#23 征伐
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
白燕の結婚から数日後。
「白熊様!狗の国から急報でございます!孤の国が攻めてきたとのこと!」
「やはり来たか。趙将軍に兵一万を与え、先に行かせよ!後から儂自ら兵二万を率いて参ろうぞ!!」
「はっ!!」
城下には多くの兵と赤の布に白く『白』と描かれた白燕の旗が掲げられていた。
「保護を求めて来た国を救うこと。これは覇者たる者の行いである!皆の者!出陣じゃ!!!」
『おぉぉぉー!!!』
白燕の演説に兵が雄叫びをあげる。
この士気に水をさすようなことが報された。
先に救援に向かった趙将軍の戦死である。
先鋒が着いた頃、狗は既に窮地に陥っており、士気を高めようと趙将軍は前線に立ったらしい。殿として残ったところ、孤の弓矢を浴び戦死した。
「父上、これは…」
最初に口を開いたのは長男であり、太子の白鴎である。
「兵を集めよ!趙将軍の戦死を報せる!」
「いいのですか?!」
「構わぬ!向こうに着けば嫌でも知れることだ。」
「皆のもの!先鋒として向かった趙将軍は討たれた!今まで貴殿らは我々白の都合の戦に招聘されていた!だが!この時からこれは趙将軍の弔い合戦にもなった!皆の力を貸してくれ!!!」
民衆とは簡単なものだ。人格者一人の死を報せ、弔いと称せばより強くなるのだから。死んでしまったものは仕方が無い。正直想定外だが………
白熊率いる本隊は強かった。負けかけていた戦況を覆した。たった五日で戦況は真逆にまでなった。
白熊は孤の長に使いを出した。降伏を勧める使者である。
〜孤の本陣営〜
「白熊様の文を持参いたしました。」
「いただこう。」
「白熊様は長の娘を差し出すなら降伏を許すと申しております。」
文が音をたてる。長の手元が震えているように見える。
「賢明な判断をされますよう。」
そう言い残し使者は帰っていった。
あれから2日後、孤の陣営から返答の使者が来た。
条件を受け入れ降伏する旨を伝え、ここに戦は終わった。普の国の主な損害は趙将軍の戦死だけである。
〜後日〜
孤の姫が普の都に来た。名を孤藍といい、白熊の第五婦人として入内したらしい。
白燕様の時とは違い、今回はそれほどお祭り騒ぎにはならなかった。もうすぐ孫義との約束の日である。
いかがでしたでしょうか。
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