#38 熊狩り
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
「熊狩りだと?ふざけるな!私は普の国に仕える者だ!」
「仕える主を失っているのにか?」
「それは……」
「我々は普を滅ぼそうとしているのではない。あるべき姿に戻そうとしているだけだ。」
「あるべき姿だと?」
曹章は懐からひとつの書簡を取り出し、典海に渡した。
「それは?」
「孤藍が故郷に向けて出したものだ。」
内容を見た典海は愕然とした。
「あの皇子は白熊様の子ではなく、孤族の子だと?」
「孤藍はこの国を乗っ取ろうとしている。これを防ぐことができるのは我々だけだ。我々に協力するんだ。」
「……一つだけ条件がある。これが終わったら白鷗様を丁重に葬らせてくれ。これを認めないのであればそちらに協力はしない。」
「いいだろう。その条件を飲もう。詳細はまた書簡を出そう。では後ほど。」
曹章は早々と去っていった。
(白鷗様。私はこの国を守ります。)
~???~
「曹章どうだ?」
「首尾よく終わりました。素直な奴です。目論見には気付いていないかと。」
「我が祖の遺言など知らぬだろう。我ら侯族以外はな。白熊が敷いた下地をもって私が完遂させてみせる。安を完全に潰さねば。」
「曹章!普の軍の情報は万全だろうな!」
「ご心配には及びません。以前ならいざ知らず、今の白熊に心服しているものなど居りますまい。」
「はっはっはっ!それもそうだ。これも奴の自業自得だな!」
「曹章、私はこの手で白熊を殺したい。できる限り早く準備せよ。」
「仰せのままに。」
~狗の里~
無事に逃げ延びた白燕は毎日後悔に苛まれていた。
兄を救う手立ては本当になかったのか。兄より自分が死ぬべきだったのではないか。
様々なことが頭をよぎる。
が、兄に生かされたこの命を普の為に使う。それこそが兄から託された使命だろう。
「白燕様!ご無事で何よりでございます。」
「孫仁か。そなたの言う通りになってしまったな。」
「読みが当たってしまいましたな……」
「今後のことを聞かせてもらおうか。」
「承知いたしました。」
孫仁は語り始めた。
~普の国~
(狗放様が来ぬ。)
宴の席で見たがそれ以降は見ていない。
先に行ったか、逃げ遅れて捕まったか。
桂高は普に戻った。
いかがでしたでしょうか。
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