幕間四 ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターという男。
「(凄い……)」
私、イーナ・ズザネ・ヒレンブラントは、ただ驚いていた。
自分と親友である同じ年の幼馴染を救った、狼からの攻撃を防ぐため瞬時に形成された土壁と、狡猾な獣達を絶命させた魔法の矢の乱射にだ。
槍術修行の傍らで鍛えさせられた動体視力により、二本ほど普通の矢も飛んで来て、二匹の狼を絶命させているのも掴んではいる。
だが、普通に考えれば凄いこの弓術でさえ、その魔法の前には霞んでしまう。
才能の関係で、魔法使いの数は極端に少ない。
更にその中でも、凄いと思わせる魔法使いともなると希少だ。
実際、我がブライヒブルク領で雇われている魔法使いの中で今の魔法に匹敵する物を使える人物は、筆頭お抱え魔法使いであるブランターク様だけであろう。
しかも彼は、三十年以上も一流の冒険者としてその身を馳せ、過去には竜まで討って王国から受勲をされた身でもある。
そんな彼に匹敵する魔法を使う者とは、一体何者なのであろうか?
そう思い、魔法を放った主の確認をする。
すると、そこには共に入学した冒険者予備校の同級生の姿があった。
魔法の主は、同年齢の同級生であるヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターだったのだ。
「(まさか、ここまでの実力とは……)」
冒険者予備校に入学する際に、ある一つの噂が流れていた。
私と実家の主君であるブライヒブルク辺境伯家の寄り子で、『山脈超えの、貧乏騎士家』と噂されているバウマイスター家の八男が、魔法を披露して特待生試験に合格したと言うのだ。
ただの入学ならともかく、魔法で特待生試験に受かるのは難しい。
なぜなら、いくら魔法で貴重でも、火種やコップ一杯の水を出せるだけで特待生になれるほど世間は甘くないからだ。
その程度の魔法が魔物討伐の役に立つはずもなく、そういう人は諦めて剣や弓などで特待生試験に挑戦する事が多かった。
そんな情況で、ヴェンデリン・フォン・ベンノ・バウマイスターは純粋に魔法の才能だけで特待生試験に受かった。
当然、ブライヒレーダー辺境伯様の耳にも情報は届いているはずだ。
私でも、家族からその噂は聞いているのだから。
未成年なのに最低でも中級の魔法が使えるのだから、将来に向けて唾を付けておくのは当然とも言える。
そのくらい出来なければ、大物貴族としては失格と言われても仕方が無いのだから。
ただ、この点に関しては当代のブライヒレーダー辺境伯様は優れていた。
彼は、私が生まれたばかりの頃にブライヒレーダー辺境伯家の当主に就任している。
いまだに、家内でも古参の人達が話のネタにする痛恨の失敗。
魔の森遠征の失敗で戦死した先代の跡を二十歳前に継ぎ、他の領域を統括する大物貴族や、周辺の昔から仲の悪い寄り子達からの嫌がらせや干渉に耐えつつも領内の統治に腐心し、先代よりも優秀であるという評価を受けているのだから。
それと、魔の森遠征失敗の件であったが、原因がバウマイスター家側からの要請に従ったためなどと言う表向きの原因を信じている人は少ない。
先代が戦死し、他の軍幹部達や軍勢もほほ全滅という第一報が入った時、その報告を聞いて血を吐いた人間がいた。
現在のブライヒレーダー辺境伯の兄であった、長男ダニエル様その人である。
天才的な頭脳を持ち、先代に可愛がられていた彼は不治の病に犯されていたそうだ。
もう既に病が大分進行していた彼は、その報告を聞くと、『ブライヒレーダー辺境伯家には、アマデウスがいるから何も問題は無いのに! 父上は、愚か者だ!』と叫び、そのまま急死してしまったそうだ。
