#42 救出
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
外から大勢の喊声が聞こえる。
何故だ?ここは普の都だ。つまりここへの進行は侵略に当たる行為である。
ただ勝手なことだが今の桂高にとっては好都合だった。混乱が大きければ大きいほど自分たちのような小事には目を向けなくなるだろう。意識を失った呂麗を運ぶには今しかない。
桂高は棒を背負い、呂麗を抱えて走り始めた。
「城壁は制圧できた!城内に突入せよ!」
侵攻している軍の将軍が叫び、馬から降りて自ら先頭に立って侵入していった。
(あれがあれば……)
狙いは将軍が乗っていた馬だ。大した護衛もいない。あのくらいならすぐに片付くだろう。
(ドッ……)
目の前で兵が崩れる。もう慣れたものである。
桂高は馬を奪うと呂麗を回収し、走り去った。
(私は守ることができただろうか)
あの日以来行方も知れなかった。そもそも生死すら分からなかったのだが。一先ず呂麗の回復が最優先だろう。すぐそばにいていたいが臣下としての役目がそれを許さない。
今ほど誰かに仕えたことを後悔することはないだろう。
故郷に連れて帰り、見知った典医に預けた。
(行かなければ)
自分を待っている人がいるところへ。
~普の都~
「曹章、お前には包囲している部隊の統率を命じたはずだ。何故ここに来た?」
「人を斬りたくなっただけでございます。」
「いいだろう。許そう。」
「ありがたき幸せ。」
曹章は退室した。
(なぜあんなところにおまえがいる?しかも意識のない小娘とともに。)
(目の前で人を殺しても同じことをするおまえを、どうすればその仕事をやめさせることができるのだ、弟よ。)
あの場面に馬が無ければおまえはどうしたのだろう。
~???~
「狗姫様!こちらに!私共が命に代えてもお守りいたします。」
「そなたらは賊将であろう?なぜこんなことをする?」
「確かに私は賊将に成り下がりました。しかし、私はそれ以前に普の臣でございます。」
いかがでしたでしょうか。
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