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#4 山へ

どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。


呂淵に棒術を習い始めてから1年が経った。


(カンッカンッ)

「はぁっ!」

「くっ!」

桂高と呂淵は打ち合い稽古をしていた。


「一旦休憩しようか。」

「はい。わかりました。」

「しかし、すごい力だな。技術ではまだ負けないと思っているが、力では既に負けている。」

「ありがとうございます。」


とある日のこと、

「近々、軍が山に来るらしいな。」

「そうらしいな。ようやく虎が居なくなるのか。」

「お偉方は1年も何をしてたんだか。新しい死人が出なかったから良かったものの・・・」

このような話が出てきた。


桂高は呂淵に頼み込んだ。軍が来るまでに自分に虎を退治させて欲しいと。

「そうか。なら一つだけ約束して欲しい。」


「生きて帰ってこい。」


呂淵はそう言うと家から自分が使っていた蛇が刻まれた棒を持ってきた。

「俺の見立てでは普段のものよりこっちのほうがあっていると思う。持っていけ。」


初めて手に取ったそれは自分にピタリと合っているような気がした。

「ありがとうございます!!」

「必ずや討伐し、生きて帰って参ります。」


しんしんと雪の降る日だった。

桂高は人目に触れないよう虎のいる山に入った。

いかがでしたでしょうか。

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