#33 変貌
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
高い宿で一夜を明かした桂高は情報を集めていた。
目的は重税の理由と白熊の第二子・白燕の居場所である。
調査の結果、税が重くなったのは孤族の姫が来てからということが分かった。絹や酒が徴収されることもあったそうだ。
(中々ひどいな………)
これでは普と芹の国力差は広がる一方だろう。
以前の名君は何処へ行ったのか、今の白熊は立派な暗君である。
太子様や白燕様、それに臣下は何をしているんだ。そんな怒りの半分は思いも寄らない一言で吹き飛んだ。
「白熊様の御子息は国の防衛のため国境に行っちまったよ。」
確かに防衛のために公子が国境に赴くのはあることだ。しかし、二人共とは………
とにかく、当初の目的は果たした。が、そもそも白燕様の居場所を知りたかったのは白燕様に仕えようと思ったからだ。
桂高は白燕の軍に合流することにした。白燕の砦は旧安の国の辺りにあるという。桂高はそこに向かうことにした。
長い長い一人旅の始まりである。
時は桂高が孫義と共に芹に出発した頃まで遡る。
普の君主・白熊の屋敷では宴会が催されていた。時は昼である。
女が楽器を弾き、舞を舞う。それを見ている白熊の傍らには孤族の姫・孤藍が妖艶な笑みを浮かべ、甘えるように白熊にもたれかかっていた。白熊の目には薄く隈ができていた。
「あら、白熊様、酒がなくなってしまいましたわ。」
「酒を持って参れ!」
白熊は部屋の角に控えている色白で細い使用人の女に言った。
女は深く礼をしてから酒を取りに向かった。
「ねぇ白熊様。私、紅い服が欲しゅうございます。」
「なら、この国の絹を集めさせよう。」
「まぁ!!白熊様、私は嬉しゅうございます。」
「うむ。ほしいものはなんでも言うが良い。全て用意させようではないか!」
「ありがとうございます。」
孤藍はそう言って特上の笑みを零す。
それを見た白熊が満足げに頷いた。
女が帰ってきた。
「白熊様、申し訳ないですがもう無いとのことです………」
女に向かって盃が投げつけられる。女の頬が薄く裂け、血が流れる。
「無いじゃなくて、用意するのがあなたの役目でしょう?」
孤藍は立ち上がり、女に迫る。先程の笑みは何処へやら、釣り上がった目と引き攣らせた口を持っていた。
「お前は白熊様の命に逆らったのよ。相応の罰があるでしょうね。白熊様?」
「孤藍の言う通りだな。その者を水牢に入れよ。」
女は何も言わずに衛兵に連行された。
いかがでしたでしょうか。
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