#13 訛
どうも、ご無沙汰だと思います。ららと申します。
「桂高、この町はどうだった?」
「普の都ほどではないですが発展していると思いました。」
「ここは白熊様が父がやったことへの贖罪として力をいれられていたからな。指折りの町だろう。」
「あと、これはどうでもいいことなのですが、僕って喋り方変ですか?」
「いや?おかしくはないぞ。ただ、言葉の訛はこの辺りのものだな。まぁ、こういうのは生まれた環境で形成されるものだ。それにこの辺りじゃその訛は他と同じだ。」
「そう…ですか…。」
「それより、明日は頼むぞ。」
「はい。お任せください。」
止まらない違和感は頭の片隅に置いておくことにした。
朝になった。
仕事の時間だ。
行きが安全だったから帰りも安全という保証はない。趙玄の商隊は商品に代わり金を積んでいる。
盗った後が追いにくいこともあり、こういう商隊を狙う賊は多いらしい。
かくいうこの商隊も例外では無かった。
「おい。荷物を置いて失せろ。そしたら、命までは取らねぇ。」
手に曲刀を持ち無精ひげを生やした5人の男が立ち塞がってきた。
(こういうときは……)
出発前に趙玄に言われたことを思い出す。
「いいか、桂高。賊ってのは基本的に信頼関係だ。だから親玉が倒されると敵討ちと言って斬りかかってくる。だが、連携はしない。そこまでの信頼が無いからだ。」
(……さっさと親玉を潰す。)
桂高は棒を前の親玉らしき男に向ける。
「……ほう。やる気のようだな。まずはお前からだ!」
親玉は曲刀を大きく振り上げこちらに走って来た。隙だらけである。
まず、右足に一回。その後左腕と頭部に一撃を入れた。
そして予想通りの展開になった。群がってきた子分を肋骨や腹に一撃を与えた。ある者は骨が折れ、ある者は内臓の破裂くらいしているかもしれない。まぁ、知ったことでは無いが。
賊の襲撃こそあれどさして変事も起こらず商隊は普の都に着いた。
「助かったよ、桂高。」
「いえ、仕事ですので。」
「また護衛を頼むかもしれない。その時はよろしく頼むぞ。そういえばおまえさん泊まるところはあるのか?」
「ないですね………。」
「今晩くらい泊まっていけ。明日以降はまた違う所に行くから面倒は見てやれないがな。」
「ありがとうございます!」
「なら、帰ろうか。私達の家に。」
いかがでしたでしょうか。
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