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#27 行方不明

どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。


「父上!本日賊が我々の領内にいることがわかりました。いかがいたしましょう。」

「艾よ、おまえならどうする。」

「直ちに民にこのことを公表し、似顔絵などによる手配を行います。」

「そうか。ではおまえがそれを主導せよ。近衛兵の統率権を与える。思うままにやってみるがいい。」

「はっ!直ちに取り掛かります。」

郭艾は礼をし、勇み足で対応に取り掛かった。


「………六十点…といったところか。」

郭需は唐突に側近に言った。

「何がでございましょうか?」

「艾の対応じゃ。あやつは素直すぎる。変事が無ければ良い君主になるだろう。だが変事においては素直さが命取りになることがある。その辺りを諌めるのはそなたたちの役目じゃな。」

「芹のため力を尽くしまする。」


桂高は取り出した青い布切れを孫義に見せた。

「芹の国で青の賊が確認されました。このことを報告いたします。」

「そうか。気をつけねばな。引き続き周寧を頼むぞ。」

「了解しました。」

桂高は軽く礼をする。

「では、失礼します。」

二人はそう言って退室した。


孫義は部屋に誰もいないことを確認し沈鬱な表情になった。

「どうしようかねぇ………」

孫義になっている間は調査は進まない。そのせいで大した成果が出ていない。

そしてあの生真面目な太子さまのことだ。国中に手配くらいはするだろう。

先行きは真っ暗である。





〜翌朝〜

(トントントンッ)

小気味よく扉を叩く。目上の人への礼儀である。

「失礼します。孫……義…さま…?」

部屋は普段と違い、物が床に散らかっていた。

まるで、誰かに侵入されて荒らし回られたかのように。

周寧は急いで桂高を呼んだ。

「これは………」

桂高も同じような反応をした。

二人は部屋中を探したが、いるはずも無い。

その途中、桂高は机に積まれた本に挟まっていた紙を見つけた。

「周寧さま。これは……」

紙には『帰』とだけ書かれていた。

「賊が蔓延っているから帰れ、という意味か?孫義様は何を考えている?」

「命じられた通り帰るのですか?」

「帰る訳なかろう。とりあえずこの国で孫義様を探す。」

「はっ!」

「随分と元気だな、桂高さん?」

「あの方は賊に殺されるような方では無いですから。侵入に気付けなかったのは悔やまれますがまだ助けられる可能性があります。」

「強くなったな桂高さん。あぁ。そうだな。」


いかがでしたでしょうか。

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