19 強くなるために、聖騎士隊の訓練への誘い
「ステータス オープン」と唱えると目の目にホログラムウインドウが立ち上がる。
名前:ルシエル
JOB :治癒士Ⅴ
年齢:17
LV :1
HP :420 MP:160 ST:180
STR :73 VIT:111 DEX:76 AGI:73
INT :108 MGI:107 RMG:100 SP :0
魔力適性:聖
【スキル】
熟練度鑑定- 豪運- 体術Ⅴ 魔力操作Ⅶ 魔力制御Ⅶ 聖属性魔法Ⅶ
瞑想Ⅴ 集中Ⅶ 生命力回復Ⅳ 魔力回復Ⅵ 体力回復Ⅴ
投擲Ⅳ 解体Ⅱ 危険察知Ⅳ 歩行術Ⅳ
並列思考Ⅱ 剣術Ⅱ 盾術Ⅰ 槍術Ⅱ 弓術Ⅰ
詠唱省略Ⅳ 詠唱破棄Ⅰ
HP上昇率増加Ⅵ MP上昇率増加Ⅵ ST上昇率増加Ⅵ
STR上昇率増加Ⅵ VIT上昇率増加Ⅵ DEX上昇率増加Ⅵ AGI上昇率増加Ⅵ
INT上昇率増加Ⅵ MGI上昇率増加Ⅵ RMG上昇率増加Ⅵ
毒耐性Ⅵ、麻痺耐性Ⅵ 石化耐性Ⅵ 睡眠耐性Ⅵ、魅了耐性Ⅱ、
呪い耐性Ⅵ、虚弱耐性Ⅵ、魔封耐性Ⅵ 病気耐性Ⅵ 打撃耐性Ⅱ
幻惑耐性Ⅰ 精神耐性Ⅰ
【称号】
運命を変えたもの(全ステータス+10)
運命神の加護(SP取得増加)
冒険者ギルドEランク 治療士ギルドAランク
「やっぱりレベル1か。俺も成長しな・・・あれ軒並みステータスは上がってるな・・・って上がりすぎじゃないか?たった十日でステータスがどれも1.5倍に上がってるとか異常だろ 」
昨日は戻った後に、長時間一人反省会を実施した。如何に自惚れていたかを反省点を箇条書きにしてみるとA4ほどの羊皮紙に入りきらなかったことで更に凹んだ。
分かり易い反省点としては、ボス戦前と分かっていたのにディフェンス能力を上げる各バリア魔法を使わなかったことや魔法が使えないことで混乱し過ぎて剣や槍を鈍器として扱ったことだ。
「剣は壁や床、固いところを叩いて刃先が欠けて、ランスは歪んだっていうよりも少し曲がってる。これがばれたら絶対ブロド教官に叱られて走馬灯を見ることになるぞ。それにグルガーさんが知ったら物体Xを樽で一気飲みさせられる……」
被害妄想に聞こえるかもしれないが、実際何度かそういう出来事があり彼等に逆らうことは出来ない。まぁ基本彼等はいい人だからいいんだけど。
「聖騎士や神官騎士にそのうち訓練に混ぜてもらえるようにお願いしてみようかな。っと今日の朝の鍛錬終了。あ~腹減った 」
俺は朝の鍛錬を終えて食堂に向かった。
「ルシエル 」食堂に向かう途中でルーシィーの声が聞こえて振り向くとそこにはルーシィーさんとルミナさん、あと一人女の子がいた。
「おはよう御座います。ルミナ様、ルーシィーさん。あと初めまして、おはよう御座います。ルシエルです。」と挨拶をしてみた。
「おはようルシエル君 」
「おはよう 」
「おはよう御座います。私はルミナ様の部隊に配属されているクイーナと言います 」
「改めておはよう御座います。クイーナさん。皆さんも朝食ですか? 」
「ああ。私たちはいつも朝の訓練を終えてから朝食にしているからな 」
「そうなんですね。私はいつもより少し遅めなのでお会いしたんですね 」
「それはそうと経った十日で戦果を挙げたと聞いたぞ 」
「あ~その話ですか……もう昨日から反省しっぱなしですよ 」
「ふむ。良ければ話を聞こう。一緒に朝食にしないか? 」おや、朝から豪運が発動しましたか?
