リア充① 忍び寄る甘々カップル
「あー、リア充爆発しろ」
クリスマス前夜の町を歩いているのだ、僕がそう呟いてしまったのも無理はないだろう。
僕は小津野、何の個性もない──強いて上げるならメガネ、だろうか──極々普通の高校生だ。
恋人いない歴=年齢という残念な生き物でもある。
ははっ、笑えよ。え?笑えない?
……はぁ、そんな目で見つめられても溜め息しかでないよ?
──すまない、取り乱した。
まぁ何が言いたいかというと、僕たちみたいな人種の人間には大変よろしくない光景が広がっているってこと。
恋人繋ぎで肩を寄せ合うカップル、はにかむ女、甘い言葉を語りかける男。……そんなのばっかりである。
本当、僕なんでこんな場違いな所にいるんだろ?
……クリスマスぼっちの定番、コタツでみかんを食べながらクリスマス特番を見て暇を潰してたらみかんが切れたからか。
丁度見てたまろ見れも区切りが良い所まで終わったし、んじゃコンビニにお菓子でも買いに行くかーっと足取りも軽く外に出たんだけど……数分もせずに後悔。
ちっ…そうだ、今外は恋人だらけじゃないか。
そんなこんなで今にいたる。
そして現実逃避してる間にも『タカシ、愛してる』『僕もだよ、エミコ』とか、アッマ甘な会話が前方から。
くそぅ、好きでクリスマスに一人でいるんじゃないやい!
どうせ今からイチャイチャするんだろ、この獣!リア充!
あぁ、もう、リア充なんて、リア充なんて──
「──爆発しろ」
そう、小さく声に出した瞬間だった。
ポンッという小気味良い音と共に、前方を通りすぎていったカップルがアフロになったのは。
「って、はぁ!?」
うん、ナイス茶アフロ。て違う!そうじゃなくて、今……
「タイミング的に僕、だよな…。」
そう、明らかに僕が呟いた瞬間に彼らは爆発した。
超能力、いや…魔法?
都市伝説みたく、独り身の悲哀により激しい魔力に目覚めた伝説の大魔法使いなのか僕は。
などと、後になって思い出せば激しく混乱した思考のまま、僕はコンビニ袋を片手に家へと帰宅した。
アフロカップル?放置だよ放置。