第六十一話
バラドの案内によって【なんでも屋】へと足を踏み入れる。
その瞬間、別世界に来たかのように騒がしかった音が消えた。おそらく防音系の魔法がかけられているだろう店内に、この店は人に聞かれたくないことも請け負う気があることを理解する。
「…………今更だが、ここは誰の紹介だ?」
「父上の紹介です。学生時代アラン様と共によく世話になったと申しておりました」
「モルドか」
そこかしこから漂う魔力の気配とテント内にかけられた穏やかではない魔法に、小さい声で紹介者を問う。バラドが俺に勧めるのだから安全な店であることは確かだが、どうにも胡散臭いといか、一筋縄ではいかない予感がした。
ただならぬ店の雰囲気とモルドと父上がよく使っていたという言葉に、俺は改めて気を引き締める。
まぁ、これが学園商店街の醍醐味ではあるけどな。
久しぶりの当たりというか、癖のある店主を想像させる店の雰囲気に気合を入れ直して店内を観察する。簡易のテーブルの置かれたテント内にはこれまた簡易な木製のテーブルとイスが置いてあり、テーブルの奥には仕切り布がかけられている。おそらくあの布の奥には店主達の控え室があるのだろう。
そして机と椅子以外に唯一店内に置かれている木板には【料金表】と彫られており、その下にはおおよその料金が書かれていた。
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【料金表】
・失せもの探し:銀貨2枚
・お部屋の清掃:銀貨1枚
・話し相手(1時間):金貨1枚
・魔道具の修理:銅貨5枚
・武器類の修繕:銅貨1枚~銀貨5枚
例)研ぎ直し ペティナイフ:銅貨1枚、短剣:銅貨5枚、ロングソード:銀貨1枚
その他なんでもご相談下さい。お客様のご要望に沿ったサービスを提供させていただきます。上限金は金貨5枚。それ以上はいただきません!
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大体硬貨の価値は銅貨100円、銀貨1000円、金貨1万円。硬貨のサイズは中、大、小となっており、大体銅貨が100円玉サイズ、銀貨が500円玉サイズ、金貨が1円玉サイズくらいである。
料金表を見る限りこの【なんでも屋】は良心的というか店主の暇つぶし感を感じる低価格である。
でも、話し相手になるのは嫌なんだな。
なんとなく店主の人間性が垣間見える料金表に不安を覚える。
店の上限金が金貨5枚であり、本来なら最低額が金貨であるはずの魔道具の修理が銅貨5枚であるのに対して1時間話し相手になってもらうと金貨1枚とはこれいかに。
いや、確かにこの手の所でお金を払ってでも話し相手を求めている時点で、依頼人が面倒な人物であることは予測できる。そうでなくてもいい大人が十五~十八歳の青臭い話を聞くのは苦痛だと思われるので、そういった精神的疲労込での料金だと思えば許容範囲かもしれない。
「――――お待たせいたしました。本日はどういったご用件でしょうか?」
店内の限られた情報から店主の人物像を思い浮かべていると、涼やかな声で出迎えられる。結構な時間待たせ仕切り布の奥から出てきた店主の年の頃は六十台後半、長く伸ばされた藍色の髪と白群の瞳が知的な印象を与え、浮かべる表情はまるで孫を見るかのように優しい。
「どうぞこちらへお座りくださいな」
「――――申し遅れました。私はアギニス家長子、ドイル・フォン・アギニスと申します。こちらは私の従者、バラドです。以後、お見知りおきください」
「ご紹介に上がりました、バラド・ローブです」
「――――――丁寧な挨拶をありがとうございます。私めのことはどうぞセリルとお呼びください。さぁ、遠慮なさらずにどうぞ、可愛いお客様方」