まさに、憤死と呼ぶに相応しい死に様であろう。
そして、そんな彼の病に効くとされたのが、魔の森に住んでいる可能性がある古代竜の血から造る霊薬であった。
と、ここまで書けばもう後は誰にでもわかるシナリオとなる。
先代は、不治の病にかかった長男を救うために無謀な遠征を行い、寄り親の立場からバウマイスター家に援軍を要請した。
この場合、強制したと言っても過言ではないであろう。
そして、見事に失敗。
この戦争の無い時代に、国軍ではなく諸侯軍とはいえ二千人近い戦死者は、さぞかし王宮や貴族達の噂になったであろう。
しかも、その戦死者の中には当主までもが含まれていたのだから。
当然、大物貴族のプライドとして、余計な事実はなるべく隠蔽しようとする。
この遠征は、バウマイスター家からの要請をブライヒレーダー辺境伯が受けたのだが、魔の森に潜む魔物の戦力の算定を誤り、そのせいで多大な犠牲が出た。
ちょっとでも事情を知っていれば、そんな説明はすぐに嘘だとバレる。
だが、その嘘が時に事実になる事もある。
王宮としては、南部を統括するブライヒレーダー辺境伯家の混乱は、平穏な南部統治の邪魔にしかならない。
だから、ブライヒレーダー辺境伯家には何も言わなかった。
遠征を行った事情についても、バウマイスター家側の要請であったという嘘も、重病の息子のためであったという事実を肯定も否定もしない。
それに、責任を押し付けるバウマイスター家に何か罰を与えるつもりもなかった。
みんな、それとなく真相は知っているが、その真相を口にしてはいけないのだと。
まだ子供の身である私からすれば、所謂汚い政治の世界の話なのであろう。
可哀想なのはバウマイスター家であったが、その分ブライヒレーダー辺境伯様は兵士達への補償金や、交易での便宜なども行っているそうだ。
名誉を損なわせた分、金銭や現世的な利益で補填するように心がけたのであろう。
なので、ブライヒレーダー家の家臣や兵士でバウマイスター家に恨みを抱いている人は少ない。
言っても仕方が無い部分が多過ぎるからだ。
たまに、家族を失った怒りの向け先がそこしかないと思っている人や、本当に愚かで真相の噂すら知らず、本気でバウマイスター家を非難している人もいるのだが。
私は、特にバウマイスター家に隔意など持っていない。
生まれたばかりの頃の話をされても、正直困るのだ。
父や兄達は、実家の槍術道場に通っていたお弟子さんを十数名失っていたので、もしかすると少しだけ隔意があるのかもしれない。
だが少なくとも、表立ってそれを口にしているのを聞いた事が無かった。
「助けてくれてありがとう」
私は、すぐにバウマイスター家の八男にお礼を言う。
正直なところ、この救援が無かったら相当に危なかったであろう。
私達は、少し過信していたのだ。
実家であるヒレンブラント家は、代々ブライヒレーダー家に槍術師範として仕える陪臣であった。
騎士の嗜みである武芸は、平時には見栄えも良く、貴族に叙任される際に宣誓する言葉の通りに剣が重要視される。
式典などでも、上級の者ほど高価で美しい剣を準備するのが普通だ。
ところが実際の戦場では、遠距離から使える弓に、リーチが長い槍が重要視される。
戦場における戦死傷者の多くは、これら二つによって発生するのだ。
良くあるサーガなどで語られる、騎士同士が剣を使っての一騎討ちなど、まず滅多に発生しないのが普通であった。
そのため、実は槍術を教える武官の地位や待遇は高い方だ。
だが、三女がのうのうとしていられるほど余裕があるわけでもない。
三女では同じ陪臣家への嫁入りすら難しく、私は子供の頃から自立のために槍術を学んでいた。
幸いと言うべきか、才能はある方らしい。
父は、『お前が、男ならな』と残念そうに口にしていた。
