#39 再会
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
白熊の第二公子・白燕は普を脱出し、妻の出身である狗に身を寄せた。このことを確認した桂高は自身の上司に当たる狗放の捜索を始めた。白燕の主な側近である二人のうちの一人である狗放はこの度の宴に出席していた。目的に逃げられた以上人質の意味でも捕縛される可能性は高い。
桂高は宮殿に忍び込んだ。とは言え問題はここからだ。牢の場所など知る由もないし、それに考えたくないことだが、既に斬首されている可能性も捨てられない。
だが、何が起こっていようと確かめなければならない。
桂高は宮殿から離れた位置にある場所にいた。高貴な身分は罪などを近くに置かないと孫義さんが言っていた。
「こんな奴いたか?」
「呂麗?わからんな。」
「罪状も特に記述がないんだが。」
「多分、公族が入れた奴だろう。少しくらい記載してほしいもんだ。」
「解放しろってさ。探すところから始めないとか……。はぁ……。」
牢屋番の会話だ。ただ、桂高にはひとつの音が頭から離れなくなった。
(呂麗)
桂高は牢屋番を後をつけることもせず、柱に隠れて名前を噛み締めていた。
(まだ生きている。)
それだけで桂高は少し楽になった。
牢屋番と共に骨に付着した皮のような人が出てきた。
ただでさえ瘦せていた呂麗は見るも無残という言葉通りになっていた。
壁を伝って上に上がるだけで死にそうになっている。
(今度こそ)
桂高はそう思った。が、今助けても桂高は狗まで行かなくてはならないのだ。
(耐えられない)
桂高はそう思った。
(安の辺りまで行ければ……)
「ほら。さっさと行け!」
牢屋番が呂麗にそう言った。
桂高は柱の陰から身を乗り出して近くの牢屋番を一瞬でたたき伏せた。
「私がまもります。」
呂麗の顔からは安心を感じられた。
桂高は陰まで呂麗を運んだ。
「少し待っていてください。すぐに戻ります。」
桂高は牢屋番が出てきた道を進んだ。
地下牢の最奥にある石畳の個室。
石同士がこすれる音が響く。
「桂高か。」
「生きておられるようで何よりです、狗放様。」
「辛うじて生きておるぞ。」
桂高は狗放の片目と目があった。
部屋は鉄の匂いと異様な香りが漂っていた。
いかがでしたでしょうか。
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