#30 疑惑
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
「郭艾様。孫義様について何かわかりましたでしょうか?」
「いや、孫義という名も劉韓の名も確認できなかった。しかし、劉信という名があった。」
「劉信………郭需様の側に控えておられる方ですな。」
「うむ。奴に何か聞いたほうがいいだろう。父上に使者を出そうか。」
郭艾は部屋を退出し、白熊に挨拶に赴いた。
「………」
周寧は近頃暗い顔をすることが多くなった。今まで信じていた主が突然失踪し、あまつさえ賊である疑惑がかかっているのだから相当な心労だろう。
「桂高さん。あなたはどう思っているのです?」
「突然のことで何がなんだかよくわかりません。」
「でも、………孫義さんの正体が何だろうと、孫義さんに言われた人を護るという命令は本当です。」
「………そうだな。」
周寧の顔に光が差した、そんな気がした。
〜芹の国〜
「………ほう。」
郭需は郭艾から送られてきた書状を確認していた。
「なんと言っておられるのです?」
「あやつは劉信、そなたを疑い始めたようだぞ。」
「何故某を?」
「孫義といっていた賊は劉韓と言う名を持っていたらしい。そこでそなたということだろう。そなたは普の生まれだったな?」
「その通りでございます。」
「身近にそのような者がいた記憶はあるか?」
「全くございません。」
「………そうか。ならそのように返書を認めよう。」
「………いいのですか?そんなに某を信じて。」
「いいさ。そなたは儂の付き人だろう?」
「………愚問でございましたな。」
〜普の国〜
「父上からの返書が来た。この件に関して劉信は無関係……だそうだ。どうしたものか………」
「孫義さんが普の生まれでなければ戸籍もないのでは?」
「いえ、以前孫義様は普の南の生まれだとおっしゃっていました。これが嘘なら話は別ですが………」
手詰まった。まず手がかりが少なすぎる。生まれはもとよりあらゆる情報が少ないかつ、本当か分からない。頼りの名前が本当である証拠すら無いのだから。
そんな闇は突如として祓われた。
郭需からの使者が郭艾に言ったことは
『帰国命令』だった。
郭艾達はやりきれないまま帰国の道についた。
いかがでしたでしょうか。
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