何処か懐かしさを感じる店主の容貌に既視感を感じ一瞬思考が止まる。この人何処かで見たような? と見覚えのある店主の顔に己の記憶を探る。
思い出せそうで思い出せない記憶に気を取られている間に、穏やかな声と流れるような上品な仕草で着席を勧められ思わず従いそうになったが、寸前のところで足を止め拝礼する。
俺が床に足をついた途端品定めするようにスッと細められた目に、危なかったと思いながら口上を述べ拝礼して立ち上がる。公爵家の人間としてへりくだり過ぎてもいけないが、かといって礼を欠くような適当な挨拶では不味いので最上級の礼拝で相手の許可なく立ち上がるくらいが丁度良いだろう。
そうして返された偽名と思われる店主の名と再度勧められた席に、今度は素直に従いバラドと共に着席する。勿論、俺が着席した後店主の許可を取ってからバラドに座る許可を与えるという一連の動作も忘れずに行う。
そんな俺達の姿を見て、ふんわりと笑みを深めたセリルと名乗った店主に俺は心の中でほっと息を吐いた。
合格点は貰えたようだな。
和やかに見せながら、しっかりと俺を値踏みしていた店主にそんなことを思う。おそらくあのままでも依頼は受けて貰えただろうが、二回目の入店は断られていたに違いない。
「それではアギニス様。さっそくですが本日のご用件をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「未だ修行中の身ですのでどうぞドイルとお呼び下さい、セリル様」
「かしこまりました、ドイル様。ドイル様もどうぞ私めのことはセリルと呼び捨ててくださってかまいませんよ?」
「いえ、私のような若輩者がセリル様を呼び捨てるなど出来かねますので」
「そんなにかしこまらずと結構ですのに。まぁ、ドイル様はお客様ですからお好きにお呼びくださいませ」
「そうさせていただきます、セリル様」
ふふふ、はははと笑みを浮かべながら互いに白々しい会話を交わす。呼び捨ててもいいなどとは微塵も思っていないだろう目の前の老人は、穏やか口調と涼やかな見た目に反して腹の中は真っ黒な狸爺であることが伺える。
現に俺が呼べないと断ったあと、さも当然ように俺の申し出を否定せずに敢えて好きに呼べと言った。その上わざとらしい家名呼び。あれもきっとそのまま甘んじていたら、家名に頼る子供のレッテルを張られていただろう。
「それで、ご用件は」
「――――本日はこれの修繕をお願いしたく思いお伺いした次第です」
喰えない爺だと思いながら、これ以上の無駄話は避けて本題に入る。
店主に一言断りを入れて亜空間から件の槍が包まれた茶色い袋を取りだし、紐を解く。そしてふわりと広がった布の中から見える緑色の破片達を示しながら、簡潔に要望を伝えた。
「元は三段階にわかれる組立式の槍です。先日の合宿でこの通り破損してしまいまして。思い出の品なので、見た目だけでも直ったように見えればと思いこちらにお持ちしました。――――お願いできますか?」
店の雰囲気とこちらを値踏みする視線、そして肌に感じる店主の魔力が目の前の人が只者ではないことを物語っていた。さらに一目見た時に感じた既視感と、なんだか聞き覚えのあるセリルという偽名に正直、背汗がだらだらなのだがあくまでも客という態度を崩さずに対応する。
そんな俺を一瞥して笑みを深めながら、セリル様は興味深そうに差し出した槍の破片一つ一つを持ち上げ検分している。
「素材を見る限り相当上質な槍ですね。素材の強度も高い。それがこんなにも粉々になるなんて、魔王とでも戦いましたか」
答えを知っていてなお、疑問符のつかない問いかけをわざわざしてくるあたりこの人の部下達は大層苦労しているのだろうなと思う。
