#34 臣下
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
本当にご無沙汰でした。
桂高は白燕のいる城に到着した。
「何者だ!!」
二人の衛兵がそう言うや否やこちらに手に持った槍を向ける。
「私は桂高と申す者です。白燕様にお目通りをさせていただきたい。」
「白燕様に知らせよう。返事があるまでそこにいよ。」
衛兵の一人が中に入る。
「お目通りがかなった。ついてこい。」
衛兵が戻ってきてそう言った。
「久しいな。桂高よ。」
「憶えていてくださるとは恐悦至極にございます。」
「我が妻を救った者の名を忘れるものか。して今回は何用なのだ?」
「本日は私めを臣下の末席に加えて頂きたく参った次第でございます。」
桂高はそう言って下げていた頭を更に下げた。
「ありがたい申し出だ。そなたを歓迎しようぞ。」
「ありがとうございます!」
桂高は頭を下げたままの姿勢で言った。
「では早速だがそなたに仕事を与えよう。普の都で情報収集をしてもらいたい。」
「了解いたしました。」
「部下を数人付けるゆえ、伝達のために用いてくれ。父上に関する情報を最優先に調査してくれ。調査した情報はこの孫仁に届けよ。」
白燕は左に控える男を指してそう言った。
一見平凡に見える男だった。
目線を反対にずらすと長尺の頑強そうな男が控えている。
しばらく見なかったうちに人を召し抱えたようだ。
「はっ!!!」
「では下がって良いぞ。狗放、人員の選別はそなたに任せる。」
「わかりました、義兄上。」
右側に控えていた長尺の男が返事をした。
(なんか似てるなぁ)
そう思う桂高の頭にはつい先日まで護衛していた孫義こと劉韓が浮かんでいた。
がっかりしていないと言えば嘘になる。桂高は郭艾のことがあり誰かに仕えようと思ったからだ。主人を守れるような地位につきたかったのが本音だ。
何より仕事の内容が劉韓と大して変わらないのが引っ掛かる。
とはいえ、仕事を放棄したりはしなかった。
白熊は相変わらず孤藍に溺れ、宴三昧の生活のようだ。
ただ憂慮すべきことが一つだけあった。
今の太子・白鴎様が廃嫡されるかもしれないとのことだった。
「ねぇ、白熊様。この子の名前どういたしましょう?」
孤藍は膨らんだ自身の腹を擦っていた。
「そなたが思うままに名付けて良いぞ。」
「渓はどうでしょうか。孤では王の子にこの字を使いますの。」
「次代を担うものに相応しい名であるな。」
「ありがとうございます。」
そう白熊の耳元でつぶやいた孤藍は再び白熊に甘えた。
「面白いことになっておるな。あの白熊が女狐に腰をふる狸にまで落ちるとは。儂が普の国を大義名分を持って取り返す日は遠くない。」
青の印のある文を受け取った伯鳳はほくそ笑んだ。
いかがでしたでしょうか。
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