「はい。是非お願いします 」こうして四人で朝食に向かった。
朝食を摂りながら、祓魔師になってからのことと、昨日の失態について全てを話した。
「・・・君は一体何をやっている? 」とルミナさんに呆れられ、
「貴方って死にたがりなの? 」とルーシィーに蔑んだ目を向けられ、
「馬鹿ですね。運が良かっただけです。普通なら死んでいますよ 」と初対面でありながらクイーナから淡々と毒を吐かれた。
「あ~折角無知から卒業していたと思えば、今度は向こう見ずな行動をとるようになっていたとは 」
「一応、昨日から半日は一人で反省会をしたので、その辺で勘弁してください。もう私の精神はボロボロです 」
「それで貴方は如何したいのよ? 」
「強くなるためにメラトニの街に戻って修行し直したい 」
「治癒士は原則、辞令が下りない限り本部からの異動は認められていません 」
「鍛えたいということなら、手伝えると思うぞ 」
「えっ?本当ですか? 」
「ああ。治癒士にはきついと思うが、聖騎士の訓練に参加がさせてあげることは出来る。但し、個別に指導することはないがな 」
「・・・探索に支障が出なければお願いしてもいいですか? 」
「うむ。では週に一度、火の日の集中訓練を行なう 」
「はい。宜しくお願いします 」こうして聖騎士の訓練に参加させてもらえることになった。
いつも通りに弁当を受け取って部屋に戻り、物体Xを飲んでからアンデッド迷宮(仮)に向かう。
幻惑耐性を習得していたことから、既にあの迷宮が幻覚だということを俺は知っている(そう思っているだけ。)。
今日からの探索だが、きっと二十階層のボス部屋までは苦戦することはないだろうと踏んでいる。
ただ、探索に時間が掛かると思うから二十階層のボスと戦うまでに慢心していた気持ちを正そうと思う……豪華賞品の為に。
こうして俺は迷宮に入る前に売店を覗いたが、カトレアさんはいなかったのでアンデッド迷宮(仮)に入り探索を開始した。
歩いて浄化の魔法を放つ。しかし昨日までと違い、詠唱も浄化するイメージを明確にして放ったことで魔物は綺麗に消えていくように見えた。
「あ~緊張する。またワイト出てきたらきついぞ。」俺はボス部屋の前で付与魔法を全て掛けた。そして扉を開けて中に入ると扉は閉まった。
「やっぱり数は多いな。魔法が発動しますように 」俺は祈りを捧げながら浄化魔法を発動させると大半が一気に消滅した。
「……弱ッ?!」そして三度の浄化魔法と少しの攻撃で、ボス部屋での戦闘は一分ほどで終了した。
ゴッォオオオンと階段が出てきたけど「毎回毎回これってこんなに騒々しいんだろうか?」と階段を下りてから、直ぐに十層に戻っても、ボス部屋の魔物が復活している確認した。
少しの休憩を挟んで十一階層の探索を開始した。
「これ迷宮を造ったのが教皇様なら、教皇様って絶対転生者だろ」迷宮の十層までは壁面は白っぽいものだった。しかしこの層からは赤い壁面になっているのだ。
まぁこれで何処の階層にいるかは十階層単位で判断できるんだけどさ。
「セィァ、タァア、ハァアアア。」槍で刺し、引き戻しながら剣で突く。最後にハイキックでゾンビの頭を蹴飛ばしたら頭が変な方向に曲がったので、剣に魔力を流して首を落とした。
「やっぱり体術も繰り出せるようにしておいた方がいいよな。それにしてもまたゾンビからなのか? 確かにゾンビの割りに少し早かった気もするけど、そこまでの違いは無さそうだったけどな 」
魔石を拾って地図を描きながら進む。「ちょっとだけ、拡がっているか?」俺は確かめながら歩く。魔物の数は変わらないし、他に変更点はなさそうだな。
十一層を探索するのに体内時計でお昼ちょっと過ぎで完了した。「弁当を食べていてもこれがあれば魔物は近寄らない。なんでこれを冒険者に渡さないんだろう?」
ルシエルは知らないが、物体Xは草や木などに与えると枯れていってしまい、農家には害虫よりも恐ろしい。その為、飲める者にしか卸してはいけないことになっている。
十二階層も全て探索を終えて、今日の探索を終了した。
「あ、ルシエル君いらっしゃい。じゃあまずはポイント化しましょう」
「はい。お願いします」やばいなぁ。昨日の印象が強すぎて、少し緊張してる。
「そんなに怖がらないでいいですよ。取って食べるわけじゃないんですから。はい。今日は12,119Pですね」
「すみません。どうも昨日のカトレアさんが凛々しかったんで、緊張してしまうんですよ。元は聖騎士か神官騎士、はたまた教皇様直属の隊だったのでは?と妄想してしまって 」
「ふふふ。あまり女性を詮索しちゃ駄目ですよ。女性は秘密を好むものですから。詮索する人にはきっと災いが起きますよ」
「そうですね。知らなくて良いことも世の中にはたくさんありますもんね。ははは 」
「ふふふ。あ、そうだわ。これが魔法の袋よ 」
「おお。って何かただの袋ですけど? 」
「そこに魔力を流してみて 」
言われた通りに魔力を流してみると「おっ、おぉ、色が変わった 」
茶色の皮袋だったのに青白い皮袋へと変化した。
「はい。これでもうルシエル君専用の魔法袋になったわ。使い方は、魔法袋から1m以内にルシエル君がいることが条件で、物を収納のする場合はルシエル君が触っている物を収納と念じれば入るわ。出す時は出したいものをイメージして出ろと念じるだけよ 」
「ありがとう御座います 」俺は袋を触って使い方をイメージしようとしたら「もしかして数冊魔法書が入ってますか?」
「正解。これからも頑張ってもらうために、現存している魔法書をセットでサービスするわ 」
「じゃあそこにある魔法書? 」
「ええ。そうよ 」最近の豪運って凄くないか?もはや豪運先生ですな。
「でしたら・・・・・」俺はこうして聖銀の剣を四本、短槍を四本、弓と矢筒(二十本セット)を五セット購入した。その他にもポーション類をいくつか購入した。
「頑張り過ぎちゃ駄目よ 」といつものカトレアさんに戻っていることを感じて、いつも通りの挨拶をして部屋に戻った。
この日はもらった魔法書を読んで自分の力に変える為の努力を始めていた。そして翌日十五層まで完全に調べて明日の聖騎士の訓練に向けて早めに就寝した。