「ええ。マーナガルムから俺の腕を守った結果ですので」
思い浮かべてしまった人に、間違いであって欲しいと願いながら俺はゆっくりと頷く。
そして沈痛な表情を作り僅かに俯きながら、【風の囁き】で布の向こう側の会話を盗み聞きする。この程度の距離ならば【気配察知】使わずとも布の向こう側に数人潜んでいるのが分かっていた。勿論、俺が奥の人間の気配に気が付いているのは、目の前の老人も承知しているはずだ。
きっと仕切り布の向こう側にいる彼らが、半分以上解りかけているセリル様の正体を俺に教えてくれるはず、と考えそっと【風の囁き】を発動させる。
俺が【風の囁き】を使うと同時に、ふわっと動いた風の精霊の気配にセリル様が俺に視線を向ける。しかし沈痛な表情を浮かべている俺から魔力を使った気配が感じ取れなかったのか、隣に座るバラドへと視線を動かす。そしてバラドからも魔力の気配がしなかった為、気にしないことにしたのか再び槍の破片に視線を落とした。
やっぱり便利だな。
己の魔力を使わない【風の囁き】の有用性を改めて実感しながら、風の精霊達が届けてくれる会話に集中する。勿論、表情は極力変えず俯いたままである。
『やっぱり、噂は本当だったんだな』
『ってことは、あの氷魔法はあの子供が?』
『回収にいらしていたセルリー様も感心してたって聞いたけど』
『そんなことよりも、【なんでも屋】はあたし達新人の仕事なのにこんなところにいて怒られません? 抜き打ち視察だって言ってましたけど……』
『大丈夫だろ? セルリー様が代われっていったんだし』
『そうそう。魔術師長様の御命令だぞ? 今年入隊した俺達には何もいえねぇよ。あの人怖ぇし』
『ですよねー』
そこまで聞いて俺は【風の囁き】の発動を止める。知りたかったが聞きたくなかった、ある意味予想通りの名前に一気に手汗が滲むのを感じた。
「見た目でだけでよろしいのですか? お時間いただければ実践でも使えるように直せますが」
「えっ、本当ですか!?」
「勿論。私めは【なんでも屋】でございますから。時間はいただきますが、通常の修繕費で承りますよ」
「是非、お願いします!」
「お任せください、ドイル様」
ドキドキと悪い意味で高鳴る心臓を誤魔化すように、努めて明るく振る舞う。そして「では契約書をお持ちいたしますね」と流れる動作で布の向こう側に消えた、セルリー・フォン・テルモス王国魔術師長様の背を見送り、俺は今まで浮かべていた表情全てを消して己の目を手で覆った。
どおりで見たことあるはずだよ!
何故、四英傑の一人がこんなところに!? と心の中で絶叫しながら己の眉間を揉み解す。十年近く前に一度お会いしただけだったのでなかなか気が付かなかったが、あの人は確かにこの国の魔術師達の頂点に立つ方だ。お爺様と親しげに話しているのを王城内で見たことがある。
盗み聞きした内容から察するに、マーナガルムを回収する為に来たらしいが、それから何がどうなってなんでも屋の店主をしているというのか。
あれか。マーナガルムの回収に来たついでに魔術師団の新人にやらせているなんでも屋を視察してみるかとか思い至っちゃってこの店に足を踏み入れた所、たまたま俺が訪ねてきたもんだから、いっちょ相手してやるかとでも思ったのか。そんでそれは流石にと渋る新人を説き伏せていたから、俺とバラドが足を踏み入れてから店主が出てくるまで時間がかかったのか。
どんな確率だよ!
予測でしかないが様々な偶然が重なりこのような状況になったと思われる現状を、心の中で嘆く。偶にそうそうたる面々が、学生達を品定めする為に顔を出していると噂の学園商店街であるが、限度というものがあるのではなかろうか。というか、四英傑の一人がこんなところで油を売っていていいのか? 国的に大丈夫なのか?
