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#5 会合
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
上記の文は何があろうと変わることはありません。
山は1年間人の手が入らなかったことも手伝って鬱蒼とした林になっていた。
たまに血がこべりついたような色ををした地面がある。丁康さんや村の人はこの辺りで襲われたのだろうか。
桂高は歩みを進める。気がつけば日は南を通り過ぎていた。
日の入りまであと半刻と少しのときだろうか。
辺りを徘徊している忌まわしき虎がいた。
虎は鈍い輝きを放つ毛色をし、尻尾を激しく振っていた。
桂高の脳裏に無惨に殺された丁康や村の人達の姿がよぎる。全てはこのときのため。
桂高は虎にむかって棒を構える。
虎は牙を剥き出しにして襲いかかってきた。
虎の鼻頭に棒を突き立てる。怯んだ隙に首に棒を叩きつけた。虎は泡を吹いて地に伏した。
勝負は一瞬だった。
地に伏した虎の体に雪が降り、水となり滴る。
その隣では空を仰ぐ桂高が達成感に浸っていた。
(ようやくだ……。ようやく敵を討てた……。)
『うぉぉぉーーーー!!!!!』
虎を討つことで訪れたと思われた平穏は突如響いた鬨の声に砕かれた。
桂高が虎を殺してから四半刻にもならないような時だった。
いかがでしたでしょうか。
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