれたら許します」
ミツルギ : あぁ、それくらいならいくらでも!
イガイガ : こうしてチュートリアル・ミツルギはアドバイザー・ミツルギへと進化した。
神奈月 : ゲーム内より先にコメント欄で進化が発生した!?
咲夜 : アドバイザー・ミツルギ、頑張れ!
ミツルギ : あーもう、それでいいよ! で、大真面目に質問ってなんだ?
ふふっ、なんだかミツルギさんとは今後も色々とありそうな気がするね。あれ、そういえば何を聞こうとしてたんだっけ? あ、そうだ! これを聞こうと思ったんだった!
「このゲームって難易度選択ってあるんですか?」
ミツルギ : え、ここで出てくる質問がそれ!? 他の内容を色々考えてたんだけど!? いや、サファリ系プレイヤーの話からの疑問か? あー、難易度設定はあるにはあるけど、サクラちゃんはまだ出来ないぞ。
「え、どういう事です?」
難易度設定はあるけど、私にはまだ設定出来ない? それって難易度を選択するのには何か条件が必要って事かな?
ミツルギ : ゲームを始めてから、最初に選んだ種族は何を選んでも自動的にイージーモードになるんだよ。
イガイガ : 2つ目の種族からは難易度が選べるようにはなるけどな。
咲夜 : 難易度としてはイージー、ノーマル、ハードの3段階になってるぞ。
ミナト : 戦闘に自信のないサファリ系プレイヤーだと全部イージーって人もいるねー。
神奈月 : 逆にハードでも物足りないって奴には、有料DLにはなるが難易度ヘルってのもあるぜ。
ミツルギ : 具体的な違いの説明はいるか?
「へぇ、そうなんですね! んー、今は選択出来ないなら、違いについてはまだいらないです!」
ミツルギ : ほいよっと。
どっちにしてもライオンをクリアしてからでないと意味がないのであれば、聞くだけ無意味なのですよ!
それにしても有料DLがあるのは知らなかったけど、高難易度が有料販売になってるんだー! ふっふっふ、これは値段次第だけど、難易度ヘルにそのうち挑戦というのもありかもしれないね!
私なら、最高難易度でもクリアできるさー! 多分、頑張れば、きっと、そのうち、うん、やっぱり最高難易度は無理かなー?
「サクラ、難易度については詳細は聞かないでいいの?」
「え、今の段階で聞く必要ってあります? 聞いても結局、当分はイージーしか出来ないんですよね」
「……まぁそりゃそうだけど」
「なら問題ないですね!」
「なんか変なところで思い切りが良いよね、サクラ」
「気にしてもどうにもならない事は、気にしないに限るのです!」
「……気にし過ぎも問題だけど、気にしなさ過ぎもどうなんだ?」
「作者さん、それは気にし過ぎってもんですよー!」
「……まぁいいか。それじゃいつもの、はいこれ」
「今回はカンペありですねー! とりあえず中身を……って、これは何ですかー!? 悪意がある気がするのは気のせいですかー!?」
「それは気にし過ぎじゃない? ほら、よろしく」
「さっきの会話が仇になった気がするー!? うぅー、読みますよ! 『以前、自身の事をしっかり者だと大嘘を言ったサクラが可憐で可愛らしいポンコツだと思う方はブックマークや評価をお願いします』はい、読みましたよ! 作者さん、地味に根に持ってません!?」
「さて、次回は『第11話 ゾウとの戦い』です。お楽しみに!」
「やっぱり根に持ってますよねー!?」