「お待たせいたしました、ドイル様。今回は槍の補修ということで、こちらが契約書でございます」
「…………ありがとうございます」
お爺様と並ぶ四英傑に様付で呼ばれ値踏みされるなど、何の罰ゲームなのだろうかと思いながら契約書を受け取る。契約書には槍の修繕とそれに関する注意事項、受付日として本日の日付と担当者【セリル】と記入されており、金額と俺の署名の欄だけが空白だった。
肝心なところが空欄になっている契約書に顔を上げれば、魔術師長様は悪戯を思いついた子供のような表情で口を開く。
「金額は空欄にしておきましたので、ドイル様のお好きな金額をお書き下さい」
「…………私が決めるのですか?」
「ええ。ドイル様が魔王を討伐されたというお噂は、耳の早い者ならば仕入れていますからね。国の災害となりうる魔王を討伐してくださったドイル様への、私めからの感謝の気持ちでございます。勿論、無料でお受けしてもかまいませんよ?」
魔術師長の言葉に「流石ドイル様!」と喜ぶバラドの声を聞きながら、俺は照れた振りをしてとっさに口元を手で隠す。魔術師長の意地の悪過ぎる申し出に、頬が引きつるのを我慢できなかったからだ。
せ、性格悪っ!
穏やかな笑みを浮かべて手を揉みながら俺が幾らと記入するか待っている魔術師長は本当に意地が悪い。
おそらくこれは踏み絵だ。俺が一人でマーナガルムを討伐したことを前提に、俺が驕る人間かそうでないか、また一般的な物の価値も分からない世間知らずかそうでないかを試されている。ここで俺が言葉に甘えて無料もしくは安い金額を記入しようなら、ただちにこの魔術師長は俺を見限るだろう。
グレイ様の側に居場所をつくりたい俺にとって、四英傑の一人に見限られるというのは大変な痛手である。ここは認めてもらうまではいかずとも、合格点が欲しい。
――――となれば、幾らが妥当か。
金額と書かれた文字の横の空欄を眺めながら、俺は入店時に見た料金板を思い出す。あそこに書かれていた武器類の修繕費用は通常の武器店の半額だった。学園商店街ということもあり、あの値段なのだろう。魔道具の修理が格安だったのは、ここを経営しているのが新人とはいえ国の抱える魔術師達だからだ。
おそらく、通常の武器店で槍を修理に出した場合かかる費用は金貨6~8枚。勿論、この槍の状況では直らない可能性の方が高く、直った場合間違い無く追加料金を取られるだろう。ただし、先ほどセルリー様はこの槍の修繕を通常価格で請け負うと明言している。あの口調からして追加料金を取る気は無いのだろう。
そしてここが学園商店街であることを踏まえれば、今回の適正金額は半額の金貨3~4枚。しかし目の前の人物が魔術師長ということを加味するのならば倍の金貨を出すべきか…………。
「思うがままの金額を記入していただければ結構ですよ?」
そう語りかける優しげな声が悪魔の囁きに聞こえる。思い出の槍の修理を頼みに来ただけなのに、何故四英傑に人柄を試されているのか甚だ疑問だ。折角の休日だというのにバラドの強かな部分を垣間見るわ、女生徒に追い掛け回されるわ、四英傑に会うわ踏んだり蹴ったりである。
ちらりと前を見れば、俺の答えを待つ魔術師長の姿が嫌でも目に入る。不意に訪れた試練にギブアップしたくなるが、そんなことできる訳がなく。同時にいつまでもこうしている訳にはいかないので、俺は覚悟決めて金額を記入した。
「――――へぇ」
「ドイル様!?」
書いた金額を覗き込んだ魔術師長は思わずといった様子で声を漏らし、バラドは慌てたように俺の名を呼んだ。そのまま署名を終えた俺はそんな二人を無視して亜空間から財布を取りだし、金貨5枚と共に魔術師長に契約書を差し出す。
「これでお願いいたします。セルリー・フォン・テルモス王国魔術師長様」
「「「「えっ!?」」」」
