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#40 狗へ

どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。


顔を上げた狗放の顔には右目に虚ろな眼窩があるのみであった。

「白燕様は?」

「脱出しました。既に狗に着いていると思われます。」

「そうか。それは良かった。」

「我々も狗に参りましょう。」

「そうだな。」


桂高は狗放の拘束を叩き壊した。

「歩けますか?」

「この程度耐えてみせる。」

狗放の足には無数の傷が走っていた。

「足もこれと同じくらいやられていたら分からなかったが。」

狗放はそう言って両手を見た。

焼きただれた爪が受けた拷問の凄惨さと白燕への忠義を物語っている。


桂高と狗放は日の光を浴びた。まぶしさに狗放が目を瞑る。

「人が来る前に早く行くぞ。」

「私は少し遅れます。待ち合わせの場所に馬がいます。そこまで逃げてください。」

「遅れる?」

「私の師の娘が囚われていました。賊に売られたのでしょう。」

「この際細かいことは聞かぬ。無事にたどり着け。良いな。」

「はっ。」


「故郷までお連れ致します。」

桂高はこと切れたかのように静かな呂麗に語りかける。

(どう切り抜けようか…)

宮殿から馬をつないでいる場所までかなりの距離がある。さらに、あまり衝撃を与えずに戻りたいところである。

桂高は思案する。

城に向かって進む軍がいるとは知る由もない。




~伯鳳軍~

「皆の者!この書簡には新しい皇太子である白渓の出自が書かれている!この書簡によれば白渓は孤族のものである!孤藍は我らが普国を乗っ取る算段である!そして現君主・白熊はこれに従った売国奴である!!このような君主を認めてよいのか!?否!先君・白瑛の子たる私がこの者どもに天誅を下そうぞ!!!王城に向かって進軍せよ!!!!」

「「おぉぉーーー!!!!」」


兵士が雄たけびを上げる。

(演説の上手さは兄譲りか)

伯鳳のすぐ後ろに控える曹章は思った。

(あいつは今どこにいるかな。死なせはしない。絶対に。)

曹章は『あいつ』がいるはずの北の地を見つめた。

いかがでしたでしょうか。

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