技の型などはまだ父に敵わなかったが、実は私にはほんの少しだけ常人よりも多目の魔力がある。
少し訓練すれば、一日にコップ数杯の水くらいは出せるらしい。
微々たる物だが、実はこの魔力が役に立つのだ。
この魔力をほんの少しずつ、己の身体に流して身体能力を強化する。
この技を懸命に訓練した結果、私は実戦形式の模擬試合で父や兄にも負けなくなった。
ただ、それは同時に残念な結果も生んでいる。
父や兄達は、私を疎ましく思うようになっていたのだ。
娘や妹しては、可愛がってくれているのはわかる。
だが、槍術道場の弟子としては疎ましい。
私が男ならば、その腕前で実家に師範として残るという選択肢もあった。
しかし、私は女である。
嫁に行く条件は三女なので良くは無いし、嫁に行くのに槍の腕前は全く関係が無い。
むしろ、嫁よりも弱い旦那などと噂されるのも嫌なので、誰も貰ってくれないであろう。
そのような事情もあり、私イーナ・ズザネ・ヒレンブラントは、冒険者予備校に入学した。
得意な槍術で、特待生試験に受かってだ。
「でも、狼の毛皮は良いのか?」
私達を助けてくれたバウマイスター家の八男であったが、どこか抜けているというか、変わっているような気がする。
こちらに恩着せがましい事など一切言わず、まずは獲得した毛皮の分配について聞いていたからだ。
「(変わった人ね……)」
更に彼は、今日は稼げたのでお礼に夕食を奢ってくれるという。
お人好しなのであろうか?
何しろ、彼はあの有名な貧乏騎士家の八男なのだ。
その生活ぶりなどは、私など比べ物にならないほど貧しかったはず。
陪臣家の娘とはいえ、いや逆にそういう立場だからこそ、お隣の小身貴族家の財政状態などわかってしまう。
わかってしまうからこそ、物悲しくなってしまう部分もあるのだが。
この世は、戦争も無く平和であった。
だからこそ、王族も、貴族も、陪臣も。
跡を継げない子供の悲哀は共通で、軍への道もある男子とは違い、それすらも極端に狭い女子は、良い嫁ぎ先の確保か、私のように冒険者などとして身を立てようとする。
ただ前者は、私のような身分だと厳しい物があるのだ。
もう引退している老齢の貴族の妾や後妻か、小領貴族の妾でも順番は三番目から五番目くらい。
降家でも商人に嫁げれば運が良い方で、諦めて豪農などに嫁ぐ人もいるほどだ。
これなら、冒険者として自立した方がマシというものだ。
前に誰かが、『戦争でも無いかな?』などと物騒な事を言っていたが、内心では賛同者も居るのではないかと思ってしまう。
戦争で貴族が減れば、その分自分に出番が回って来る可能性もあるのだから。
「イーナで良いわよ。いい、確かにあなたの剣の腕は優れているし、弓も上手なのはわかる。でも、ヴェンデリンの魔法が凄過ぎて全然関係ないのよ。ヴェンデリンなら、その辺の子供と組んでも結果は同じじゃないのかな?」
せっかくの食事の席なのに、私は思わずバウマイスター家の八男の相棒であったエルヴィンに余計な事を言ってしまう。
だが実際、まだ様子見の人は多いが、魔法が使えるバウマイスター家の八男に目を付けている予備校生は多い。
男子は、パーティーメンバー候補として。
女子は、それプラス婚姻の相手としてだ。
まだ早いような気もするが、こういう事は競争でもある。
特に、こんな冒険者予備校に在籍しているような貴族の子達は、もう半分平民に片足を突っ込んだ身なので、己の将来のために必死なのだ。
こう言うと平民をバカにしていると思われるかもしれないが、みんな、生まれた時に持っていた身分や待遇を失うかどうかの瀬戸際なのだ。
必死にもなるし、他者を蹴り落としてでもと考える人も多い。
本当、貴族の世界は世知辛いのだ。
決して、綺麗事だけで語れる物ではなかった。
「(ヴェンデリンと組めば、上手くすると……)」