そう告げて椅子から立ち上がり拝礼すれば、隣のバラドだけでなく仕切り布の向こう側からも声が上がる。同時に布の向こう側からはガタガタとした物音と男女の悲鳴が聞こえたが、俺は気にせず魔術師長と視線を交わす。
俺の言葉に一瞬白群色の瞳を丸くした魔術師長は、感心したように目を細めて笑った。
「して、その心は?」
「…………おそらく一般的な武器屋槍の修繕を頼むと依頼費用は金貨6~8枚。この槍の状況では修理不可能の判定で返ってくるでしょうし、もし直せたとしても追加料金を取られます。しかしセルリー様は先ほど、この槍の直しを通常の修繕費で受けて下さると仰いました。また、そちらの料金板を拝見する限りこの店の料金は通常の武器店の半額です。ですから、本来の請求額は金貨3~4枚と考えるのが妥当でしょう」
「ふむ。まぁ、悪くはない読みですねぇ。しかしそうなるとあなたの書いた金貨5枚では多い」
「はい。ですから多い分は魔術師長様との縁繋ぎ料とでも思っていただければ。四英傑に数えられるセルリー様との縁繋ぎにはいささか安過ぎる金額ですが――――、」
「が、なんです?」
「この店の上限金額は金貨5枚。それ以上は受け取らないと明記してある以上、これ以上の金額の提示は無意味かと」
バクバクと鳴る心音に気が付かれませんように、と祈りながら冷静な振りをして跪き料金板を示す。正しい答えは分からないが、もし、この問いかけに逃げ道があるとしたら料金板に書かれていたあの言葉だけだろう。
これで駄目ならもう知らん! と少し投げやりな気分で頭を垂れれば、俺の動きを追っていたかのようにふわりと優しく頭を撫でられて思わず顔を上げる。
「合格、ですよ。ドイル・フォン・アギニス君。君は賢い子ですねぇ。野生の勘で生きているゼノとは大違いです」
にっこりと音が聞こえそうなほど深く笑ったセルリー様に「さぁ、椅子に戻りなさい」と促された俺は、ゆっくりと立ち上がり椅子に掛け直す。
「ニーウ、ノウム、ネオン! 出てきなさい!」
「「「はっ!」」」
俺とセルリー様を見て固まっていたバラドが慌てて立ち上がろうとしたのを制し、俺と共に座らせるとパンパンと手を叩きながら奥に隠れていた人達を呼ぶ。
「今年から王国魔術師団に配属されました、ニーウ・フォン・プディヤです!」
「同じく、ノウム・フォン・ナジャスです!」
「同じく、ネオン・フリッスです!」
「誰かお茶を」
「私がご用意いたします!」
ガタガタと痛そうな音を立てながら奥の仕切り布の中から出てきた三人は、セルリー様の斜め後ろに並ぶとザッと敬礼した。そして簡易な自己紹介を終えると、ネオン・フリッスと名乗った赤毛に青い目をした女性がセルリー様の命を受け、お茶を汲みに仕切り布の中に消えて行った。
「ドイル君のことは分かるでしょうから、自己紹介は必要ありませんよ」
「御意に」
一糸乱れぬ動きを見せた三人に圧倒されながらもニーウと呼ばれたベージュの髪に焦げ茶の目を持つ軽薄そうな人と、ノウムと呼ばれた緑の髪に濃紺の目をした真面目そうな青年がその場に残っていたので自己紹介をしようと思い腰を浮かせたのだが、セルリー様に制止され座り直す。
合格と告げられたものの、この状況をどう対処したらよいのかわからず視線を泳がす。その途中、セルリー様と目が合うと笑いかけられた。
「それでは改めまして。私達王国魔術師団が経営する【なんでも屋】へ、ようこそ。可愛らしい賢人様」
どうぞ、御贔屓に。
地位も名誉も実力もお爺様に匹敵する四英傑の一人の癖に、新しい玩具を与えられた幼子のように笑った魔術師長様と、ご機嫌そうなセルリー様を見て可哀想なモノを見る目で俺を見た新人魔術師達に、「……厄日だ」と思った俺はきっと悪くないだろう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。