優秀な魔法使いなので、運が良ければ貴族に叙される可能性もあるし、そうでなくても収入が良いので生活は保障されるはず。
もしどこかの貴族家のお抱えになれば、その子が代々の陪臣として家を立てられる可能性もあった。
男子は家人や従士になるべく。女子は当然妻となるべく。
冒険者予備校なのに、もうその先にある第二の人生を見据えている者も多いはずだ。
酷く現実的な話ではあるが、貴族や陪臣の次男・次女以下などがここでのほほんとしているわけにもいかない。
早い者勝ち、図々しいくらいで無いと駄目。
継げる家門や領地に、良い嫁ぎ先などがある長男・長女などは、こういう考えをする私達がさもしいと陰口を叩く事もある。
でもそれは、自分達が恵まれている立場に居るからだ。
どうせ、冒険者予備校に居る貴族の子弟など、実は半分貴族扱いなどされていない。
冒険者として身分など関係ないほどの大金を稼ぐか、名を揚げて他の貴族に雇われる。
でなければ、限界を感じて引退をし。
開拓地に行くか、小さな商売でも始めるか。
むしろ、そういう人間の方が多いのだから。
王国には、そんな元は貴族の子孫ですと自称する平民階級の人間は多い。
身分によって名乗りに制限が無いので、平民でも貴族のような名前の人も多いのだ。
普通は遠慮して、姓を名乗らなくなるのだが。
「私は、そんな生活は嫌だもの」
夕食が終わり、私達はヴェンデリン達と別れて自宅への道を歩いていた。
隣に居る幼馴染のルイーゼも同じだが、成人後にはその実家からも出ていかなければならない。
残っていても良いのだが、それは親から勧められる縁談を断れない事を意味していたからだ。
良い話などまず奇跡でも無ければ無理で、もし相手が七十歳を超えた老人でも家に残っていれば断る事は出来ない。
オマケの三女が成人後も家に残るというのは、そういう事なのだ。
「イーナちゃんは頭が良いから、色々と考えるよね」
見た目が幼いせいで周囲はあまりそう思っていないようだが、実は私などよりもルイーゼの方がよっぽど頭はキレると思う。
いくら家が近所同士で、幼馴染で立場が似ているとはいえ、私達が親友同士なのは、心の奥底は似た者同士だからだ。
「私達は、チャンスを得たと思う」
「うーーーん、ヴェル君の事だよね?」
同年齢で同じ冒険者志望なのに、狼から助けられるという不甲斐なさであったが、だからと言って私達が物凄く弱いというわけではない。
他の特待生でも、多分同じような結果になっていたであろうからだ。
要するに、ヴェンデリンがあまりに強過ぎるのだ。
「イーナちゃんは美人さんだから、ヴェル君の目に留まるかな?」
「それはないわよ」
小さい頃から、顔立ちは整っていると周囲から良く言われていた。
ただ、槍術を習っているせいではないのだが、目付きが鋭い時があって怖いと言われる事も多かったのだ。
あとは、考え事をすると口数が少なくなる傾向もあり、男性からすれば何を考えているのかわからず、たまに喋ると厳しい事を言う女の子に見えるはずであった。
とても、女性としてヴェンデリンから好まれるタイプとは思わなかったのだ。
体型も標準的だし、むしろ可愛い容姿をしているルイーゼの方が男性へのウケは良いと私は思っている。
「私は、チビっ子だもの」
「そういうのが好きな人も居るって」
「イーナちゃんは、突然何を言うのかと思えば。体型は、年齢的に将来に期待するにしても。イーナちゃんは期待できるけど、私は厳しいかも……」
それでも、実はヴェンデリンはルイーゼのような娘がタイプかもしれない。
私も数に入れれば、二人でツータイプとも言えた。
選択肢は、多い方が良い。
しかし、自分で言っていてしょうもない考えだと思う。
「何てね。今は、友達になれてパーティーでも組めれば最高かな」
一方のルイーゼも、サラっと凄い事を目論んでいるようだ。
予備校生は、卒業までは魔物の領域に入れない。
年度の後半から始まる、熟練パーティーを教官役とした実習を除いてなのだが。
それに備えて事前にパーティーを組み、狩りで連携などを確認するくらい出来ない人は、冒険者に相応しくないと言われても反論は出来ないはずだ。
今は、そういう大切な時期だと誰もが思っていた。
「ライバルは多いはず」
「だよねぇ。ヴェル君が居ると圧倒的だし、エル君もあれでなかなか凄腕の剣士だもの」
とはいえ、いきなりパーティー結成要請を出すのはバカのやる事だ。
実力の無い人間がいきなりパーティーを組んで欲しいと頼みに言っても、実力の高い人からすれば、『邪魔者や足手纏いはお引取りください』という事になるのだから。
「私達って、冷静に考えてどうかな?」
「ええと……」
正直、他の特待生に劣るという事は無いと思う。
二人共、入学成績はトップ5に入っているのだから。
「考えても仕方がないから、申請用紙を出してしまおう」
「ルイーゼ、あんたねぇ……」
たまにこういう直感的な行動や意見を述べるのが、ルイーゼという私の親友であった。
ところが、意外とその結果が悪くないのだ。
「駄目なら、向こうが破棄するって」
「何て、行動がポジティブなのかしら……」
そんなわけで、私達は駄目元でパーティー申請を四人で出してしまう事にする。
ところが、次の日にパーティー申請用紙を記入して提出すると、意外にも担任のゼークト先生は却下しなかったのだ。
「入学順位が五位以内の四人か。戦力バランスも悪くないし、こういうのは命がかかっているからな。経験を積ませるために成績下位者も入れろとは言えない」
命がかかっているので、成績上位者と下位者をバランス良く組ませてとは、元は冒険者でもあったゼークト先生は言えないようだ。
それに、私達はプロの冒険者でもない。
ただの見習いなのだから。
近い順位の者同士で組み、成績下位者は狩りなどで経験を積んで、将来は魔物に対応できるように訓練をする。
これが、正しい予備校の目的なのだから。
「優秀なパーティーは、一つでも多く欲しいからな。申請は庶務の方に出しておく」
まさかと思えるほど、パーティー申請は呆気なく通ってしまう。
唯一の問題は、肝心のヴェンデリン達が知らない事であろうか?
それが、一番問題なような気もするのだが。
「大丈夫だって」
一方、ルイーゼは何も心配していなかった。
ある意味、この娘は大物だと思う。
そして、勝手にパーティーを組まれてしまったヴェンデリン達であったが。
「なあ、エル」
「思う所が無いとは言わんが、他の成績下位者と組んでもな。こんな物だろう」
「そうなのか?」
「冒険者も、他の仕事と同じさ。組んで駄目なら、解散して新たにパーティーを作る。何も、一生同じパーティーでないと駄目なんて法も無いんだし」
「そう言われるとそうだな」
ヴェンデリンはどこか良くわかっていないようであったし、エルヴィンの考えは極めてドライであった。
もう申請は通ってしまっているし、組んで駄目なら新たに考えれば良い。
実際、一流の冒険者パーティーでも、初期からまるで同じメンバーなんて事は100%あり得ないそうだ。
みんなパーティーの結成と解散を繰り返し、一部メンバーの入れ替えて今のベストメンバーになった。
人間同士なのだから、当然とも言えよう。
「まあ、良いか。それじゃあ、宜しく」
「よろしくね」
「よろしくな」
「……よろしく(優秀な魔法使いって、あまり細かい事を気にしないのかしら?)」
私は、自分の親友は今さらとして。
ヴェンデリンが物凄い大物なのだと思う事にして、まずは足手纏いにならないように努力する事を誓うのであった。